介護を始めるにあたって、必ず必要となってくるのが「介護用品」です。
しかし、なかには「福祉用具」と書かれているものもあり、介護初心者にはどんな違いがあるのか分かりません。
しかも、介護・福祉関連の用品・用具やグッズはとても多く存在します。
そんな中「どの介護用品を揃えておけばよいのか?」「介護関連の出費がかさむ中、不要なものを買おうとしていないだろうか?」などといった不安も大きいと思います。
そこで今回はどのような介護用品を揃えればよいのか、その注意点も踏まえて説明してきたいと思います。
この記事は、介護を始めて間もない方、介護用品の準備でお困りの方などに読んでいただけると幸いです。
介護に対する心の準備も兼ねて、介護用品の選び方を学んでおきましょう。
介護用品とは、介護が必要な方の日常生活をサポートするために活用される用具や器具のことです。
介護用品と聞いてパッと浮かぶのは、身につけるオムツだったり、ベッドに敷く吸水シートなどだと思います。
しかし、そのような消耗品ばかりが介護用品ではありません。
歩行や移動のための杖や車いす、家具の介護ベッドやポータブルトイレも介護用品のひとつです。住宅に備え付ける手すりやスロープなども同じく介護用品です。
また、日常生活のための機能訓練(リハビリテーション)に使用される機器も、広義的には介護用品に分類されます。
実に様々なものが介護用品と呼ばれています。
「介護用品」のことを調べると、「福祉用具」の名前も出てくると思います。
では福祉用具とは何なのか?
法律的には「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人または心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具」とされています。
簡単に言うと「高齢者および障害者などの方に対して用いる介護やリハビリを目的とした介護機器のこと」です。
前述した介護用品は「生活の支援を目的とした介護・福祉の製品や機器」のすべてを含みます。
つまり福祉用具は介護用品の一部と言えるでしょう。
代表的な介護用品と福祉用具は下記のとおりです。
介護用品
- シルバーカー
- 紙おむつ
- おしりふき
- 先割れスプーン
- 介護食
- 介護用歯ブラシ
- 介護用服(靴)など
福祉用具
- 歩行補助つえ
- 歩行器
- スロープ
- 特殊寝台(電動ベッド等)
- 体位変換器
- 簡易浴槽
- 腰掛便座(ポータブルトイレ)
在宅介護では、自宅や生活の環境に合わせた介護用品の利用が欠かせません。
特にバリアフリーが考慮される前の時代の建物になると、さらに介護用品の重要度は増すことになります。
トイレまでの動線に手すりをつけたり、車いす利用のため玄関の段差にスロープをつけたりする必要が生まれます。
また布団での寝起きが大変な場合は、電動ベッド使用が必要でしょう。
食事では、高齢者向けのスプーンやフォークを用意するだけで、介助を必要としなくなる方も多くいます。
要介護者が自分で出来るよう介護用品・福祉用具を整えてあげることで、要介護者(介護を受ける人)のみならず介護者(介護をする人)の負担も減らすことが出来ます。
それこそが介護用品の意味合いと言えるでしょう。
介護の負担を少しでも軽減したいと考えている方は、実生活と照らし合わせながら、適した介護用品を揃えるようにしましょう。
- 歩行補助杖
- 歩行器
- 車イス
- シルバーカーなど
特に杖や車いすなどの移動に関する介護用品は、本人の状態に合わせたものを用意しましょう。
杖歩行ができる方に車イスを用意しても、通常では使いませんし保管にも場所をとります。
必要がないのに車イスを使っていると筋力の低下を招き、杖歩行が出来なくなる可能性もあります。
あくまで本人の状態に合わせて準備しましょう。
歩行器やシルバーカーなども同様です。
また、杖でも歩行器でも車いすでも、種類によりさまざまな機能がついていたりするので、使用シーンを想定しながら検討することが大切です。
介護者の中には、排泄に関する介助の負担が大きいと感じている方も多いと思います。
その負担を少しでも軽くするため、しっかりと揃えておきましょう。
- オムツ関連
- おしりふき
- 各種消臭剤
トイレで排泄することが難しい要介護者には、紙おむつの使用が欠かせません。
またそれに関連したカバーなどの用品も揃えておくと良いでしょう。
一口に紙おむつと言っても、アウターとよばれる外側おむつと、インナーと呼ばれる尿取りパッドの2種類があります。
さらに外側おむつにはパンツタイプとテープ止めタイプがあります。
また尿取りパッドは、外側おむつの内側に装着して使用し、併用すると介護の負担が軽減できる利点があります。
それぞれ要介護者の身体状況や生活環境に合わせて選びましょう。
介護はじめは排泄に関する介助が必要なかった方も、要介護度が上がるにつれ必要になって来る場合も多いです。
トイレの失敗は、要介護者の心の問題にもなりかねません。
そのため時期を逸さず、切り替えのタイミングを見極めましょう。
トイレットペーパーで汚れをふき取るのが難しい時には介護用のおしりふきを使いましょう。
おしりふきというと赤ちゃんに使うベビー用をイメージする方もいますが、介護では大人用おしりふきを使用します。
ベビー用と比べて、厚く大きいのが特徴です。
汚れが他につきにくく、使用する枚数も少なくて済みます。
また「トイレに流せる」タイプのものを使用すれば、後始末の手間も軽減できるのでおススメです。
おむつの交換時だけでなく、ポータブルトイレを使用する時にも消臭剤を置いておきましょう。
排泄の問題と匂いの問題は切り離せません。
こまめな掃除とこまめな交換、消臭剤の使用で対応しましょう。
置き型のほかに、スプレータイプの消臭剤もあるので両方を揃えておくと安心です。
入浴は身体を清潔に保ち、病気を防ぐのに欠かせません。
しかし、要介護者が入浴するには転倒や溺水などの危険がある他、介護者の負担も大きくなりがちです。
安全な入浴を心がけましょう。
- お風呂用いす(シャワーチェア)
- 介護用手袋
- 清拭用品
入浴では、浴槽内で使うお風呂用いすや洗い場で使うシャワーチェアを準備しておくと良いでしょう。
要介護者が座りやすいタイプを用意しましょう。
特に座面高が低いと足腰が弱い方には負担になってしまうので、状態に合わせ座面が高いものを選んでください。
また背もたれがあるもの、ひじ掛けがあるものなど、姿勢保持に役立つものもあります。
シャワーチェアがあると介護者的にも洗いやすいと思います。
入浴や清拭の場面では使い捨ての介護用手袋を使用しましょう。
これらの場面は要介護者の身体に直接触れることになります。
そのため、汚れ防止という意味だけでなく、感染症の予防になります。
お互いを守るための装備として、介護用手袋は常備しておきましょう。
もちろん排泄時の装備としても有用です。
入浴を毎日介助することは大変なことです。
そのような時は「清拭用品」を使用しましょう。
濡らしたタオルなどでも身体を拭いたりできますが、専用のウエットティッシュタイプなどの製品もあるので、準備しておきましょう。
手軽に使えて、準備も後始末も楽ちんなのでおススメです。
食事も自分で食べられるか、介助が必要かでかかる時間も労力も違います。
もしかしたら、便利な介護用品一つで要介護者が自分で食事できるようになるかもしれません。
特に食事は毎日3回もあることなので、便利な介護用品を揃えておくと良いでしょう。
- 高齢者向けの箸、スプーンやフォーク
- ストロー付きコップ
- エプロン
- テーブル
高齢者向けの箸には、2本が上部で一体になっているものがあり、握るだけで食べ物を掴めるものがあります。
細かい動きがしづらい高齢者でも、箸を使えるでしょう。
それでも食べにくい場合は、スプーンやフォークも使用しましょう。
これらは握る事さえできれば、使うことが出来ます。
通常のモノより、持ち手が長くシリコン製などになっており、握りやすいよう工夫されています。
これらの食器類は本人と握りやすさや食べやすさをチェックしながら、選んでくださいね。
要介護者がコップから飲めないなら、蓋のあるストロー付きコップを試してみましょう。
吸うだけで飲み物を一人で摂ることが出来るので、介護者の負担も減ることになります。
フタがあるため傾けすぎても、仮に倒してしまっても飲み物も零れません。
掃除の手間も減ることでしょう。
要介護者の食べこぼしが多い場合は、エプロンを使用すると良いでしょう。
要介護者にエプロンをつけてもらうだけでなく、介護者もエプロンをつけましょう。
それだけで、衣類の洗濯量が減る上、衣類の着脱の手間もかかりません。
さらには卓上や床にもエプロンならぬ、「ランチョンマット」を使用すると良いでしょう。
卓上や床の片付けの手間を減らせますし、本人の気に入った柄を用意すれば、楽しい食事の一助となります。
柄の他に、素材にも気をつかうと良いでしょう。
汚れがつきにくいナイロン素材のモノや、水分を通さない「PVC加工」されたものもあります。
エプロンには多くの利点がありますね。
要介護者の食事のテーブル選びは、使用状況を想定して慎重に選びましょう。
なぜならテーブルひとつで、食事介助のしやすさも違うからです。
ベッドで身を起こして使えるテーブル、キャスター付きのテーブル、車いすのまま座れるテーブルなど、色々なタイプのテーブルがあります。
さまざまな使用状況が考えられる場合は、高さが変えられたり、移動が楽なテーブルを選んでおくと良いでしょう。
要介護者の身体を起こすのに苦労しているならば、特殊寝台…介護用ベッドの使用を検討しましょう。
電動で背板や脚部を動かすことができ、利用者の望む姿勢を取るのに役立つでしょう。
また、就寝時に生じるトイレの失敗も想定しておきましょう。
防水シーツを使用すれば、交換の難儀なマットレスを汚す心配も減るでしょう。
さらに介護マットを使用すれば、床ずれ予防にもなります。
- 身体状況に合ったものを選ぶ
- 住環境の不足を補うものを選ぶ
- 介護者の負担を減らすものを選ぶ
上記のことを注意しながら、介護用品を選びましょう。
特に要介護者の身体状況に合ったものを選ぶことは重要です。
大きさが合わず、漏れてくるおむつにだと意味がありませんよね?
せっかく用意した介護用品でも、身体状況にマッチしていなければ、役に立たないのです。
また、手すりやスロープなど住環境の不足を介護用品で補うことも重要です。
その際は大きさや日常生活の動線に注意しましょう。
便利だと分かっていても、玄関に入りきらないスロープでは使えませんし、手すりが邪魔になって、介護者が支援できない状況になったら元の木阿弥です。
さらに、便利な介護用品を用いて介護者の負担を減らす努力は、積極的に行いましょう。
介護のストレスを溜めていって良いことは一つもありません。
一つ一つの負担を小さくすることは、長く先の見えない介護を乗り切るための重要な要素だと心得ましょう。
介護生活に必要な用品は想定以上に多いはずです。
その中でも介護する側もされる側も楽になるものを選んでいきましょう。
この記事で紹介したものを参考にしながら、自分たちの介護に必要な準備を進めましょう。
それでも悩む場合は、プロに相談しましょう。
その場合、まずは身近な担当のケアマネージャーへ相談してみてください。
さらに介護用品や福祉用具を取り扱っている業者には、福祉用具専門相談員がいるためうってつけですよ。
いかがでしたか?
この記事があなたの一助となれば幸いです。
また私たちビスタは「介護タクシー」という介護関連の中の限られた分野ではありますが、皆様のお役に立ちたいと考えています。
長距離移動に介護が必要な方。
車での移動やそれまでの介助に苦労されているご家族様。
私たちにお任せください。
ビスタはそのお悩みを解決します。
最後までお読みいただきありがとうございました。