
「家族がいるのに、介護タクシーの開業なんて無謀ですかね?」
「妻子持ちなんですけど…。やっぱり独身じゃなきゃ厳しいですか?」
介護タクシーの開業支援をしていると、よく上記のような相談事を受けます。
不安ですよね。わかります。
「もし仮に開業が失敗したとしても、独身なら何とでもなる。
でも家族がいる身で、そんな危険な挑戦に家族を巻き込めない。」
そう考える方も多いでしょう。…というかそれが普通です。
ですが、そんな方にこそビスタは強く言います。
「そんなことはありません」と。
なぜなら条件さえ整えれば、家族持ちでも介護タクシーを開業し、継続的に経営することは十分に可能だからです。
そこで今回は「家族持ちでも介護タクシーは開業できるのか?」を現実的な視点で解説したいと思います。
この記事は…
- 家族持ちの介護タクシー開業希望者
- 何らからの起業をしようと思っている妻子持ちの方
- 介護タクシーに興味のある方
…などにお読みいただけると幸いです。
「家族がいるから介護タクシー開業は無理だと思っていました。」
そう語ったのは、ヒロトさん38歳(仮名)、介護職歴10年の中堅どころです。
ヒロトさんは介護福祉士として特養に勤務し、月収は約23万円。
奥さんはパート勤務、小学生の子どもが1人という家庭です。
さらにいえば、住まいは持ち家で、当然住宅ローンの支払いもありました。
ヒロトさんが開業を切り出したとき、奥さんは即座に反対したといいます。
「あなたに営業ができるの?もし失敗したらどうするの?」
それは当然の反応と言っても良いでしょう。
毎月決まった給料が入る安心感は、家族持ちにとって何よりも大きいものです。
そこでヒロトさんが言った一言は、こうでした。
「勢いじゃない。300万円…1年分の生活費を確保してから始める。
見込みがないようなら、介護職にもどる。」
納得はしていないようでしたが、奥さんはそれ以上何も言わなかったそうです。

話し合いの後、ヒロトさんは、行動でも本気であることを示すことにしました。
行ったことは3つ。
- エクセルでの収支シミュレーション作り
- 貯金生活
- 普通二種免許の取得
まずは、実際に介護タクシーを開業した時の収支シミレーションをエクセルで作成。
さらには2か年の貯蓄計画シミレーションも作成しました。
そして煙草をやめ、貯金生活に突入。
普通二種免許も、貯金生活1年を過ぎたとき「転職を見据えて取得する」と宣言し、取得しました。
このころには奥さんも納得していたといいます。
そして計画よりも遅れた貯蓄スピードにヒロトさんがやきもきしていた時、奥さんからはこんな提案もありました。
「とりあえず200万円を目標にしましょう。私がパートを継続していけば、食費や光熱費はまかなえるもの。」
そして2年かけて、もともと100万円ほどあった貯金を積み増し、250万円を確保。
1年分には届かなかったものの、半年以上の資金は用意できたのです。
このように、準備と数字で家族の不安を減らすことができれば、家族持ちでも介護タクシー開業を納得してもらうことは十分可能です。
そして次の章からは、家族持ちでも介護タクシーでの開業が「成功する理由」を6つに分けて解説します。
結果的にヒロトさんが介護タクシーを開業し、継続的に経営できているのには、主に6つの理由があります。
- 市場ニーズは安定している
- 固定費をコントロールできる
- 準備期間が取れる
- いきなり大成功を目指す必要がない
- 介護職経験がそのまま強みになる
- 最悪の場合、戻れるスキルがある
日本での高齢化は今後も進みます。
間違いなく、通院・転院・透析などの送迎需要は右肩上がりに上昇していくでしょう。
特に地方では公共交通が弱く、「移動できない高齢者」は確実に存在します。
人口自体は首都圏より少ないのは確実ですが、人口における高齢者の割合は地方の方が圧倒的に上。
また、介護タクシーの事業者自体が少なく、需要に供給が追い付いていません。
いわゆる需要過多の状態です。
さらにいえば、介護は個々人の身体状態に応じて、取り入れなければいけないものです。
つまり社会の景気に左右されるものでもありません。
このように景気に左右されにくく需要が多い点は、家族持ちにとって大きな安心材料となるでしょう。

介護タクシーは「一人一台」が基本のビジネスモデルです。
しかも、要件さえ満たせば、自宅やその敷地を事業に使うことが出来ます。
一般的な店舗型ビジネスと違い、「店舗家賃」を支払う必要はありませんし、売れるかどうかわからない「在庫を抱えるリスク」もありません。
個人開業の場合は「人件費」もかかりません。
そして、主な固定費は車両関連と保険、燃料費程度。
つまり、支出となる固定費をコントロールすることが可能です。
そのため、最初から高額な車両を選ばなければ、リスクは比較的抑えることが出来るのです。
家族がいる場合、「小さく始められる」ことは非常に重要。
成功への第一歩はリスク管理からと心得ましょう。
仮に固定費を月15〜20万円程度に抑えられれば、売上40万円でも利益は十分に出ます。
家族持ちでも成立するのは、介護タクシーにはこの「低固定費構造」があるからです。
今回のケースでもそうですが、通常…
夫「俺、転職して起業するわ。」妻「OK、いいよ!」
…とはなりません。
家族を説得し、頭金をため、準備期間を経て、開業にたどり着きます。
前述したヒロトさんの場合も、2年の月日を要しています。
つまり家族がいる場合、準備期間を取ることが大前提。
逆に言えば、それだけ準備に費やす期間を貰うことが可能なのです。
その間に様々な準備が可能。
生活費の貯蓄や二種免許の取得はもちろん、病院や施設への事前あいさつ、ケアマネージャーとの人脈形成、地域需要の調査などなど…
何気にやること(というより…やっておいた方が良いこと)は、山のようにあります。
この期間があることで、「勢い独立」ではなく「戦略的独立」となり、事業成功の大きな要因となるでしょう。

家族がいると、一発逆転型ビジネスは危険です。(もちろん独身でも危険ですが…)
その点、介護タクシーは…
月売上30〜40万円を目標に設計する
↓
固定客を積み上げる
↓
徐々に安定させる
…という堅実型モデルがスタンダート。
派手さはありませんが、生活を守りながら成長できるビジネスとなっています。
つまり介護タクシーは、実は家族持ち向けのビジネスモデルである、ともいえるわけです。
介護施設での経験は、そのまま「信用」に繋がります。
その証拠に、ケアマネジャーや病院に営業する際も、「介護福祉士として10年勤務」と実績を話しましょう。
トラブルを嫌う「医療・介護」業界に、この一言は非常に響きます。
なぜなら、介護福祉士とは、「介護のプロ」であるという国からのお墨付きの証です。
そして、10年勤務というゆるぎない実績がその根拠を補強します。
もし、あなたが利用者なら「資格を持った」「経験者」に依頼しますよね。
これは紹介者でも同様です。
つまり無資格、経験ゼロからの起業より、はるかに成功確率は高いと言えます。

もし仮に、介護タクシーが上手くいかなかったとしても、介護福祉士資格と10年の経験があれば、再就職は十分可能です。
つまり、完全な背水の陣ではありません。
この「戻れる安心感」があることが、無理をしない運営スタイルに繋がります。
その運営方針が事故やクレームを遠ざけることでしょう。
事故やクレームは「信用第一」の介護タクシー事業にとって、事業失敗の原因となり得ます。
介護職での経験は、あなたが介護タクシーを運営する上で、心の余裕を作り出すでしょう。
家族持ちが介護タクシーを開業するためには、下記にあげる3つの条件をクリアしましょう。
- 生活費6か月分以上の貯蓄
- 配偶者の理解
- 開業前の情報収集と準備
家族がいる以上、生活費は多めに用意しておかなければなりません。
独身なら3カ月以上と言われていますが、家族持ちならその倍の「6カ月」は欲しいところ。
「1年以上ならなお良し」でしょう。
また、配偶者の理解は絶対です!!
ここから理解が得られなければ、開業する前にも苦労しますし、開業してからも苦労することでしょう。
家族がいる以上、独立開業も一人の問題ではないのです。
もし理解が示されないようであれば、時期尚早。
しっかりと働きつつも、費用がかからない形で勉強や調査などの準備を進めましょう。

そして開業前に情報収集と準備は抜かりなく行うことが重要です。
需要が安定している介護タクシーでも、開業直後は一日ゼロ件というのもザラにあります。
最低3カ月は赤字がつづくのが一般的です。
その赤字を以下に抑えるかは、情報収集と準備にかかっています。
しっかりと数字で判断して、「戦略的な独立」を成し遂げましょう。
いかがでしたか?
なお、今回の話は同業者からお聞きした話を基にしています。
一般的には「家族がいる」=「リスクが高い」と思われがちです。
実際は逆です!
守るものがるからこそ、人は「ギャンブル」をしないのです。
もしかしたら「成功するかどう変わらない起業こそ、ギャンブルみたいなものだ」という人もいるかもしれません。
しかし、守るものがあるからこそ人は「準備をして」「無理をせず」「小さく始める」のです。
その点、介護タクシーは「設計するビジネス」です。
「準備をして」「無理をせず」「小さく始める」のに、これ以上適したビジネスはそうありません。
あらためて問いましょう。
Q「家族持ちでも介護タクシーの開業は可能ですか?」
A「条件を整えれば、十分に可能です。」
この記事があなたの一助となれば幸いです。
