ビスタサポートの中核事業である介護タクシー。
弊社では「救急救命士の介護タクシー」と銘をうって、日々利用者様に安心安全な送迎サービスを提供しています。
その名の通り、弊社のスタッフは全員が救急救命士。
しかも、最前線の救急現場で何年も活躍してきたスタッフが集結しています。
また、ビスタは創業から日が浅い企業ですが、月180件以上と多くの利用者様を送迎してきました。
これだけ件数があれば、通常の送迎とは違う特異な現場もあります。
そして我々は、そのような事案にも的確に対応してきました。
今回はそのような救急救命士が営む介護タクシーだからこその奏功事例を、皆さんにお届けしたいと思います。
この記事は…
- 介護タクシーを利用を検討している方
- ビスタの送迎サービスが気になっている方
- 救急救命士の介護タクシーに興味のある方
…など、多くの方にお読みいただけると幸いです。
残暑も厳しいある秋の昼下がり。
一本の電話がビスタに入りました。
事務所にいた私がいつものように電話に出ると、いつものように送迎予約の電話でした。
ただいつもと違うのは、初めての利用する方で、その予約が「今日、これからすぐに」という希望だったことです。
通常、予約電話は3日~2週間程度の後の日時が指定される方が多いのです。
とはいえ、いわゆる「飛び込み」での依頼も一定の割合でいるのも事実。
そのため電話を受けた私は特に不審なに思うこともなく、依頼を受け付けました。
幸いなことに、その日のその時間帯はちょうど予約も空いており、スケジュールにも余裕があったからです。
「佐藤さんという70代の男性を、近くの医院まで送ってほしい。」
電話で聞いた依頼内容を反芻しながら、私は車のキーと携帯電話を持ち、送迎車に乗り込みました。
初めての利用される方だったため、私はナビに住所を打ち込み、その案内で指定されたお宅へ向かったのです。
昼過ぎの時間帯のためか、信号のあたりが良かったのか…
いつもなら事務所から15分程度かかる地域でしたが、道が空いていて10分ちょっとで着くことが出来ました。
またナビをセットしていたおかげもあり、迷うことなく依頼先のお宅前へ到着。
その地域は新興住宅地というわけではないけれども、ちゃんと区画、整備された住宅地。
必然的に、似かり寄ったりの住宅が多く、目印になるような建物もありません。
また碁盤の目状の区画も相まって、慣れていない住民以外の人にとっては、見分けがつきにくく分かり難い場所でした。
出発前にナビをセットした自分を心の中で褒めつつ、玄関前で佐藤という名前の表札と番地を確認。
依頼された住所と間違いがないことを確認してから、呼び鈴を押しました。
するとスグに家の中から返事が…
どうやら送迎車が来るのを、いまかいまかと待っていたようです。
「お待たせしました。介護タクシービスタです。」
「山田です。乗せてってほしい佐藤さんは居間に居るから、病院まで運んでくれ。」
出迎えてくれたのは、山田さんという70代くらいの男性でした。
「わかりました。」と返事をして、玄関をあがります。
しかし、違和感がありました。
出迎えてくれた方の名前が違う…てっきり本人かと思ったのに。
結婚して名字が変わった兄弟なのかな?と考えながら、山田さんの後をついて行きます。
ですが、どうも違和感が残ります…
「こっちだ。」
と、案内された居間に入ると驚きの光景が広がっていました。
居間の扉をくぐって、真っ先に目に飛び込んできたのは床に倒れていた佐藤さんでした。
これはっ!この光景はっ!!
仰向けに倒れている佐藤さん。
決して床に寝ているわけではありません。
両手両足は投げ出され、嘔吐こそないものの、口元からよだれが垂れているのが見えます。
両目も虚ろ・・・
前職の救急隊時代に、毎日のように味わっていた救急現場の空気がそこにあったのです!
スグに私は声をかけました。
「大丈夫ですか!!」
急いで私は観察を開始。
頸動脈に触れ、胸の上下を見て心拍と呼吸があるのを確かめます。
呼吸は正常。
手首の橈骨動脈も充実しており、とても簡単に触知できました。
また、手足の四肢の末端に腫れはなく、頸静脈も浮き出てはいません。どうやら循環は保たれていそうです。
「名前と生年月日を教えてください。」
口元をティッシュで拭いながら質問します。
「・・・はい・・・・・・」
ただ、意識状態は良いとは言えず、こちらの質問に的確な返答はありません。
身体は動かしていますが、意図がある動きだと感じ取ることは出来ません。
さらに観察をすすめると、こちらの指示に従ったものではありませんが、弱いけれども両手を握ることは出来ます。
膝をたてて、キープすることも出来ました。
ただ、私がした簡単な質問にも答えることが出来ず、私が示した指の本数も数えられません。
観察を進める中、私は自分の学んできた知識と、救急隊時代の経験から「脳卒中」を疑っていました。
ただ、眼球が一定の方向を向く「共同偏視」や手足の麻痺など確定的な症状が見受けられません。
私は山田さんにも質問します。
「失礼ですが、佐藤さんとのご関係は?ご家族ですか?」
「いや、ちがうちがう。近所の友人だ。町内会の用事でたまたまここを訪ねたんだ。」
「そうだったんですね。倒れている佐藤さんは、普段からこのような受け答えですか?」
「いや、違う。認知症はあるみたいだし、返事の要領を得ない時もあるが、受け答え自体はするよ。」
ということは・・・確信に至らず、疑わしさだけが残ります。
『「脳卒中」だとは思うけど…それとも「認知症」が悪化しただけなのか…』
どちらの可能性も捨てきれません。
『症状的には本当に微妙……でも脳卒中の可能性が高いだろう…』
救急隊時代の経験が頭をよぎります。
その経験とは「現場では確定的な脳卒中症状は出なかったが、病院到着してから症状が出始めた」というもの。
つまり今はただ症状が出ていないだけ…これから出てくるのではないか?
時間経過とともに悪化していくのであれば、ゆっくりしている暇はないのです!!
「脳卒中」などの病気を疑った時点で、本来なら救急隊を要請するべきなのかもしれません。
しかし、私は迷っていました。
なぜなら、私は前職の経験からいろいろな事情を知っているからです。
まず、この地域は救急隊が配置されている2つの直近消防署から丁度真ん中くらいの位置にあること。
つまり、どちらから救急隊が来ても微妙に時間がかかってしまう事(多分10分くらい)。
119番通報をして救急要請しても、その電話に2~3分はかかる事。
さらに救急隊が到着してから、観察~車内収容~病院への収容依頼~その後病院側が承諾してから、ようやく搬送…
それならば…
この地域のすぐ隣の隣に脳卒中を見れる総合病院がある事。
その総合病院のスタッフには知り合いが多く、症状を伝えれば優先的に診てくれるであろう事。
介護タクシーの送迎車に乗せるまで5分…
送迎車での搬送に信号につかまったとしても5分…
『私が搬送した方が早く病院に着く確率が非常に高い』
少しの間考えていると、山田さんから声がかかりました。
「とりあえず、近くの△△医院に連れて行ってくれ。普段からそこが掛かりつけみたいなんだ。」
山田さんの手元を見ると、佐藤さんのお薬手帳を持っていました。
・・・ナイス!!!
これで病歴や既往がわかる!!
搬送後、病院が知りたい情報をゲットできたのです。
これがあれば早期治療に繋がります!
これで私は自分で搬送する決断をしました。
山田さんに素早く説明します。
佐藤さんの様子を見ると、普段通っている△△医院ではなく、処置ができる大きな総合病院で診てもらった方が良い事。
幸いすぐそこに、しかも△△医院よりも近くにその総合病院がある事。
山田さんにも、車までの搬送を手伝ってもらいたい事。
さらにタクシーに同乗して病院まで来て欲しい事。
伝えると、山田さんは二つ返事で了承してくださいました。
山田さんと協力してタクシーに乗せると、私は急ぎながらも安全運転で病院へ向かいます。
介護タクシーは緊急車両ではないので、特別な優先通行権は何もありません。
交通法規は絶対順守。
事故をおこして、病院へたどり着けないのが最悪の事態ですからね。
それでも出来るだけ急いで病院へ走りました。
幸い道路は空いており、私の読み通り5分も掛からず総合病院へ到着。
佐藤さんを車イスに乗せて、救急外来への受付へ急ぎました。
山田さんも後ろからついてきています。
この病院は前職時代でも、ビスタを起ち上げてからも何度も訪れています。
迷いもなく救急外来の受付に入ると、丁度顔見知りの看護師さんが出てきたところでした。
むこうもこちらに気づき、声をかけようとしてくれて…
「すみません。急患です。」
「え!?」
私の方が食い気味に遮りました。
そこで私は看護師さんに事情を説明。
現場での観察の結果を伝え、「脳卒中」を疑っていることを話しました。
改めて、佐藤さんを見ると、眼球が両方とも左を向いているような気が…
「共同偏視」が出始めている!?
それをみた看護師さんは、慌てて処置室の方へ戻りました。
スグに先生に伝えてくれるとのこと。
やはり優先的に診てもらえるようです。
院内トリアージが、しっかりしている病院で良かった(≧▽≦)
佐藤さんにとって、最も早く先生に診てもらえる結果となったのです。
看護師さんへ引き継いでいる間に、山田さんが市内に住む息子さんへ連絡してくれたようでした。
病院側へ引き継ぎして、家族へも連絡がついて一息。
そこで、付き添いをしてくれた山田さんもお礼を言います。
改めて今回の事情を聴くと、以下の通りでした。
今回の依頼者である山田さんは町内会の役員で、搬送された佐藤さんとは旧知の友人とのことでした。
佐藤さんは数年前に奥さんに先立たれ、一人暮らしをしていたそうだが、その頃に認知症を発症したとのこと。
一人暮らしという事もあり、町内会では週1回程度の様子見と声掛けを行っていた。
今日もその声かけで訪問したところ、様子がおかしい佐藤さんを発見。
病院で診てもらおうと考え、その送迎の為にビスタに電話したようでした。
「佐藤さんの様子が普段と違うから、訪ねた時はびっくりしたよ。
でも、お前さん落ち着いて対処しててすごかったなぁ。
介護タクシーって、みんなそうなのかい?」
「全ての介護タクシーが、このようにできるかはわかりません。
ですが、ウチの…ビスタサポートのスタッフなら皆できますよ。」
「じゃあ、何かあったらまたお願いするよ。今日はありがとうね。」
「いえいえ、どういたしまして。お大事になさってください。では、失礼します。」
でも、本当の緊急事態には救急車を呼んでくださいね(;^ω^)
いかがでしたか?
今回はビスタの奏功事例をお伝えしました。
現場での判断も良かったと思いますが、ナビを活かして迷いなく依頼場所まで到着できたのも、全体の時間短縮につながったと思います。
ちなみに、「何かあったらまたお願いするよ」のその後の連絡はないので、何事もなく過ごされていると思います。
前述したように「介護タクシービスタ」の最大の特徴はスタッフが全員救急救命士であり、救急現場を経験していること。
そのため、救急現場の嗅覚が養われています。
送迎中の異変等にいち早く気づき、対応できることでしょう。
今回のような事案に限らず、緊急性がある場合は最善と思われる方法で対応いたします。
お客様の観察を行い、状況を見極め、弊社で送迎するか、救急隊を要請するか。
対応はケースバイケースになりますが、お客様の健康と予後を第一と考え判断いたしますので、ご了承いただけると幸いです。
ちなみにこの記事で用いている名前は仮名ですので、そちらもご了承くださいね。
この記事でビスタサポートの魅力が伝わっていると幸いです。
またビスタは地域の介護・医療を支えるサポート企業として日々活動を行っています。
移動でお困りの方。
日々の通院や施設への送迎で苦労されているご家族様。
是非、我々ビスタサポートにお声がけください。
安心安全な送迎をお約束いたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。