「向かいのお家、はじめての介護で大変そう。」
「うちの親ももう70歳過ぎてるし、介護って必要になるのかな?なにか準備しておいた方が良いのかな?」
そんな漠然とした不安ありませんか?
近所で日常的に介護しているお宅を見たり、介護が始まったうわさを聞くと、どうしても不安になってしまう事ってありますよね。
「いつかは考えなきゃ」などと思っていると、その「いつか」が目の前にあったりします。親の健康は自分の都合に合わせてはくれません。
いざ必要になった時に、戸惑うことのないようにするには事前の準備と心構えが必要です。
今回は、介護が必要になる前の事前準備と心構えについて解説していきます。
この記事は将来の介護に対して不安のある方、介護未経験で高齢の親御さんがいるご家族などにお読みいただけると幸いです。
ここでいう「事前準備」のほとんどは「話し合い」です。
つまり、健康であるうちに「決めるべきことを決めておく」のです。
親が元気なうちに「健康でなくなった時のこと」の話をするのは、違和感があることだと思います。
特に子から話を切り出すときは、勇気もいりますね。
しかし、何も話をしないまま「いざ介護」となると、様々なトラブルが起きかねません。
実際によく聞くトラブルをあげてみましょう。
- 介護負担に軽重に納得がいかず、家族間トラブルになりやすい
- 介護形態が希望通りの形にならない
- 財産の詳細がわからず相続が終わらない、もめる
- 日常の利用サービスがわからず、請求がいつまでも来る
事前に介護について話し合うことで、上記のようなトラブルは回避しやすくなります。
また、介護の準備の話し合いをすると、必然的に相続の話も付いてきます。
良い機会ですので、介護の話のみならず、相続の話も済ませてしまうことをおススメします。
なぜなら、介護に全くたずさわらなかった長兄に、「長男だから」という理由で多くの財産を相続されては、他の兄弟は納得いかないでしょう。
よって、「親」と「子」だけでなく、兄弟姉妹とも話し合っておく必要があります。
場合によっては、弁護士を交えて書類などの形に残しておきましょう。
話し合いで、家族全員が介護に対して心構えが出来ることが、なによりのメリット。
以降は介護の準備をメインに話を進めます。
まず、覚えておくべきことは「親や家族らしい生活を尊重する」ことです。
はじめての介護で準備に追われていると、親の意思を尊重することを忘れがちです。
例えば介護の準備には、サービス内容や保険を調べたり、ケアマネージャーや介護施設への相談など色々あります。
しかし、それらの事に目を向けてばかりいると、親や家族の求める生活からかけ離れてしまう可能性が出てきます。
そうなっては元も子もありません。
そのため、まずは親の意思をはっきりさせておくことが重要です。
- 親の健康状態や病院・処方薬
- 親類や交友関係
- 親の資金・財産の状態
- 介護に関する希望
とりあえずは、聞きやすい健康状態や親類・友好関係から聞いてみると良いでしょう。
また、認知症などにより正確な情報の把握が難しくなることも考えられます。
親が元気なうちに取り組みましょう。
ひとつ目は、どのような持病があるかなどの健康状態や、かかりつけの病院や普段飲んでいる薬など把握です。
これらを把握しておくことにより、介護がはじまる時にケアプランがたてやすくなるからです。
- 過去の病歴、アレルギーの有無と種類
- 現在の体調や持病、身体の状態で不安なところ
- 現在飲んでいる処方薬の種類や量(お薬手帳の保管場所)
- かかりつけの病院
情報を正しく把握し、ケアマネージャーに伝えることで、適した介護サービスを受けやすくなります。
またこれらの情報は、急病などで救急車を呼んだ場合にも聴取される内容です。
把握しておいて損はありません。
さらには本人の認知度の低下によっては、正確な情報が聴きだしにくくなりますし、子供に心配させたくないと我慢して、話さない時もあります。その場合は、普段の生活を観察してみましょう。
例えば「たまにトイレの周りが汚れている」「階段で時々よろけている」などといった不安要素の情報が、必要な介護に結び付きます。
反対に「食事」や「薬の管理」などの出来ることも把握もしておくと、余計な費用をかけることが無くなります。
正確な健康状態の把握は、介護の質に関わってくると心得ておきましょう。
ふたつ目に、親類や親の交友関係について把握しておきましょう。
なぜなら、両親が亡くなった場合、葬儀の連絡をするのは子どもの役割だからです。
なかには親同士の間でしか、やり取りのない親類も多いはず。さらに親の友人ともなると、知らない方が普通でしょう。
そんな状態で葬儀に呼ぶとなると、残されたハガキや手紙から連絡を入れたりします。しかし、本人が本当に呼びたい友人なのかは定かではありません。弔問のみという場合もあるでしょう。
そのような事態を避けるためには、事前に書き起こしておくことが重要です。その場合は、連絡先をカテゴリーごとに分類しましょう。
葬儀は本人の遺志を出来るだけ反映した式にしたいですね。
また、葬儀には関係なくとも、親類の付き合いは子が引き継ぐことも多いです。相続など、知らないでは済まされない場合もありますので、情報は共有しておきましょう。
3つ目は親の預貯金や年金などの資金状況や、土地や株など財産の状況を把握しておくことです。
親の資金状況を知ることは、介護の長期プランの作成に役立ちます。
入りたい施設や日常的に受けたいサービスの内容を、検討するためにも必要です。
金銭的なことを切り出すのは難しいと思いますが、入りたい施設などの話題と絡めて必要性を説きましょう。
- 預貯金および借入金
- 年金など定期収入
- 株や不動産などのその他の資産
- 加入保険
- 貯金・カード・印鑑などの保管場所
このような情報を把握しおくと、「介護に避けるお金」を計算できます。
親が元気なうちにこそ、相談しておきましょう。
ここで重要なのは「現実的な金額」を親子で共有しておくことです。そうすれば、就労し年金受給を先延ばしにするなど、健康なうちだからできることに気付けるはずです。
また認知症などで、お金の管理が難しくなった場合にも役立ちます。
最後は介護に関する希望全般を聞いておきましょう。
「親の希望」を聞かない事には、納得のいく介護になろうはずもありません。
例えば「老後は同居したいか、したくないのか?」「介護が必要になったら、どこで暮らしたいのか?」「誰に介護してもらいたいのか?」など聞いておくべきです。
しかも、いくつかのパターンにそって聞いておくと良いでしょう。
「両親とも生きている場合は?」「伴侶が亡くなった場合は?」などでも答えが変わってくる可能性が高くなります。
前項目で確認した資金状況と合わせて検討しておきます。
このように親の希望を明確にして、前もって自分の考えを持っておくことで、急な対応の時でも慌てずに済むでしょう。
また、延命に関わる処置についても本人の希望を聞いておき、緊急事態に備えましょう。
はじめての介護に向けて、事前に親の様々な現状や介護に対する希望を聴取できたら、次の準備は「兄弟姉妹との話し合い」です。
介護が実際にはじまるとなると、いくつもの課題が浮かび上がってきます。
- 誰がどれだけ介護をするのか?
- 金銭面の負担をどのように分担するのか?
- 介護負担を考慮し、施設入居すべきか?
多くのケースで、介護は心身のストレスに繋がります。
介護をめぐって、兄弟間でもめることも珍しくありません。
そのような状況を回避するためにも、上記の様な課題は前もって解決しておくことが重要です。
そのためにも、兄弟は腹を割って話し合わねばならないことをお互いに認識しましょう。
- 兄弟姉妹の状況を把握
- 介護の方針
- 役割分担と金銭的負担
また、兄弟の話し合いの席に、伴侶を同席させたがる人もいますが、基本的に兄弟だけで行ってください。
特に男性は「自分は忙しいから、親の介護は妻にやってもらう」などと言いかねません。
もしそういう考えをもっているなら、今すぐ考えを改めましょう。今の時代すぐに離婚問題へと発展してしまいます。
自分の親は自分で見るのが基本。
他人やパートナー任せにしないためにも、実の兄弟姉妹のみで行うことをお勧めします。
親の介護を話し合う前に、まずは兄弟の状況…それぞれの家庭の状況や仕事の状況、はては金銭的内情まで、お互いが把握しておくことが重要です。
これは「介護の方針」や「役割分担」といった本題に入る前に、是非ともやっておきましょう。
なかには育児で大変な家庭もあれば、独身で家庭的縛りはないものの仕事が忙しく出張ばかりの兄弟もいるでしょう。
介護の理想は、役割や金銭面を「平等」に負担することです。
しかし、所詮は理想。
一人ひとりの家庭や仕事は違います。
出来ることは、介護にかかる労力と金銭的な負担の軽重を、全員が納得の上「平等に近づけること」です。
お互いの家庭の事情や、仕事の事情を尊重し合いながら、介護の大変さを共感することです。
自分の事情ばかりを強調し「介護に参加出来ない」のスタンスでは、結局誰か一人に負担が偏ります。兄弟全員が同じスタンスだとしたら…負担が偏ってくるのは自分になるかもしれません。
そうなる前に「介護について、ちゃんと話し合っておかないと大変なことになるぞ。」と全員が共通認識を持ちましょう。
自分の自由になる時間、捻出できる金額、それぞれが腹を割って具体的な数字を出しあいましょう。
数字は違っていて当然です。生活基盤が違うのですから。
ただ、全員が「負担をカバーし合う」「労力や費用を出す」という覚悟を決めることが重要です。
この覚悟こそ、はじめての介護に必要な心構えなのです。
兄弟姉妹全員の覚悟が決まったら、本題の「介護の方針」は比較的スムーズです。
なぜなら、親の希望する介護が「どこまで実現可能なのか?」が見えてくるからです。
介護に費やす「自分や兄弟の労力や金銭」には限りがあり、あるものでヤリクリするしかありません。
具体的に話し合っておく方針は以下の通り。
- 在宅か通いか施設入居か
- 誰がどのくらい介護に関わるのか
- 必要な費用の捻出方法
親の希望を考慮し、介護をする場所を決め、そこから費用を計算し、介護にかかわる人の時間的余裕があるのか?をシミュレーションしていきましょう。
大まかな方針が決まれば、ケアマネージャーへの相談もしやすく、今後のケアプラン作成がスムーズに進みます。
このように現状を把握したうえで、介護をイメージすることが大切です。
介護の方針が決まりケアプランも作成されれば、自分の職場への具体的な相談もできますし、周囲の理解を得やすくなるでしょう。
このように方針を決めるという事は、働き盛りの人材の介護離職を防ぐことでもあるのです。
ひとつ目の「介護の方針」が決まれば、より具体的に役割と負担時間を決めていきましょう。
しかも「明確に」決めておく必要があります。表なども交えて明文化しておくことをおススメします。
なぜなら「言った言わない」問題に発展するケースが多いからです。
後の家族関係のためにも、ここで曖昧にしておいてはいけません。
兄弟全員が覚悟を決めたはずなのに、一人で負担を背負っている場合も多いのです。
そのため兄弟姉妹全員で「介護負担を分け合う意識」を分担作業の際に、今一度共有していきましょう。
これは費用に関しても同じです。
「介護にさける時間」「費用の分担」「得意な役割」をもとに、「具体的な今後のプラン」をいくつかシミュレーションして明確にしておきましょう。
シミュレーションを終えたら、とりあえずの話し合いは終了です。
最後に「今考えたプランを使うのは出来るだけ、先延ばしになればいいよね」と共感し、仲間意識を持って終わりましょう。
そして親の状況や兄弟の生活状況の変化に合わせ、プランの見直しも必要になることを覚えておきましょう。
いざ介護となった時に自分や家族が困らないため、事前準備は重要です。
「親や家族らしい生活を尊重する」ことを念頭に置き、親や兄弟姉妹と決めるべきことを決めておきましょう。
- 親の健康状態や病院・処方薬
- 親類や交友関係
- 親の資金・財産の状態
- 介護に関する希望
親はいつまでも健康でいられるとは限りません。
少しづつでも良いので聞きやすい事柄から、健康なうちに聞きだしておきましょう。
その際、エンディングノートなどを用いて、項目に沿う形で進めると話しやすいでしょう。
- 兄弟姉妹の状況を把握
- 介護の方針
- 役割分担と金銭的負担
親の介護は避けて通れない道。自分たちの親は自分たちでみるのが基本です。
「介護について、ちゃんと話し合っておかないと大変なことになるぞ。」と兄弟姉妹全員で共通認識を持って、話し合いに臨んでください。
全員で「負担をカバーし合う」「労力や費用を出す」覚悟を決めましょう。
話し合いは全員が納得のいくまで行ってくださいね。
この記事があなたの一助になれば幸いです。
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最後までお読みいただきありがとうございました。