介護タクシー業を主力としたビスタサポートでは、オンコール代行や介護タクシーの開業支援事業を通じて、全国各地の多くの同業者の方や開業志望者から、お話を聞くことがあります。

この度同業者の方から、開業志望者の皆様に向けて参考になる話を聞くことが出来たので、紹介したいと思います。

なお、事業所およびお名前は「恥ずかしいから」とのことで、伏せさせていただきます。

そして今回は、介護タクシー独立のきっかけや開業1年の経験で感じた想像と違う点などを、お伝えしていきたいと思います。

この記事は…

  • 介護タクシー開業志望者
  • 家族持ちで転職や独立を考えている方
  • 介護職からの転職を考えている人

…などにお読みいただけると幸いです。

介護職10年目、家族持ちで介護タクシーを独立開業

私の名前はヒロト(仮名)と言います。

現在38歳で、介護タクシーを開業して1年目。

前職は介護福祉士として、介護施設に10年勤務しました。

家族は、パート勤務の妻小学生の子どもが1人

持ち家の住宅ローンもあります。

「独立」と聞くと、独身の人が挑戦するイメージがあるかもしれません。

しかし実際には、私のように家族を持ちながら介護タクシーへ転職を考える人は少なくありません。

実際に踏み出す人は少数ですが…

今回は、私のような家族持ちの立場から見た想像と違った現実を正直にお話しします。

私の体験が、介護タクシーを開業しようという方に、何かしらの参考になれば嬉しいです。

介護施設時代の生活と収入

介護施設での月収は約23万円。

夜勤は月4回程度。責任は増えていましたが、役職は付いていません。

新卒時は約20万円だったので、10年で3万円ほどの昇給。

決して悪くはありませんが、「将来の伸び」を感じにくい金額でした。

正直言うと、もっと昇給があると思っていたのです。

一方、妻のパート収入は月8〜10万円ほど。

世帯収入は約32万円前後。

生活は成りたち、貯蓄もできていましたが、余裕があるとは言えません。

独立を考えたきっかけ

3、4年前の正月に地元帰郷していた友人と飲んでいたのがきっかけでした。

地元を離れて就職した彼は、私の1.5倍以上の収入を得ていることが、酒の席での話から分かったのです。

収入に差があるのは判っていましたが、実際に聞くとショックでした。

ですが、それ以上に不安に襲われたのです。

「俺はこのまま10年後も同じ収入だろうか」と…。

そう考えると、現在の職への不満も目に付くようになりました。

夜勤の負担が増えている。

自分の思い通りの休みがもらえず、子供の行事に参加できない。

なにより、仕事を頑張っても給料が増えない。

そんなときに知ったのが介護タクシーでした。

「夜勤がなく」、個人事業主のため「休みを調整できる」。

そして「自身の努力次第で収入を増やせる」!

その時の私には、理想的に見えました。

妻に打ち明けたときの葛藤

独立を考えていると妻に伝えたとき、最初の反応はこうでした。

「もし失敗したらどうするの?」

当然の言葉です。住宅ローンも、子どもの教育費もあります。

「経営なんてあなたにできるの?」

ともいわれましたね。

そこで私は計画を練りました。

介護の職はすぐには退職せず、当面の生活費を貯めました。

そして事業の計画を立てつつ、普通二種免許を取得。

費用は約25万円。貯蓄から出しました。

しかしこの段階で、私は「本当にやるのか?」と自分に何度も問いかけ直していました。

やはり私の中にも不安があったのです。

ですが、最終的に背中を押してくれたのは、

「挑戦しないで後悔するよりはいいんじゃない?」

という妻の一言でした。

最初は反対していた妻も、私が普通二種免許を取得するころには、納得してくれていたようです。

計画へのアドバイスもしてくれました。

そして、最後に背中を押してくれたのですから、妻には感謝しかありません。

結局、私が転職するまでには、約2年の準備期間が必要でした。

介護タクシー1年後の月収

開業初期は厳しいものでした。

売上が15万円程度の月もあり、転職しなかった方が良かったのでは?と思う日が続きましたね。

それでも、私は介護職時代の繋がりから、少しは紹介がもらえていましたので、他の同業者よりはましなスタートだったと思います。

それから1年後の月収は以下の通りです。

  • 月売上:約42万円
  • 経費:約12万円
  • 実質手取り:約30万円

施設時代より月7万円増えました。

さらには、妻も扶養から外れたことで、パート時間がを増やすことが出来るようになりました。

今では月12~14万円を稼いできてくれています。

世帯収入は月40万円を超えています。

ただし、これはあくまで目安です。

利用者の入院などにより、売上が落ちる月もあります。

介護タクシー転職で想像と違った点

ここからは、私が考えていた介護タクシーのイメージと実際のギャップを紹介します。

想像と違った点

  1. 家族がいると精神的負担が重い
  2. もっと自由だと思っていた
  3. すぐに収入が安定しなかった
  4. 煩わしい人間関係がなくなる
  5. 「やりがい」は減るかもしれない

1.家族がいると精神的負担が重い

もっとも強く感じたのは「精神的な負担」です。

というのも、独身なら「駄目ならやり直せばいいや」と簡単に思えたでしょう。

恥ずかしながら、私も「最悪、介護職でやり直せる」という腹積もりはありました。

しかし家族がいると、自身の行動の影響が家族にも及びます。

こんなにも「判断の重み」が違うのかと思いました。

例えば、電話が鳴らない日。予約がキャンセルになった日。

「今月、大丈夫だろうか。もっと営業しに行った方が良かったのでは?」などと考えてしまいます。

このような不安や心配は、施設勤務時代にはなかったものです。

2.もっと自由だと思っていた

夜勤がなくなったのは事実です。

しかし、残念ながら自由時間が増えたわけではありません。

例えば、営業、帳簿つけ、確定申告やその準備、ホームページなどの管理。

子どもが寝た後にパソコンに向かう日もあります。

夜勤はなくなりましたが、仕事の種類は増えました。

なので、送迎以外の「仕事時間を調整することが可能になった」という表現が正しいと思います。

ですが、子供の行事には参加しやすくなりましたし、遊ぶ時間も増えたのは確かです。

3.すぐに収入が安定しなかった

通院ニーズがあるのは解っていました。

しかも私の場合は前職をつうじて、施設や知り合いのケアマネージャーから紹介もチラホラありました。

それでも固定客を作るまで、収入が安定しなかったのが意外でした。

そんななか、安定のきっかけになったのはやはりというか「透析」です。

透析利用者が2~3人決まるまでは、安心できませんでしたね。

また、営業活動は想像以上に重要でした。

「介護職時代の知り合い」以外からは、なかなか依頼は来ません。

知り合い以外からは、地道な営業アクションを継続して、やっと依頼は来るようになります。

このことから、「介護スキルだけでは成り立たない。経営視点が必要だ。」と痛感しました。

4.煩わしい人間関係がなくなる

個人事業主になって、職場の人間関係はなくなりました。

派閥もシフト調整もありません。

しかし、

  • 病院の地域連携室との関係構築
  • ケアマネジャーへの営業
  • 利用者家族への説明責任

対外的な関係性はむしろ増えました。

人間関係が減るのではなく、「質が変わる」というのが正確です。

ですが、一番煩わしかった職場内の人間関係からは解放されました。

5.「やりがい」は減るかもしれない

介護タクシーは良くも悪くも利用者と「1対1」の関係です。

今までの特養のような「多対1」の関係ではありません。

介護タクシーでは関わる人間が減る分、「やりがいも減るかもなぁ」と考えていました。

しかし、介護タクシーでは短時間でも、回数を重ねると密度の濃い関わりができてきます。

思えば、施設では時間に追われ、流れ作業になる瞬間もありました。

介護タクシーはむしろ「やりがい」が増えています。

介護タクシーをはじめて10か月目。

いつもありがとう。あなたが来てくれると安心する。

利用者からのこの一言は、とても嬉しいものでした。

「やりがい」については、嬉しい誤算だったといえますね。

それでもよかったと思える理由

家族と夕食を取れる日が増えました。

子どもの学校行事にも参加できます。

収入だって増えました。

ですがその分、責任は増えましたし、収入は不安定さもあります。

それでも、やはり後悔はしていません。

理由は単純。

自分で選び、自分で動いている実感があるからです。

地域と関わりあいながら、家族を自分が守っている実感があるからです。

~最後に~

いかがでしたか?

家族がいるからこそ、不安も大きい。

しかし同時に、覚悟も強くなります

介護タクシーは「楽な独立」ではありません。

ですが、設計と準備次第で家族持ちでも十分現実的な選択肢です。

大切なのは、理想だけで決めないこと。

想像と違う現実を理解した上で挑戦すること。

それが、後悔しない転職への条件になるでしょう。

この記事があなたの一助となれば幸いです。