「介護ってまだ先の話だと思ってたけど両親も高齢だし、そろそろ考え始める時かな?」
「介護をはじめるにあたって、何か準備って必要なのかな?」
親が高齢になれば、誰もが考えなければならない「親の介護」。
しかし、簡単に介護に向けて行動に踏み切れる人はそう多くないと思います。
漠然とした不安を抱えたまま、突然介護の荒波にされされないようにするには、事前の心構えと準備が必要です。
今回は、いずれ来る親の介護に向けて「心構え」をテーマに書いていきたいと思います。
この記事は、介護を考え始めた貴方、介護が始まって間もない貴方に読んだ頂きたい内容です。
介護をはじめるにあたり、最初に知っておかねばならないことが一つあります。
それが「介護」とは何かという事です。
まずはその定義を見ていきましょう。
介護とは
「老齢者や心身の障害者など日常生活を営む上で困難な状態にある個人を対象に、専門的な対人援助を基盤に身体的・精神的・社会的に健康な生活の確保と成長、発達を目指し、利用者が満足できる生活の自立をはかること」
と日本社会事業学校連盟および全国社会福祉協議会施設協議会連合会が定義しています。
これを親の介護に当てはめて、簡単に表現すると介護とは「日常生活を営むことが困難な高齢者に対し、身の回りのお世話を行なったり、自立を支援したりすること」となります。
介護は、身体的な介助だけでなく精神的な援助も行い、社会における生活の質そのものの向上を目指しています。
よって、家事の代行、服薬や金銭の管理といった「生活援助」も介護に含まれます。
介護と似た言葉に「介助」があります。
こちらは、生活のサポートをする行為そのものを指します。
具体的には、食事・排泄・入浴・歩行といった日常動作のサポートで、日常のあらゆる場面に様々な種類があります。
その場面や介護を受ける人により、適切な介助が求められます。
また、介護には福祉先進国のデンマークで生まれた「介護の三原則」があります。
- 生活の継続性
- 自己決定の尊重
- 残存能力の活用
これらの原則は、現在の介護の基礎的理念となっています。
そのため三原則を知らないと、親にとって必要とされる介護から遠ざかっていくかもしれません。
ひとつ目は、これまでの暮らしから断絶することなく、その人らしい生活を継続させる配慮を行なう事です。
これは出来るだけ在宅で行うことが理想ですが、事情により介護施設への入居は避けられないことも多くあります。
そのような高齢者にとって、住み慣れた自宅から突然環境を変えられるのは大きなストレスとなるでしょう。
その場合、生活環境やリズムなどに配慮することが必要です。
例えば、使い慣れた家具の愛着品を自室に持ち込むなど、ストレス緩和に役立つ工夫をが求められます。
介護する側の都合や利便性で、要介護者の生活を断ち切らないようにしましょう。
ふたつ目は、高齢者自身が暮らし方を決定し、その決定を尊重することです。
この決定に対し、周囲はそのサポートを行うことが理想とされています。
自分の生活を、自分が決めるのは当たり前のことです。
しかし、日本では家族や施設などの都合により、色々なことが決められてしまう傾向があります。
そのため、積極的に高齢者の意思を聞き、反映させる努力が必要となります。
三つ目は、今ある能力を最大限に活かし生活を行っていくこと、です。
つまり日常生活において、自分で出来ることは何でもしてもらうことで、残存能力を維持していこうという考え方です。
本人にできることまで手伝ってしまうと、どんどん能力が低下してしまいます。
果ては、本人の「やる気」まで奪ってしまうかもしれません。
介護する側は「出来ないことをサポートする」という意識を持ちましょう。
次に介護の三原則を踏まえた上で、親の介護に対する心構えを見ていきましょう。
- ひとりで抱え込まない
- 適度な距離を保つ
- 冷静な気持ちを保つ
- 介護サービスの上手な利用
- 老いを受け入れる
介護には多くのエネルギーが必要です。
今までの仕事や家事をこなしていた生活に加え、人間ひとりのサポートが入ってくるのですから当然です。
ですが、介護をはじめたばかりの時には、何から何まで全てを自分一人でこなそうとしてしまいがちですが、それでは長続きしません。
なぜなら、介護は育児と違い、いつ終わりになるかゴールが見えないからです。
介護のセオリーは兄弟姉妹で行うことが基本だと心得ましょう。
その上で、必要があれば、配偶者や親類への協力も仰ぎ、ひとりで抱え込まない環境を整えておきましょう。
在宅介護の場合、メインとなる介護者ができてしまうのは避けられません。
それでも兄弟たちは、積極的に介護に参加してもらいましょう。
なぜなら、当事者意識を持たせておくことで、あらゆる協力をしてもらいやすくなります。
介護初期には「自分が出来る介護は何でもしてあげよう」と思うことも少なくありません。
しかし、そこをグッと堪え、本人のための一番になるのかを考えてみましょう。
親本人が出来ることまで補助してしまうと、だんだんと出来ていたことが出来なくなっていきます。
筋力の低下も招きますし、やる気を奪ってしまう事にもなりかねません。
日常生活を自分で行うことは、機能維持の効果があります。
なので、リハビリだと思い、出来ることはできるだけ本人にやってもらいましょう。
見守ることも立派な介護のひとつです。
介護の初期を過ぎてくると、親の方が怒りやすくなることがあります。
なぜなら、介護を受ける「申し訳なさ」に慣れてくる一方で、不満が溜まりやすくなるからです。
いままで出来ていたことが出来ない悔しさ、もどかしさ。介護を受ける情けない自分…
そんな思いがあるのかもしれません。
さらには介護を受けるようになると、コミュティーが小さくなりストレス解消の機会や不満をぶつける先が大幅に減少します。
結果、介護者に不満をぶつけるように、怒りやすくなる場合もあるのです。
そんな時は努めて冷静に話を聞き、優しい言葉をかけるしかありません。
対抗して怒ってしまうと、今後の介護がやり難くなるでしょうし、最悪の場合、関係にヒビが入ってしまうかもしれません。
頑張っている介護者には理不尽な言葉に聞こえると思います。泣きたくなることも、怒りたくなることもあると思います。
そんな時こそ、冷静な気持ちを保ち、心を落ち着けることが大事です。
その代わり介護の交代時には、自己のストレス解消に邁進しましょう。
介護者の冷静な気持ちを保つためにも、介護サービスの利用は有効な手段です。
なぜなら、在宅介護であってもデイサービスなどの通所施設を利用している間は、介護者の自由な時間が持てるからです。
他にも訪問介護や在宅で使える介護サービスもあるので、積極的に利用していきましょう。
ただし、保険が絡む介護サービスには多くの縛りがあります。
例えば、ヘルパーさんは要介護者の食事を作ることは出来ますが、要介護者の配偶者の分まで食事を作ることは出来ません。
作る方にしてみれば、手間はほぼ一緒ではありますが…
利用する側には不満に感じるかもしれません。
「仕事」だからサービスを提供してくれますが、だからこそ出来ないこともあるのだと認識しておきましょう。
納得がいかない場合は、ケアマネージャーに相談してみると、介護保険適用の範囲を教えてもらえるでしょう。
介護サービスが適切に提供されているか判断してもらえます。
親の介護をはじめると「衰えていく親をみるのがつらい」「こんなはずではなかった」と思う人も多くいます。
あんなに頼れた両親が、少しづつ出来ることが減っていって、多くの事を忘れていく。
子供として、辛くなるのは当たり前でしょう。
ですが、老いは誰にでもやってきます。
出来ない事が増えていくこともまた「当たり前」なのです。
そんな時は「老い」を素直に受け入れましょう。
あなたが受け入れることで、きっと心が楽になるはずです。
出来ることを、ひとつひとつゆっくりとやらせてあげてください。
近くで見守ってあげてください。
老いを受け入れて、昔と比べたりしなければ、穏やかに介護に向き合えるのではないでしょうか。
ここで「介護タクシービスタ」が提供するサービスを紹介する前に、一般的な介助にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
日常の動作をサポートする「介助」。
主な介助の種類は以下の通りです。
- 移乗介助
- 更衣介助
- 歩行介助
- 食事介助
- トイレ介助
- 入浴介助
この他にも「口腔ケア」や「通院介助」など、多くの介助が多岐にわたり存在します。
介護タクシーの行うサービスは「通院介助」に当たります。
しかし、介護タクシーが行うサービスは移動に関するものだけではありません。
通院するのに伴う必要な介助全般を行います。
例えば、迎えに行く迎車時にはベッドから車イスにうつす「移乗介助」。
通院するのに着替えが必要ならば「更衣介助」。
もちろん移動に不安があるなら「歩行介助」も行いますし、車の乗り降り時には「乗降介助」を行います。
時間がかかりすぎる場合は、別項目になっていまうため注意が必要ですが、保険適用の介護タクシーであっても、以上のようなサービスを提供することが出来ます。
「病院が空いている時間帯に余裕がない方」や「通院などの移動に困難を感じている方」は、介護タクシーの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
さらに「介護タクシービスタ」では、救急救命士が運転手として訪問するため、移動中の容態の変化に的確に対処することが可能です。
また、介護タクシーとして「介助」もふくめたコロナ対応も行っております。
是非ご検討ください。
親の介護をはじめるにあたり、覚えておいて欲しい「介護の三原則」と「親の介護の5つの心構え」を紹介しました。
- 生活の継続性
- 自己決定の尊重
- 残存能力の活用
この三原則は現在の介護の基本理念。
介護を受ける側を第一に優先する、という考えがはっきりしています。
これらの原則を踏まえ、親の介護にあたるための心構えがこちら。
- ひとりで抱え込まない
- 適度な距離を保つ
- 冷静な気持ちを保つ
- 介護サービスの上手な利用
- 老いを受け入れる
こちらは介護する側へのアドバイスとなります。
負担は分散し、見守る時は見守り、心穏やかに介護を続けていくための指針ともいえるでしょう。
この記事をご覧の方なら、介護へ向けて動き出すのに「早い」という事はありません。
まずは介護の心構えを知っておき、いづれくる親の介護に備えておきましょう。
この記事が、あなたの悩みの解消に役立ったなら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。