「介護保険でどこまでやってもらえるの?」
「困っていることがあるけど、介護保険の適応外になるから出来ないと言われてしまった…」
介護を始めてそのような経験はありませんか?
介護が必要になってから、ほとんどの方が利用する介護保険制度。
しかし、実際の介護現場では、保険適応内のサービスだけで完結できるものではありません。
当然、それでもやらなくてはならないことも出てきます。
その場合、ご自分やそのご家族で行わなければなりません。
ですが、自身の身体的な理由や家族が仕事などの理由で行えない場合もあります。
そのような時に利用すると良いのが「介護保険外サービス」になります。
今回は介護保険外サービスの利用のメリットやデメリット。
また保険外のサービスにはどのような種類があり、どれくらいの費用がかかるのかについて解説します。
この記事は…
- 介護保険外サービスについて知りたい方
- 介護保険外サービスの利用を検討中の方
- 保険外を理由に依頼などを断れたことがある方
などに読んでいただきたい内容です。
介護保険外サービスとは、その名の通り「介護保険では提供できないサービスを提供する」ものです。
そもそも、介護保険を利用したサービス(介護保険サービス)は、原則1割の費用でサービスを利用できるかわりに、厳格な利用基準が定められています。
そのため、提供できるサービスや利用条件に様々な制限があるのです。
つまり、介護保険の枠組みから外れているけれども、需要があり利用者にはなくてはならないサービスが「介護保険外サービス」なのです。
「介護保険サービスでは行ってもらえない困りごとがある。」
などと言った場合は、保険外サービスの利用も検討してみましょう。
では、どのようなサービスが介護保険で提供されているのでしょうか。
介護保険で提供されているサービスは「生活援助」と「身体介護」になります。
主だったサービス内容は下記の通り。
介護保険で提供されるサービス
- 【生活援助】
- 掃除・洗濯・一般的な調理
- 寝具の整え、衣類の整頓
- 食事や生活必需品の買い物
- 薬の受け取り
- 【身体介護】
- 食事・排泄・入浴介助
- 衣類の着脱介助
- 就寝・起床介助
- 通院・外出介助
保険内サービスは、利用者本人への提供で、直接身体に接したり本人が生きるために必要な家事がその内容になります。
しかも、原則的に同居家族がいる場合は、「生活援助」のサービスは受けることが出来ません。
それでも、生活援助サービスを利用する場合は「保険外サービス」となります。
ただし、家族にやむを得ない事情がある場合は保険内サービスとして認められる場合もあります。
つまり、保険内で提供されないサービスは「保険外」となってしまいます。
主だったサービスは次の通りです。
介護保険内で提供できないサービス
- 散歩や趣味のための外出介助
- 行事のための手間のかかる調理
- 金銭管理や契約書等の書類記入
- 来客対応
- 食事の手配
- お酒やたばこなど嗜好品の買い物
- 同居家族のための調理や洗濯、掃除など
- 大掃除や家具の移動、家屋の修理など
- 車の洗車・清掃
- 庭の維持管理(草むしりや水やり)
- ペットの世話…などなど
利用者本人にとっては大切でも、生存に関係ないものはとりあえず「介護保険適応外」と考えてもらってもよいでしょう。
また、同居家族のための行為も保険外となります。
ついでだからと、家族の分の食事まで調理することは出来ません。
介護保険外サービスは、介護保険制度の制限がないため、幅広いサービスを提供することが可能。
そのサービス内容は提供する事業者が、自由に決めることが出来ます。
ここからは、そのような保険外サービスのメリットとデメリットを考えてみましょう。
- サービス内容の自由度が高い
- サービス提供時間に制限がない
- 介護者本人以外も利用可能
保険外サービスの一番のメリットは何と言っても「自由度の高さ」です。
前述の通り、サービス内容は提供事業者が自由に決めることが出来ます。
そのため、制限の多い介護保険内サービスと異なり、ニーズのあるきめ細かいサービスを提供することが可能です。
また保険内サービスの中には制限時間が付いているものも多くありますが、保険外サービスでは制限時間がありません。
費用を払えば、必要な時間分だけ利用することが可能です。
さらには、介護を受ける本人以外の家族でも利用が可能です。要介護判定もいりません。
例えば、介護保険タクシーを利用すると、本人以外は乗車することが出来ません。ですが、保険外の福祉タクシーでは家族の同乗もOK。
費用はかかりますが、介護保険でカバーが出来ない部分を補い、「生活の質」を保つことが可能となるでしょう。
- 全額自己負担で経済的負担が大きい
- 質や内容にばらつきがある
最大のデメリットは「費用がかかる」ことです。
介護保険サービスは原則1割負担ですが、保険外サービスはその費用の全額が自己負担となります。
便利だからと沢山利用していると、思わぬ高額請求をされてしまうかもしれません。
また、保険外サービスは地域や利用者のニーズに合わせて、事業者が内容も料金も決めることが出来ます。
つまり、事業者ごとにサービスが異なる上、質や料金もマチマチだという事です。
例えば、大掃除を頼んだA社は網戸のホコリまで掃除したのに、B社は窓ふきすらしなかった…なんてこともあるかもしれません。
そのため、保険外サービスは契約内容を確認することや、条件・費用に合ったサービスを選ぶことが大切になってきます。
保険外サービスの提供元は、民間企業だけではありません。
市町村自体、介護サービス事業者や一般企業など様々な提供元があります。
なかには、行政サービスの一環として補助や助成が行われるものも含まれています。
そのため、サービス内容が異なるだけでなく、利用方法や料金が大きく異なる場合もあるのです。
さらに様々な介護保険外サービスがあると、サービスの相場も分かり難くなります。
サービス提供元ごとに、内容や費用の目安をまとめてみました。
利用を検討する際の参考にしてみてください。
- 市町村などの自治体
- 「介護予防・日常生活支援総合事業」
- 社会福祉協議会
- 介護サービス事業者
- 一般企業
主なサービス | サービス内容 | 費用目安 |
---|---|---|
おむつ配送 | 現物を自宅へ配送 または購入費の助成 | 月5000~10000円 |
訪問理容 | 外出困難な方の自宅へ訪問し 理容(美容)サービス | 1回500~2500円 年間回数に制限有り |
給食・配膳 | 日常的に食事準備が 困難な方に食事を配達 | 1食500円前後 |
緊急通報システム | 異常時に受信センターへ 通報するシステム機器のレンタル | 月1000~1500円 1人暮らし高齢者対象 |
地域の自治体が独自に行っている主なサービスです。
そのため種類や利用条件関しては各自治体によって異なります。
が、費用に関しては安価なサービスが多いのが特徴。
また、利用条件として多いのは一人暮らしの高齢者、もしくは高齢者のみの世帯であることです。
利用希望する場合は、市町村の対応窓口に問い合わせるか、地域包括支援センターに相談すると良いでしょう。
まずは、自治体ホームページで他にも気になるサービスはないか、チェックしてみましょう。
主なサービス | サービス内容 | 費用目安 |
---|---|---|
生活援助 | 掃除、食事準備などの家事支援 外出支援 | 1回250円前後 時間制限あり |
通所サービス | デイサービス 機能維持のための運動・レクリエーション | 1回数百円 |
この総合事業は、市町村が中心となって実施しているもので、2017年からスタートした地域支援事業の一つに当たります。
介護サービス事業者や民間企業だけでなく、NPO法人や地域住民のボランティアなど多彩なサービス提供者が参画している事業で、窓口は地域包括支援センターとなります。
原則的に利用対象者となるのは、「要支援」の判定を受けた人と、心身の状態を客観的に把握するためのチェックリストに「該当」した人です。
利用するには、地域包括支援センターのケアマネジメントを受けてからになります。
また、利用の回数や時間に制限がありますが、自己負担額は1~3割ほどと安価です。
主なサービス | サービス内容 | 費用目安 |
---|---|---|
家事支援 | 調理、洗濯、掃除、買い物 草むしり、趣味の手伝い | 1時間1000~数千円 |
見守り・付き添い | 留守番、見守り、話し相手 通院の付き添い、外出の付き添い | 1時間1000円~数千円 |
全国に設置されている社会福祉協議会やシルバー人材センターが行っている保険外サービス。
一般的な家事支援の他に、話し相手や付き添いと言った、近い年代だからこそのサービス内容もあります。
こちらも地域によってサービス内容は異なるので、確認してみましょう。
主なサービス | サービス内容 | 費用目安 |
---|---|---|
生活支援 | 家族の分を含んだ洗濯、調理などの家事全般 手の込んだ調理、大掃除など | 1時間数千円 |
身体介護 | 入院中の世話、一時帰宅時の世話 冠婚葬祭の外出時の付き添い、 認知症の見守り | 1時間3000円前後 |
お泊まりデイサービス | デイサービス利用者が そのまま宿泊 | 1日数千円 +食事代 |
普段、介護サービス事業者は介護保険内のサービスを提供しています。
しかし、中には利用者のニーズに応えて、介護保険外のサービスを提供している事業者もいます。
介護認定を受けていなくても利用できるため、家族分の調理や洗濯などが行えるなど、幅広くきめ細かいサービスが可能となります。
ただし、普段利用している施設や事業者だからと言って、保険適用外のサービスは全額自己負担になるので注意しましょう。
利用の際には、担当のケアマネージャーに相談してからにすると安心です。
また、提供できるサービスは事業者によって異なるので、事前に確認しましょう。
主なサービス | サービス内容 | 費用目安 |
---|---|---|
配食 | 生協、弁当チェーン、 コンビニなどが行う配食サービス | 1食500~700円 |
送迎 | 介護タクシーを利用した通院・買い物、 緊急対応可能な民間救急 | タクシー運賃+介助料+ 医療機器レンタル代 (通常のタクシー料金に プラス2000~3000円程度) |
家事代行 | 調理、洗濯、清掃などの家事代行サービス | 1時間3000円前後 |
主要な事業は介護事業ではないが、関連したサービスを提供している企業も多くあります。
当然、自治体などが提供するサービスよりも費用はかかります。
しかし、その分野に特化している分、サービス内容が豊富だったり、きめ細かいサービスが可能だったりします。
また、利用条件や利用方法に縛りがないため、誰でも便利に活用できます。
サービスを探す方法としては、インターネット検索を第一として、その後実際の利用者の評価や口コミなどを参考にすると良いでしょう。
これらのサービスを積極的に活用することで、生活の質を向上させることができるでしょう。
厚生労働省は介護保険外サービスを「地域包括ケアシステム」のなかの一つに位置付けています。
この「地域包括ケアシステム」は、高齢者が住み慣れた地域で出来るだけ健康で質の良い生活を送るためのシステムです。
現在国は、住まい、医療、介護、生活支援・介護予防を一体的に提供するこのシステムの構築を大急ぎで進めている最中です。
つまり、国は介護保険サービスだけでなく、介護保険外のサービスも高齢者の健康で質の良い生活には必要だと考えているのです。
保険外サービスは確かに便利で、きめ細かいフォローが可能です。
しかし、費用の負担の大きさから気軽に使えるわけではありません。
そこで、国は介護保険内のサービスを提供するヘルパーが保険外サービスも提供できるよう「混合介護」にむけた規制緩和も進めています。
また、保険外サービスにも様々な提供元がありますが、現在はサービス事業者間の連携等はあまりとられていません。
今後は介護保険サービスの規制緩和や保険適用外のサービス連携が相乗効果を生み、誰しもが健康で質の良い暮らしを構築するカギとなるかもしれません。
現在、介護保険外サービスは自治体などが提供する一部をのぞき、全額自己負担となっています。
介護保険の範囲内では、要介護者やその家族のニーズに応えられない事案も多くあります。
その中でも、特に負担の大きいところを選んで、保険外サービスを利用しましょう。
費用がかかるからと利用を敬遠し、無理をして身体を壊してしまってはいけません。
終わりのわからない介護では「継続」こそ大事。
無理のない継続できる介護を目指して、上手にサービスを利用しましょう。
いかがでしたか?
今回は介護保険外サービスについて、解説しました。
また、我々「介護タクシービスタ」では、地域の介護・医療を支えるサポート企業として、送迎サービスを行っています。
日々の通院への送り迎えだけでなく、保険内サービスでは対応できない趣味のための買い物や、冠婚葬祭のイベント・旅行への送迎なども承っております。
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また、そのご家族様。
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最後までお読みいただきありがとうございました。