介護タクシーを開業するには、「車庫」を用意しておく必要があります。
利用者を送迎する大切な車両を置いておく場所が必要ですからね。
当然「車庫」は、介護タクシーを開業するための要件に含まれています。
ただし、どのような車庫でも良いわけではありません。
一定の条件を満たさないと許可が下りません。
前もって条件を確認し、賃貸の駐車場を借りなおしたり、建てた車庫を解体したりするリスクを無くしておきましょう。
そこで今回は、介護タクシーの開業に必要な「車庫」の要件について解説します。
この記事は…
- 介護タクシーの開業を志す人
- 介護タクシーの仕事に興味のある方
- 第二の人生の生き方を模索している方
…などにお読みいただけると幸いです。
そもそも、介護タクシーを開業するためには下記の4つの設備や施設が必要です。
- 営業所
- 休憩所・仮眠施設
- 営業車
- 車庫
これらを要件を満たすように準備して、営業許可をもらう必要があります。
営業所の要件についてはこちらからご確認ください。
また、冒頭で説明した通り、車庫もその要件の一つとなります。
次項目から詳しく見ていきましょう。
「車庫」と言っても、建物である必要はありません。
車庫とは、事業で使用する車両を保管するスペースのことを言います。
そのため建物でなく、青空駐車場であっても構いません。
ただし、家庭で使用する車庫とは違い、介護タクシー事業者が使用する車庫には、いくつかの要件と注意点すべき点があります。
まずは要件を確認しましょう。
- 原則営業所に併設
- はみ出さない広さ
- 点検・整備環境を整える
- 1年以上の使用権限
原則として、車庫は営業所に併設されている必要があります。
自宅で開業し敷地内の駐車場を車庫とする場合や、借りテナントビルの1階に駐車場がある場合などは問題ありません。
しかし、敷地内に駐車スペースを確保できない場合もあるでしょう。
その場合は、別の敷地に駐車場を用意すれば大丈夫です。
ただし、営業所から駐車場までは直線距離で2㎞以内にあることが必要です。
グーグルマップなどを利用して、直線距離を測ってみましょう。

次に、駐車場所として用意したスペースに、車両が収まらなければなりません。
はみ出し禁止です。
令和5年11月以前は条件が厳しく、車両の前後左右に50cmの余裕を持たせる必要がありました。
ただし法改正により、営業車を確実に収容できる広さがあれば良くなりました。
これは主に、都市部で駐車スペースを確保しづらい方々に向けた緩和措置といえます。
事業用の車両なので、日常点検や清掃が出来る環境が必要です。
当然、審査基準にも「洗車や整備のための設備やスペースがある」というものが入っています。
では何をもって「点検・整備・清掃」の環境を整えたと言えるのか?
それは「備え付け工具」と「水道」です。
どのような備え付け工具が必要かは「自動車点検基準」に則れば間違いありません。
測定器具 | 作業用器具・工具 | 手工具 |
---|---|---|
物さし又は巻尺 タイヤ・ゲージ タイヤ・デプス・ゲージ (蓄電池の充放電の測定具) | ジャッキ又はリフト 注油器 ホイール・ナット・レンチ 輪止め (タイヤの空気充てん具) (グリース・ガン) (点検灯) (トルク・レンチ) | 両口スパナ ソケット・レンチ プラグ・レンチ モンキー・レンチ プライヤ ペンチ ねじ回し (ハンド・ハンマ) (点検用ハンマ) |
これらはいずれ必要になるものですので、開業前に揃えてしまいましょう。
ちなみに括弧書きの工具は「あった方が良いもの」です。

さらに営業車を清掃するために「水道」が必要となります。
ですが、月極駐車場などの賃貸の場合、水道付きの駐車場を探すのは意外に困難です。
そのため、最寄りのガソリンスタンドの水道を借りることで代替できます。
もちろんガソリンスタンドオーナーからの使用許可は必要。
令和5年の法改正で、オーナーから使用許可書に一筆をもらう必要はなくなり、口頭でも可能になりました。
自己の所有物件であれば、使用権限については問題ありません。
ただし、賃貸の場合は車庫として使用する土地や建物について、1年以上の使用権限が必要です。
ここでは「1年」という期間について注意しましょう。
大抵の場合、車庫として賃貸する場合は1年契約が多いです。
そのまま1年で契約してしまうと、審査を受ける時には1年未満になってしまいます。
そのため、契約は複数年で行うか、「自動更新」の条項を入れてもらいましょう。
また、介護タクシー事業を行うので、「事業用」として賃貸契約している必要もあります。
車庫として使用するスペースが、上記の要件を満たしているだけでは不十分です。
他にも注意する必要があります。
- 違法建築物や農地でないこと
- 道路と2m以上接していること
- 前面道路の幅と使用許可
土地そのものや建物に対しても注意が必要です。
まずは建物を車庫として使用する場合、違法建築物でないこと…
建築基準法、都市計画法、消防法、農地法の関係法令に抵触していないことを確認してください。
手続き上は許可申請時に宣誓書に「関係法令に抵触していない」旨を宣誓するだけなので、簡単です。
しかし、審査中や許可後に関係法令に抵触していることが判明した場合、許可が降りなかったり、最悪許可の取り消しがあり得ます。
許可が取り消されるという事は、営業そのものが出来なくなるという事です。
つまり、「関係法令への抵触」に関しては、細心の注意を払う必要があります。
例えば、市街化調整区域であれば屋根がある車庫は原則違法です。
違法建築の確認に手間を取られたくない場合、青空駐車場を選ぶのもひとつの選択肢です。
また土地に関しても、農地として登録されている土地は車庫として利用できません。

車庫とする土地が広くても、道路へのアクセスが悪いと許可が下りません。
具体的には「車庫は公道に2m以上接道している」必要があります。
例えば、旗竿地の様な出入り口が狭くなっている土地では、道路へ接している長さを確認しておくと良いでしょう。
また、接道2mがクリアされていても、前面道路の幅が狭いと許可が下りません。
一方通行でない場合「同じ車が2台すれ違うことが可能」で、なおかつ「0.5mほど余裕がある道」でないと車は通行できないからです。
通常のミニバンでは車幅が1.8m程度ですから、道路幅は(1.8m×2+0.5m)=4.1m最低必要となります。
一般的な前面道路は6.5mほどあれば問題ないとされています。
ちなみに前面道路とは、車庫から出て最初に接する公道のこと。
一概に駐車場前にある道路のことを指しているわけではありません。
例えば、駐車場前にある道路が私道の場合は、所有者から車両の通行を許可してもらう必要が出てきます。
その上で、私道を経て最初に接する公道の幅が問われることになります。

実際には、前面道路が広い場合は「追加書類が必要ない」というだけの話です。
逆に言えば追加書類を出せば、前面道路が狭くても許可が下りる場合も。
法の解釈や道路の管理状況などを調査し、道路管理者との協議して許可を得たりするなどの方法があります。
車庫の候補地が賃貸の場合は、別の場所を探せばよいでしょう。
しかし、自己所有の土地を活用したい場合、その後のランニングコストを考慮すると、簡単に諦められるものではありません。
困った時は、開業支援サービスを利用したり、介護タクシーを専門としている行政書士などに相談しましょう。
いかがでしたか?
車庫の準備に関してミスを犯すと、最悪許可の取り消しまでありえます。
そのため、関係法令抵触の確認には細心の注意を払う必要があります。
ですが、個人で確認するにはハードルが高いケースも多々あるでしょう。
その場合はやはり「開業支援サービスの利用」や「行政書士による調査」などを検討しましょう。
この記事があなたの一助となれば幸いです。

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最後までお読みいただきありがとうございました。