福祉タクシーを開業する場合、事業にどのくらいのランニングコストがかかるのか、把握しておいた方が良いでしょう。
せっかく売り上げあっても、それ以上の支出があれば利益は出ません。
収支はマイナス…これでは事業を継続運営できません。
福祉タクシーを運営する場合は、営業所や車庫、車両や人件費などに経費が掛かります。
なかでも運送業である限り、車両関係の経費は特にかかると覚悟しておかねばなりません。
しかし、事業に使用する車種によって、維持費には結構な幅があります。
年間で見ると10~20万円以上の差がつくことも…
そこで今回は、福祉タクシーでよく使用される軽自動車、ミニバン、大型バン…それぞれのランニングコストを比較します。
開業時や事業拡大時の車種選択や、事業運営の参考にしましょう。
この記事は…
- 福祉タクシー、介護タクシーを開業したい方
- 事業拡大のために増車を検討している方
- 第二の人生の生き方を模索している方
…などにお読みいただけると幸いです。
まず車両にかかる維持費には、どのようなものがあるのか列挙してみましょう。
- 自動車税
- 自動車重量税
- 自賠責保険
- 任意保険
- 車検
- 法定点検
- ガソリン代
- タイヤ代
- オイル交換代
- 駐車場代
- 高速料金
以上の様な項目がランニングコストとしてかかってきます。
税金や保険、点検など年間でかかる経費の他に、日々のガソリン代やタイヤ代などの消耗品の費用が加算されます。
高速料金については、通院送迎に使用しない場合も多いですが、「車種別の比較」という意味で入れておきます。

では、これらの項目にそって早速比較…といきたいところですが、その前に福祉タクシー事業をするなら注目すべき要因があります。
それが「事業用自動車」と「8ナンバー」です。
これらに該当すると、維持費が変動してきます。
比較の前に、どのようなものか確認しておきましょう。
まず、事業用自動車とは、道路運送法で規定された自動車運送事業に使用される自動車のことを指します。
宅配便や引っ越し業者のトラック、タクシーや路線バスなど、人や物を運ぶ対価として収入を得る事業のことを自動車運送事業といい、当然福祉タクシーも含まれます。
事業用自動車として登録された自動車は、軽自動車であれば黒、それ以外は緑色のナンバープレートが付けられます。
そして、以下の項目で維持費が変動します。
- 自動車税・自動車重量税
- 自賠責保険・任意保険
- 車検・法定点検の頻度

自動車税や自動車重量税は、自家用車より税金が安くなります。
もちろん軽自動車でも税率が低く設定されており、税制面でみると事業用自動車の方が優遇されています。
自賠責や任意保険では、事業用自動車の方が自家用車よりも高くなります。
なぜなら事業に用いる車両の方が、通常は使用頻度も走行距離も多くなります。
その上、車両を使用するドライバーの数も多くなります。
その分、事故リスクも高くなるため、保険料も高くなるのは当然と言えます。
事業用自動車では点検頻度も高まります。
自家用車の車検は新車購入の3年後、それ以降は2年ごととなっています。
事業用自動車はナンバープレートにより異なります。
例えば、福祉タクシーなどの旅客運送事業用自動車では初回から1年ごとの車検となります。
また、自家用車では1年ごとで任意の法定点検ですが、事業用自動車は3カ月ごとに点検を受けることが義務付けられています。

| 税制面 | 保険関係 | 点検関係 | |
|---|---|---|---|
| 事業用自動車 | 安くなる↓ | 高くなる↑ | 高くなる↑ |
自家用車と比較すると、維持費は上記の様な関係となり、総合して高くなります。
とはいえ、事業を行うには自家用車のままでは営業できませんので、受け入れるしかありません。
道路運送車両法で「特種用途自動車」に分類される車両につけられるナンバープレートを「8ナンバー」と呼びます。
通常、この8ナンバーにはパトカーや消防車などの緊急自動車や、給水車や教習車などの特定事業車が該当します。
それに加え、特定の条件を満たすことで福祉車両も8ナンバープレートをつけることが可能です。
なお、8ナンバーをつけることで下記のようなメリットがあります。
- 福祉自動車購入時に消費税が掛からない
- 自動車税・自動車重量税が減額
- 駐車禁止除外標章の交付が可能
維持費ではありませんが、8ナンバーになると購入時にメリットがあります。
車検証に8ナンバーと記載されている福祉車両の購入には、なんと消費税がかかりません。
新車購入は軽自動車の福祉車両で約150万円、ハイエースなどの大型バンで300~400万円なので、消費税がかからないのは大きな経費削減となるでしょう。
自動車税や自動車重量税に関しても事業用自動車は安くなります。
これらの税金は排気量や年式、重量により細かく決められていますが、どの区分でも約2割ほどが安くなる計算です。
8ナンバーで追加条件を満たせば、申請することで「駐車禁止除外標章」の交付を受けることが出来ます。
これは駐車禁止の標識があるところでも、駐車できるようになる標章です。
ちなみに追加条件とは「患者輸送車」もしくは「車いす移動車」であることで、車検証に記載されている必要があります。

事業用自動車や8ナンバーであることで、自家用乗用車と比べて維持費に違いが生じることがわかりました。
次はよく福祉タクシーに使用される車種ごとに比較してみましょう。
もちろん、業務用自動車および8ナンバーを取得している前提の試表です。
業者間での作業費や車両の状態などにより、料金は変化します。
そのため、あくまで参考としてください。
| 軽自動車 | ミニバン | 大型バン | |
|---|---|---|---|
| 自動車税 | 6900円 | 13800円 | 15700円 |
| 重量税 | 8200円 | 7800円 | 13000円 |
| 自賠責保険 | 11440円 | 62500円 | 62500円 |
| 任意保険 | 10~15万円 | 15~23万円 | 25万~30万円 |
| 車検 | 21290円+整備費用 | 25940円+整備費用 | 46380円+整備費用 |
| 法定点検 | 10000円程度 | 18000円程度 | 20000円程度 |
| 合計 | 207830円+α | 358040円+α | 457580円+α |

福祉タクシーの年間走行距離を2万キロメートル、ガソリン単価を180円として試算しています。
| 軽自動車 | 年間走行距離2万㎞÷実燃費15㎞/ℓ×ガソリン180円= 24万円 |
| ミニバン | 年間走行距離2万㎞÷実燃費12㎞/ℓ×ガソリン180円= 30万円 |
| 大型バン | 年間走行距離2万㎞÷実燃費9㎞/ℓ×ガソリン180円= 40万円 |
タイヤについては使用期限を3年間として計算しています。
計算式は…年額≒1本当たりのタイヤ代×4本÷3年間。
なお、タイヤは価格差も大きいため、こちらもあくまで参考程度に願います。
| 軽自動車 | 1本あたりの値段1万円×4本÷3年≒ 13300円 |
| ミニバン | 1本あたりの値段1.5万円×4本÷3年≒ 20000円 |
| 大型バン | 1本あたりの値段2万円×4本÷3年≒ 26600円 |
さらに営業地域が寒冷地の場合は、スタッドレスタイヤも必要となります。
しかも、スタッドレスタイヤはノーマルタイヤよりだいぶ割高となるため、相応の経費を覚悟しておきましょう。
高速料金はミニバンおよび大型バンを「1」としたとき、軽自動車は「0.8」掛けで計算されます。
普通車で1000円の料金であれば、軽自動車は800円。
走行距離が延びるにしたがって、恩恵を感じることが出来るでしょう。
いかかでしたか?
福祉タクシーに良く用いられる3つの車両タイプで、維持費を検討しました。
当然ながら「軽自動車→ミニバン→大型バン」の順に維持費は、高くなります。
軽自動車と大型バンを比較すると、年間40万円程度の差がでる可能性がありますので、よく検討しましょう。
ただし、福祉タクシーの経営では維持費だけを見ていてはいけません。
車両の選択は、自社の保有車種や競合他社・地理との兼ね合いも考慮しましょう。
例えば「他社にはないストレッチャー対応の大型バンを導入しよう!」とか、「1台目はミニバンだけど、2台目は狭い路地に入れる軽自動車にしよう。」などといった決め方もあるのです。
確かに維持費は運営上重要ですが、あくまで要因の一つという事を忘れないようにしましょう。
どの車両を選択すればよいのか迷った際はビスタサポートにご相談ください。
この記事があなたの一助となれば幸いです。

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