老人ホームの選び方-見学でみる11つの項目

介護をどこの老人ホームにお願いしてよいか分からない。

また、希望する施設の種類は分っているけど、具体的な探し方・選び方が分からない。

そのような方はいないでしょうか。

きっと、介護を在宅ではなく施設にお願いしようと決めた家族の多くが、この疑問を抱いたと思います。

まずは親の希望や条件、そして予算をハッキリさせることが必要です。

その上で、近隣の施設から選んでいく事になります。

しかし、それだけでは不十分。

希望や条件と同じくらい重要なのは、探し出した施設が「親にあっているか」という事です。

条件等は合致していたのに、「施設が親とあわなくてすぐに退居した」となったら苦労も水の泡です。

そうならないためにも、施設を下調べし見学することをお勧めします。

今回は具体的な施設の探し方と、見学時にチェックするポイントを記していきたいと思います。

この記事は入居施設を探している方、もしくは施設の見学を考えている方に読んでいただきたい内容です。

老人ホームを選ぶ時の流れ

選ぶ時の一般的な流れは以下の通りです。

老人ホームを選ぶ時の流れ
  1. 希望条件を決める
  2. 希望条件と予算から施設を絞る
  3. 資料やネットで施設を調査
  4. 施設見学にいく

この流れが最も効率的です。

希望も予算もわからないまま、施設見学に行っても仕方ないですからね。

まずは親の希望を聞くところから。

1.希望と必須条件を決める

まとめておくべき希望や条件
  • 親の希望と必須条件
  • 費用
  • 入居目的・入居時期

最初に親の希望を聞いてしまいましょう。

その後で予算を決めましょう。

なぜなら予算を先に決めてしまうと、金額に引きずられて親が希望を話せないことがあります。

その上で予算に合わなければ、希望の優先順位を決め、どうしても譲れない点…必須条件を明確にしてください。

その希望を中心に子供側の意見も含めて、希望条件を決めていきます。

また「入居目的」と「入居時期」の希望も確かめておきましょう。

  • 一時的な利用か?終の棲家か?
  • 介護が必要だからか?一人暮らしに不安があるからか?
  • レクリエーションやイベントで充実した生活を望んでいるからか?
  • 元気なうちに入居したいのか?
  • 介護が必要になってから入居か?
  • 在宅での暮らしに限界が来てからの入居か?

特に本人の譲れない点は重要です。

それから妥協できる点を家族と共有し、施設生活をイメージしていきましょう。

また、決めたことはノートなどに記載して残しておくと、その後に役立ちます。

予算について

予算の計算

老人ホームの費用は「入居一時金」と「月額料金」。

入居一時金は入居時にかかる初期費用の事で、数百万円することも珍しくありません。

ただし一時金を0円に設定している施設も多くあり、必ずしも必要というわけではありません。

月額料金は支払いに無理のない予算を組みましょう。

具体的には、平均余命に少し足した年数を想定し、未来に渡って払い続けられるかを考慮します。将来、子供の大学資金に出費が増えたりしませんか?

さらにパンフレットや施設説明の目安月額よりも、すこし高めに見積もっておきましょう。

施設生活の中ではオプション代などで、追加料金がかかることもままあります。

2.希望条件と予算から施設の種類を絞り込む

目安月額特徴
介護付き有料老人ホーム(民・介)15~35万・要介護者向け
・介護サービスや生活支援サービス付き
・介護サービスが定額
住宅型有料老人ホーム(民・介)15~35万・自立~要介護状態まで幅広く受け入れ
・生活支援サービス付き
・介護サービスは外部委託
グループホーム(民・介)10~20万・認知症患者向け
・他の入居者と集団生活
健康型有料老人ホーム(民・自)10~50万・自立者向け
・ジムやプール等の共有設備が充実
・要介護状態で退去
サービス付き高齢者向け住宅(民・自)10~30万・自立~低介護
・外泊や外出が自由
・施設ではなくあくまで「住宅」扱い
シニア向け分譲マンション(民・自)10~35万・マンション購入
・富裕層向け
特別養護老人ホーム(公・介)5~20万・要介護3以上
・人気が高く長い順番待ち
・終身利用可能
介護老人保健施設(公・介)5~15万・退院後のリハビリが目的
・3~6か月の短期利用
・退所後にデイなどの利用も可
介護医療院(公・介)8~20万・医療管理が必要な要介護者が対象
・医療ケアが充実
・看取り、ターミナルケアもある
軽費老人ホーム(公・自)10~30万・自立者向け
・自治体の助成で安く入居できる
・入居に年齢・収入制限有り
ケアハウス(公・自)10~30万・軽費老人ホームのひとつ
・入居に収入制限がない

月額料金の他に、入居一時金などの初期費用が必要な場合もあるので注意が必要です。

実際に絞り込む時は…

希望条件や予算が決まり、施設の種類と特徴をだいたい理解したら、絞り込みに入ります。

入居目的にあっっているのは、どの種類の老人ホームか?

要介護度や認知症などの入居条件には当てはまっているか?

予算は目安に収まっているか?

以上を目安に実際に資料を請求してみましょう。

よくわからない場合は、試しに気になる種類ごとに、パンフレットを1部づつ頼んでみても良いでしょう。資料を見比べながら検討できます。

その後、パンフレットで目星をつけた種類の施設から、いくつかを選んでさらに調べてみるのがおススメです。

3.資料やネットで施設を調査

ここからは本命の複数の施設に絞って、調査することになります。

まずは施設見学の前に、事前に調べられることは余すことなく資料やネットで調べておきましょう。

ただし、施設側が用意した資料やネット情報では、施設側の良いところしか取り上げていないことがほとんどです。

パンフレットなどの資料を読み込むほか、口コミ欄等も参考にしましょう。

口コミは利用家族の生の声を吸い上げやすい為、参考になるでしょう。

また迷うのであれば、地域包括センターの担当職員やケアマネージャーに相談してみても良いでしょう。

事前準備で調べられるだけ調べたら、施設見学です。

見学も複数の施設にいくようにしてください。

良い点、悪い点を比較できますよ。

資料請求、電話で問い合わせ

4.老人ホームを施設見学

施設見学では「現地でなければわからない事」や「調査した中で気になった事」の確認を中心に行います。

特に現地でなければわからない事は積極的に見て聞いて回りましょう。

事前調査・施設見学で調べること
  1. 入居条件・退居条件・看取りの可否
  2. 入居者・施設全体の雰囲気
  3. 立地・周辺環境
  4. 介護・医療・リハビリ体制
  5. スタッフの勤務態度・能力
  6. 支援サービスの充実度
  7. 生活の自由度・私物持ち込みの可否
  8. 居室・設備の充実度
  9. 食事内容
  10. レクリエーション・イベント
  11. 重要事項説明書の確認

1.入居条件・退居条件・看取りの可否

まずは、入居条件をしっかりと確認しましょう。入居条件を満たしていない事には入居できません。

要介護度、認知症の受け入れ、他病気の有無など、本人の身体条件に合っているかは重要です。

他にも、他市町村からの入居を考えている場合、そのことも確認しておきましょう。

また、退居条件も重要です。

要介護度が上がったり、認知症が進んだ場合、どの程度で退去になるのか?

長期入院時でも籍を取っておいてくれるのか?

逆に看取りやターミナルケアを行ってくれるのか?

入居前に確認しておきましょう。

2.入居者・施設全体の雰囲気

施設見学にくる目的1、2位を争う重要項目です。

実際の生活の様子を見るため人の多い時間帯を選びましょう。

可能であれば、時間帯をずらして見学すると「昼の様子」「夜の様子」と、より施設の実情を見ることができます。

見学時は本人の生活を思い浮かべながらまわると、雰囲気が掴みやすくなります。

ポイントとしては、入居者の男女比、要介護度の人数割合、イベント・レクリエーションの開催具合といったところ。

他にも、入居者の表情やスタッフの様子から、パンフレットからでは読み取れない生の情報を感じ取りましょう。

生き生きとした表情の入居者が多くいる施設で、過ごさせてあげたいものですね。

3.立地・周辺環境

立地や周辺環境は本人のみならず家族にとっても重要な項目。

郊外になればなるほど、施設を訪問する家族の労力が増えるためです。

本人の状態によっては、予定外に呼び出されることもあり得ます。出来れば住まいの近くで検討しましょう。

また周辺環境は利便性の他に、騒音問題・災害時の避難問題などにも繋がります。

現地で実際に見なければわからない項目です。

4.介護・医療・リハビリ体制、設備の充実度

要介護度により、本人の暮らしの質に直結する重要項目です。

当然ながら、人数が多い方が充実しています。

少ない勤務体制で多くの人数をみようとすると、業務を回すことで手一杯となり、入居者への仕事の質が下がる傾向があります。

特に夜間体制が充実している施設ほど余力のある施設と言えますので、見学の際に尋ねてみましょう。

さらに医療スタッフと介護スタッフの連携がとれているかも重要なポイントです。普段の医療ケアもさることながら、緊急時の対応に大きく関わってきます。

また要介護度に合わせた介護体制を敷いているかも重要になってきます。

リハビリの様子

5.スタッフの勤務態度、能力

スタッフの人柄や勤務態度を重視する利用者も多くいます。

自分たちの身体や生活を預けることになるのですから、当然ですね。

見学の際はスタッフの仕事ぶりや表情を観察しましょう。

できれば質問などもしてみましょう。しっかりと仕事をこなしながらも、丁寧な対応であればいう事はありませんね。

ただし、スタッフについては離職率を調べてみるのも一考に値します。

離職率が高ければ、施設の運営のどこかに不満がある現れ。

一見雰囲気が良くても、それは見学時だけの可能性もあります。

離職率については、HPやSNS、ハローワークの求人欄を確認してみましょう。

6.支援サービスの充実度

保険適用外のサービスについても、確認しておきましょう。

施設によっては、病院付き添いなどの保険適用外サービスでも、月1、2回は無料だったりします。

入居後の費用に関わってくる項目です。

その他のサービス

7.生活の自由度・私物の持ち込みの可否

入居後は基本的に施設の生活サイクルに則っての集団生活になります。

その中で、個人の自由がどこまで許されるか確認しておきましょう。

特に入居者本人のどうしても譲れない必須条件が叶わないのであれば、諦めるほかありません。

例えば、週に一度の将棋クラブに通いたい、趣味の散歩を続けたいなどの要望ならば通ることも多いでしょう。

私物の持ち込みに関しても、確認しておきましょう。

入居する部屋のタイプにもよりますし、家具などは大きさも関わってくるので確認が必要です。

また個人の愛用品は持ち込める場合が多く、現金・貴金属類は基本的に禁止している施設が多くあります。

8.居室・設備の充実度

居室や設備の充実度は生活の満足度にも大きく関わってきます。

個室にキッチンやトイレはあるか?浴室の設備は整っているか?娯楽設備はどのようなものか?趣味は続けられそうか?車イス生活で不便はないか?

・・・などなど、入居後の生活をイメージしながら見ると、解かりやすくなります。

また共有スペースにも目を向けてください。

共用スペースの清掃は行き届いているか?家族の訪問時使用できるゲストルームはついているか?一時的な宿泊は可能か?

来客時の事も考えて、確認しておくと良いでしょう。

居室内の様子

9.食事内容

入居生活において、食事は大きな楽しみのひとつです。

そのため、味付けなどの個人の要望に対して、ある程度対応可能か聞いてみても良いでしょう。

また、食事は健康や認知機能維持のためにも重要な役割をはたしています。

身体の状態に合わせて、療養食などが個別対応可能か大きな判断材料になります。

料金体系や食事を抜いた時の「欠食」に対しての対応など、聞いておくと良いでしょう。

また、見学の時に食事を試食させてくれる施設も多いので、是非お願いしてみましょう。

10.レクリエーション・イベント

レクリエーションやイベントは入居者にとっての娯楽というだけでなく、身体・認知機能の維持に関わる重要な要素です。

そのため内容や回数もチェックしておきましょう。

実際に自分が楽しめる内容なのかも重要ですね。

レクリエーションの様子

11.重要事項説明書の確認

施設の情報が載っている重要事項説明書を熟読しておくことも肝心です。

運営会社の情報や建物の概要、入退去条件、料金、介護体制、スタッフ数、施設使用に関わるルールなど重要事項が載っています。

運営会社の方針は施設の方針にも関わります。

さらに経営が傾けば施設が閉鎖される危険性もあるため、調べておきましょう。

最後に~良い老人ホームを見分けるコツ

いかがでしたか?

老人ホームを選ぶ際には、色々なところをチェックした方が良いことがお分かりいただけたと思います。

老人ホームを選ぶという事は、新しい生活の場を選ぶという事です。

そのため条件と予算に合う施設を必ず複数選んで、比較して決めましょう。

さらに良い老人ホームを見分けるコツとして、「運営しているのはあくまで人間だ」という事を認識しておきましょう。

つまり施設で働く人達…

施設の方向性を決める施設長や直接利用者に携わるスタッフが、信用できる人達かどうかが重要です。

見学の際、施設長のお話を聞いてみても良いでしょう。

さらには施設から定期的に連絡があるか、生活に関する提案があるかなどを口コミから調べてみても良いでしょう。

しっかりと下調べや施設見学をして、自分たちにマッチした老人ホームを選びましょう。

この記事があなたの一助となれば幸いです。

また私たちビスタは「介護タクシー」という介護関連の中の限られた分野ではありますが、皆様のお役に立ちたいと考えています。

長距離移動に介護が必要な方。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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