
介護タクシー開業に興味を持ったとき、多くの人が最初に考えるのは「すぐに独立できるのか」という点ではないでしょうか。
現在の職場に不満があるなら、なおさらです。
しかし、それは危険です。
特に家族がいる場合、勢いだけで退職してしまうのは止めた方が良いでしょう。
確かに、介護タクシーは比較的低資金で始められる事業とはいえ、車両購入や保険、許可申請などの準備が必要になります。
なにより、開業直後は売上が安定しないことも多く、生活費の備えておくことが絶対条件になります。
そのためおすすめしたいのが、約2年間の準備期間を設けるロードマップ型の開業計画です。
そこで今回は、働きながら準備を進め、家族の生活を守りつつ開業するための具体的な手順を時系列で解説します。
この記事は…
- 介護タクシーで起業したい方
- 配偶者や子供がいる転職希望者
- より安全に独立開業したい方
…などにお読みいただけると幸いです。
今回のロードマップの前提として、現在の貯金100万円、配偶者がパート勤務(年収100~130万円)で子供1人といった条件を想定しています。
もちろん、家族持ちでも配偶者のみの収入で生活が成り立つ方や、多くのたくわえがある方には2年もの準備期間は必要ありません。
なかには、現在の職場環境のせいで、いち早く転職したいという方もいるでしょう。
そのような場合は、ぜひビスタサポートにご相談ください。
さて、本題の介護タクシー開業準備2年間のロードマップは以下の通りです。
- 0〜6か月:地域調査と情報収集
- 6〜12か月:二種免許取得と資金準備
- 12〜18か月:事前営業と需要確認
- 18〜21か月:車両・保険などの準備
- 21〜24か月:許可申請と開業準備

最初に行うべきは、地域の需要を確認することです。
なぜなら、介護タクシーは地域密着型のビジネスだからです。
そのため、営業するメインエリアによって、成功のしやすさが大きく変わりますし、経営戦略も変わってきます。
大事な事なので何度も言いますが、この段階ではまだ退職する必要はありません。
むしろ、仕事を続けながら情報収集を行うことが大切です。
主に確認しておきたいポイントは次の通りです。
- 地域の介護タクシー事業者数
- 病院やクリニックの数と種類
- 透析クリニックの有無
- ケアマネ事業所数
- 高齢者人口
特に重要なのは、どのような医療機関が多い地域なのかです。
なぜなら、透析クリニックや整形外科が多い地域では、通院送迎の需要が安定する傾向があるからです。
そのような地域で競合も少ないなら、より安全に起業することが出来るでしょう。
逆に、病院が少ない地域だからといって、悲観する必要もありません。
ただし、長距離送迎や施設送迎など別の戦略を立てる必要があることを、覚えておきましょう。
次の段階では、開業に必要な資格と資金を整えていきます。
介護タクシーを運行するには、普通二種免許が必要です。
仕事を続けながら教習所に通う人も多く、1〜2か月程度で取得できるでしょう。
たとえ現在の職が忙しくとも、3カ月程度を見込んでおけば良いはずです。
同時に、家計の見直しを行い、開業に向けた貯金を本格的に始めます。
家族持ちの場合、開業直後の収入が不安定になることも考え、最低でも生活費の半年分は確保しておくと安心です。
例えば次のような貯金計画が理想的です。
- 目標貯金:200万円
- 月8万円の貯金
- ボーナスは可能な限り貯金
「月8万円も貯められないよ~」という方は、その分早めに貯金を始めましょう。
また「2年」計画の期間を伸ばして、「3年」計画にしても構いません。
ただし、あまり期間を延ばしすぎるのは良くありません。
さらに「貯まったら開業する」は駄目です!最悪です!!
それではいつまで経っても、開業資金は貯まりません。
大事なのは、現実的な時間としてとらえられる期間を目標に据えて、実行していくことです。
その適切な期間が「2~3年」なります。
また準備を計画的に進めることで、家族の不安も減らすことが出来るでしょう。

開業準備の中で、最も重要と言ってもよいのがこの段階になります。
開業前ではありますが、実際に営業活動を行い、本当に利用してもらえる可能性があるのかを確認します。
訪問先としては次のような場所が考えられます。
・居宅介護支援事業所
・地域包括支援センター
・病院の医療相談員
・透析クリニック
この時点ではまだ事業者ではないため、正式な営業というよりも「開業予定者としての挨拶や情報収集」が中心になります。
訪問先には、正直にそのことを話しましょう。
もしかしたら「忙しいから」というような理由で、営業を断れらるかもしれません。
それでも中には「開業したら相談するかもしれない。」「この地域は送迎ニーズが多い。」といった反応が得られる訪問先もあります。
こうした情報は、開業後の営業戦略を考える上でも非常に重要です。
そして何より、良い印象で「顔」を覚えてもらうことが大切。
それが、依頼を紹介されるための第一歩と言っても、過言ではありません。
そして、いよいよ具体的な開業準備に入ります。
この段階から、実際に費用が発生するようになります。
まず必要になるのが、介護タクシー用の車両です。
車いすのまま乗車できるスロープやリフト機能がついた福祉車両が一般的。
中古車を購入する場合でも、必要に応じて「車いす固定装置」などの改造費が必要になることがあります。
車両はピンからキリまで値段に幅がありますが、中古であっても150万円~が目安になります。
また、改造費の目安としては30万〜50万円が妥当でしょう。
さらには、営業車両のため任意保険も重要です。
保険料は条件によって異なりますが、月2万円前後になることが多いです。
この段階では以下の内容を決定しておきます。
- 車両の購入
- 駐車場の確保
- 任意保険加入
なぜなら、これらの準備が出来ていないと、原則営業許可が下りないからです。
とはいえ、一朝一夕で決められる内容でもありません。
それぞれ、事前に候補を絞っておくのも良いでしょう。
特に車両は納車まで時間を要します。
また、営業許可をもらうためには、車両や駐車場、営業所などそれぞれの要件をクリアしておく必要もあります。
選ぶ段階で、それらの要件を満たすかどうかの確認もしておきましょう。

介護タクシーは許可制の事業ですので、運輸局をはじめとした関係機関への申請が必要になります。
主な手続きとしては次のようなものがあります。
- 一般乗用旅客自動車運送事業許可申請
- 運賃認可申請
- 車両登録
- 運行管理体制の書類提出
書類は非常に多く、準備には時間がかかります。
書類の不備や要件を満たしていないことで、申請自体が受け付けてもらえないこともあるのです。
少なくとも、許可取得までには2〜3か月程度かかる覚悟はしておきましょう。
そのため、開業予定日の3か月前には申請を行うのが理想的です。
また、この時期には営業準備も進めましょう。
名刺やパンフレットの作成。
ホームページの開設やSNSでの広報活動。
病院やケアマネージャーへの再訪問。
やることは山積みです。
特に開業直前の挨拶は、利用につながることも多いため大切な活動になります。
せっかく時間をかけて開業した介護タクシーも、事業が失敗しては目も当てられません。
そこで、とりあえず1年目で目指すべき収支モデルを添えておきましょう。
ところが「収支」の話になると、SNSやYouTubeでは、「月商80万!」「年収1000万可能!」という話も見かけます。
ですが、介護タクシーは一発屋ではありません。
「積み上げる」ビジネスです。
家族持ちであるならば、なおさら失敗しにくい事業展開を目指すべきでしょう。
そこでまず目指すべきは、堅実な月商40〜50万円モデルです。
まずは「生活が守れる数字」を目指し、その後「生活を豊かにする数字」を目標に据えましょう。

- 1人1台
- 月22日稼働
- 1日平均売上18,000円
- 透析+通院中心(送迎回数3~4件)
1日の平均売り上げを18,000円まで持っていければ、とりあえず安心です。
18000×22日=月商396,000円
約40万円の売上となります。
ここから経費を計算すると…
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 車両ローン | 50,000 |
| 保険 | 20,000 |
| 燃料 | 40,000 |
| 駐車場 | 10,000 |
| 通信費 | 5,000 |
| 消耗品 | 10,000 |
| その他 | 15,000 |
合計で15万円ほど。
つまり手取りは 40万円ー15万円=約25万円
年収も300万円でひとまず「安心ライン」と言えるでしょう。
もし車両のローンや駐車代などの経費が掛からないなら、さらに手取りは上がります。
2年目以降は1日の売上を18,000円→22000円を目指しましょう。
これは1日の送迎回数を、1件増やせれば達成できます。
これだけで月商は22,000円×22日=484,000円となります。
経費が多少上がることを考えても、手取りは30万円ほどとなる計算です。
派手さはありませんが、年収も360万円程度となり、堅実に事業も生活も回すことができるでしょう。
そこに加えて「夜勤無し、自分の裁量、将来の拡張性」など、これらの価値をどう見るかが重要だと言えます。
いかがでしたか?
介護タクシー開業は、思いつきで始めるよりも、計画的に準備することで成功率が大きく変わる事業です。
特に家族がいる場合は、「資金準備」「需要調査」「営業準備」を行ったうえで、失敗しない開業を目指しましょう。
2年という準備期間は長く感じるかもしれませんが、その間に必要な知識や人脈を作ることができます。
焦らず計画的に準備を進めることが、安定した開業への近道なのです。
この記事があなたの一助となれば幸いです。
