「介護タクシーを始めたいけど、市場調査って必要なの?」
「儲けが出なければ、介護タクシーは続けられない。うちの地域は需要があるのか知りたい。」
このような、介護タクシーの開業希望者は少なからずいると思います。
介護タクシーを起業する(した)からには、ドライバーや介護職としての技術だけでなく、経営者としての知識が必要となってきます。
そのためマーケティングの知識は必須と言えるでしょう。
とりわけ開業前には「顧客の推定数」や「どのくらいの収益が見込めるか」などを知りたいところでしょう。
なぜなら、開業への足がかりになりますし、開業後の営業活動の方針にも関わってきますからね。
そしてそれが、簡易的にでもネットで簡単に分かるとなれば…やらない手はありません。
そこで今回は、ネットで出来る簡単市場調査について解説したいと思います。
この記事は…
- 介護タクシーの開業希望者
- 介護タクシー開業したての方
- 市場調査の仕方に興味のある方
…などにお読みいただけると幸いです。
市場調査とは、商品やサービスの販売および開発を行うにあたり、市場の現状や動向を調査することです。
この調査を基に、顧客のニーズを把握し、適切なマーケティング戦略を組み立てていきます。
では、介護タクシー開業希望者がまず行うべき市場調査とは何か?
それは、前述した「どの程度の収益が見込めるか?」に尽きるでしょう。
そのためには、下記の項目を把握すれば良いとされています。
- 活動地域のお客さんの数…顧客
- 活動地域の同業者数…競合
- 活動地域の同業者の平均運賃…価格
そしてこれに「自社」の分析を加えると、マーケティングでいうところの「3C分析」に当てはめることが出来ます。

3C分析とは、事業計画やマーケティング戦略を立てる際に用いられる分析の一つです。
- customer…(市場・顧客)
- company…(自社)
- competitor…(競合)
これら3つのCを、コントロールできない外部要因(顧客と競合)とコントロールできる内部要因(自社)に分けて分析します。
これらの分析から、他社と自社の違い…強みや弱みを抽出し、成功要因(KSF:Key Success Factor)を発見することによって、事業の方向性を定め、効率的なマーケティング活動を行うことが出来るようになります。
介護タクシーの開業前市場調査はネットで簡単に行うことが出来ます。
というのも、各事業者組合や省庁がホームページなどで情報を公開しているからです。
運賃などは事業者自身が公開していますね。
繰り返しになますが、わかりやすく言い換えて表にしてみましょう。
- 利用者数の推計
- 競合事業者の数
- 競合事業者の価格帯
これだけわかれば、活動したいと思っている地域に介護タクシーが足りているのかいないのかが判ります。
全国的に介護タクシーは不足していることが知られています。
それでも、具体的にどのくらい足りていないのかがハッキリすれば、開業への意欲も変わってくるでしょう。
では次の項目から、それぞれを解説します。

介護タクシーが過不足を知るためには、まずは利用者の数を調査する必要があります。
つまり需要数ですね。
介護タクシーのお客さんとなれる方…というのは実は決まっています。
それが下記の5つに当てはまる方になります。
- 要介護者に認定されている人
- 要支援者に認定されている人
- 障害者手帳を持っている人
- その他、単独で公共交通機関を利用するのが困難な方
- 消防署や#7119救急安心センターなどから紹介された患者
前述の通り、上記の1~3は省庁などで人数が発表されており、ネット検索すればすぐにわかるでしょう。
ちなみに付添人は保険を用いていなければ、乗ることが出来ます。
ただし、これらの上記の1~5の総数は利用者となり得る最大数を指しています。
全員が利用するわけではないので当たり前ですね。
では、この最大数を介護タクシーの具体的な利用者数に近づけるにはどうすればよいのか?
それは要介護者や障がい者の中でも、介護タクシーを利用しやすい人…つまり「車イスの使用者」に絞ればよいのです。
少し古い(2003)データーですが、車イス使用者のパーセンテージは以下のようになっています。
要支援~要介護度2 | 29% |
要介護度3~要介護度5 | 71.2% |
障がい者 | 50% |
つまり、「利用者となりえる最大数」に「車イス使用者割合」をかけることで、「介護タクシー利用者数」を推計することが出来るのです。

介護タクシーの利用用途の9割は通院です。
つまり活動地域のどこに病院があるのかを知っておけば、大体の送迎先を把握できていることになります。
さらに、病院への主要道路を把握しておけば、送迎ルートに迷うこともなくなります。
また、入居設備がある介護施設を把握しておくのも良いでしょう。
なぜなら通常、入居施設からの依頼が一定割合あるものだからです。
さらには入居施設が活動地域に多いという事は、それだけ依頼の数も見込めることになります。
活動地域に、競合となる同業者がどれだけいるか把握することも大事です。
一番の目的は、活動地域に介護タクシー台数が、飽和していないかどうかを確認することです。
介護タクシー業界は台数不足が深刻化しています。
そのため過密になっている地域はそうそうありません。
とはいえ、どの程度不足分があるのかを把握しておけば、「大きな開業のチャンス」に気付けることでしょう。
さらには、今後の活動方針を立てるのにも役立ちます。
また、多くの介護タクシー事業者は、基本的に1事業者1台で行っています。
そんな介護タクシー業界にとって、同業者はお客さんを奪い合うライバルでもありますが、それ以上にヘルプを頼める貴重な存在です。
介護タクシーの開業を志すならば、同業者仲間を作っておいて損はないでしょう。

また同業者の運賃の価格設定も把握しておきましょう。
なぜなら、同業者との価格差がある状態は、介護タクシー事業者にとってデメリットが大きいからです。
- 廃業の原因となり得る
- 苦情の原因となり得る
デメリットの前にメリットを考えてみましょう。
価格差をつけることによる一番のメリットは「集客ができる」ことですね。
たしかに、初めのうちは安い価格設定…「薄利」で集客が出来るでしょう。
つまり「薄利多売」という収益モデルですね。
ですが、それは長い目で見ると良いことではありません。
というのも、多くの介護タクシー事業者は車両1台で活動しています。
収益をあげようと思えば、送迎回数を増やすしかありません。
しかし、1台で送迎できる回数には物理的に限りがあります。
つまり、介護タクシーは「多売」で収益を増やすことは出来ないのです。
結局集客は容易でも、他社と同じ回数しか送迎することはできず、収益は上がりません。
これは廃業の原因になると心得ましょう。
自社の「送迎サービス」を安売りするべきではないのです。
介護タクシー事業で、最も困るトラブルが「ブッキング」です。
病院やお客様の都合に起因する「迎え時刻のブッキング」はまだしも、事業者側による予約時の「調整ミスによるブッキング」は最悪です。
このような場合、1人1台の介護タクシー事業者は「他同業者へのヘルプ」で対応します。
自分で行けない代わりに、他の事業者に送迎を「紹介」という形で依頼するのです。
しかし、ここで他事業者と価格差があると問題が発生します。
当然、他事業者は自分の価格設定で料金を徴収しますが、利用者にしてみたら予定より多く料金を請求されることになります。
そして苦情へと発展。

利用者にも、ヘルプを請け負ってくれた他事業者にも、悪印象しか残りません。
従って、介護タクシー業界では、運賃は他事業者と同価格に設定しておくのが無難です。
どうしても価格差をつけたい場合は、オプションサービスで行いましょう。
慣れてきたら市場調査は、拠点の経済圏で行うのがお勧めです。
例えば、弊社ビスタサポートが拠点としている秋田県では「県北沿岸」「県北内陸」「中央沿岸」「中央内陸」「県南沿岸」「県南内陸」と大きく分けて6つの経済圏に分かれています。
介護タクシーの営業許可は県単位のためどの経済圏でも活動可能ですが、実際はそうではありません。
特に秋田県は面積も広く、都市間が山地に阻まれています。
そうした事情から、隣接した経済圏で活動することは事実上困難です。
より精度の高い市場調査をするならば、自身の活動拠点となる経済圏の事情に合わせて、調査をしてみましょう。
いかがでしたか?
今回はインターネットで簡単に行える、介護タクシーの市場調査について説明しました。
この記事で「市場調査やマーケティングって案外簡単に着手できるものなんだ。」と印象をもっていただけたのではないでしょうか。
次回は、弊社の活動拠点である秋田県の市場調査を実際に行ってみたいと思います。
この記事があなたの一助となれば幸いです。

またビスタサポートでは、介護タクシーの開業支援事業を行っています。
- 介護タクシーを開業したい方
- 介護・医療スキルを活かして起業を目指したい方
- 既に介護・看護の事業を行っているが、サイドビジネスも考えている方
- 第二の人生のため、何かしらのビジネスを検討している方
…などなど、介護タクシーに狙いを定めている方でも、はっきりとしたビジョンが無い方でもOKです。
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最後までお読みいただきありがとうございました。