介護タクシーの開業-実際に必要な資金を把握しよう

介護タクシーの開業に必要な資金額は

介護タクシーを開業し、経営していくためには「資金」が必要です。

では、開業に向けてどのくらい資金を用意すればよいのでしょうか?

さっぱり見当もつかない…という方も多いと思います。

しかし、介護タクシー事業に必要な物を考えていくと、少しづつ見えてきます。

送迎の為の車両や営業所、ドライバーや運行管理者…

これらを買ったり、借りたり、報酬を支払ったりする額をリストアップしていくと必要な資金が算出できます。

具体的な数字が判れば、開業に向けて弾みがつきます。

事業計画をたてつつ、具体的な戦略を練ることが出来るようになります。

そこで今回は、介護タクシーの開業に必要な資金を具体的に見ていきましょう。

この記事は…

  • 介護タクシーや福祉タクシーの開業を志している方
  • 介護関係のサイドビジネスを考えている方
  • 第二の人生の生き方を模索している方

…などにお読みいただけると幸いです。

介護タクシー開業に必要な資金額の根拠

介護タクシーの営業許可は国土交通省の各管轄運輸局が出しています。

当然、国土交通省の示している基準に則って、資金を準備しなければ許可はおりません。

以下がその資金計画の抜粋。

一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業)の許可等の申請に関する審査基準について

資金計画
(1)所要資金の見積りが適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものである
こと。
なお、所要資金は次の(イ)~(ト)の合計額とし、各費用ごとに以下に示すと
ころにより計算されているものであること。
(イ)車両費 取得価格(未払金を含む)又はリースの場合は1年分の賃借料等
(ロ)土地費 取得価格(未払金を含む)又は1年分の賃借料等
(ハ)建物費 取得価格(未払金を含む)又は1年分の賃借料等
(ニ)機械器具及び什器備品 取得価格(未払金を含む)
(ホ)運転資金人件費、燃料油脂費、修繕費等の2か月分
(ヘ)保険料等 保険料及び租税公課(1年分)
(ト)その他 創業費等開業に要する費用(全額)


(2)所要資金の50%以上、かつ、事業開始当初に要する資金の100%以上の自己
資金が、申請日以降常時確保されていること。なお、事業開始当初に要する資金は、
次の(イ)~(ハ)の合計額とする。
(イ)①(イ)に係る頭金及び2か月分の分割支払金、又は、リースの場合は2か月
分の賃借料等。ただし、一括払いによって取得する場合は、①(イ)と同
額とする。
(ロ)①(ロ)及び(ハ)に係る頭金及び2か月分の分割支払金、又は、2か月分の
賃借料及び敷金等。ただし、一括払いによって取得する場合は、①(ロ)
及び(ハ)と同額とする。
(ハ)①(ニ)~(ト)に係る合計額

※審査基準より抜粋

上記の条文にしたがって、申請用紙のひとつである「所要資金及び事業開始に要する資金の内訳【別紙③】」を埋めていかねばなりません。

とはいえ、このまま読むと「なんのこっちゃいな?」となてなマークを浮かべたり、読むのを止めたくなりますよね。

というわけで次項で要約します。

ちなみに今回は、1枚にまとまっている上、色付けされて見やすい近畿運輸局の許可申請書を、例として活用しております。

資金計画(1)の要約

(1)を要約すると、「適正な金額の見積もり」で、「無理のない資金計画」をたてなさいということ。

極端な価格設定で、つじつまを合わせるようなマネはいけませんよ…ということです。

そして、各項目は以下の計算で見積もりを記載しなさいと(イ)~(ト)で指示されています。

  • 「車両」「土地」「建物」~購入金額 or 1年間のレンタル(リース)代
  • 機械や備品~購入金額
  • 人件費や燃料費などのランニングコスト~2か月分
  • 保険料~それぞれ1年分
  • その他の開業に必要な資金は全額を記載

資金計画(2)の要約

そして解りにくい(2)。

残高証明は、別紙③で計算した「所要資金」の50%以上の金額、かつ「事業開始当初に要する資金」の100%以上の金額でなければ許可は出せないということ…

つまり、残高証明は別紙③の青色の金額より高い必要があります。

(イ)は、車両費の書き方を口頭で説明しています。

内容は下記の表のとおり。

所要資金額事業開始当初に要する資金
車両一括購入取得価格(全額)取得価格(全額)
分割購入取得価格(全額)頭金+2か月分(1回目と2回目の支払額)
リース1年分2か月分

(ロ)では、土地費と建物費…つまり車庫と営業所にかかる分の費用の書き方の説明です。

一括購入ならその金額を、借りるなら所要資金は1年分、当初に要する資金は2カ月分を記載しましょう。

なお、車庫を建物と一括で借りるなら、建物費にまとめて記載してください。

現金一括orローン

概算金額を出してみよう

ここからは各項目の概算金額を出してみましょう。

ちなみに、開業までの目安は250万~450万円といわれています。

開業にかかる費用の分類
  1. 車両にかかる費用
  2. 土地建物などにかかる費用
  3. 人件費などの運転資金
  4. 保険料
  5. その他

1.車両にかかる費用

車両本体

事業で福祉車両となると、中古で購入する人が多いです。

介護タクシーの場合は…

  • 軽バン…100万円
  • ミニバン…200万円
  • ハイエース…300万円

を見積もっておくとよいでしょう。

新車で買うと高いハイエースも、介護施設からの払い下げなどでコスパの良い車両が出てくることがあります。

自身の懐具合と、営業区域の特性、競合との兼ね合いを考えて車種を決めましょう。

また、ローンやリースでは「軽バン3万円」「ミニバン・ハイエース4~5万円」を見積もっておくと良いでしょう。

ちなみに計算方法の違いから、リースの方が許可申請時の残高証明は低く抑えることが出来ます。

タクシーメーター

ほぼ100%の事業者が採用している距離制運賃を採用する場合は、タクシーメーターが必須です。

このタクシーメーターは購入費と取り付け費で約20万円強の費用がかかります。

ミニバンタイプの介護タクシー

2.土地建物にかかる費用

自宅で車庫や営業所を兼ねることが出来れば、費用はかかりません。

が、賃貸であれば月額5万円程度は見積もるべきでしょう。

駐車場に関しては1.5万円前後を見積もってください。

また、管轄運輸局によっては敷金等を記載する欄もあります。

その場合は20~30万円ほどを見積もりましょう。

さらには整備用の機械器具を見積もる欄もありますので、5万円程度を記入しておきましょう。

3.人件費などの運転資金

運転資金は、「人件費(運送費)」、「燃料費」、「修繕費」、「人件費(管理経費)」の4つに大別することが出来ます。

人件費(運送費)

従業員への報酬になります。

計算方法は2人分で下記の通り。

最低時給(R5全国平均1055円)×月額稼働23日×8時間×人数(2人)×2か月分=給与776480円

これに加えて

法定福利費=給与×0.13≒100943円

厚生福利費=給与×0.02≒15530円

を記載します。

また、他の項目も記載すると、必要になる残高証明が増えるのでやめておいた方が無難です。

つまり合計892,953円…約90万円は人件費を見込んでおく必要があります。

ただし、事業者自身が運転者も兼ねる場合は、「管理経費」欄の方へ記載することになります。

人件費

燃料費

5万円程度見込んでおくと良いでしょう。

多いくらいですが、1台体制での許可申請ではこの金額でOKです。

修繕費

車両の消耗品やメンテナンス費用です。

1台体制では合計月額5000円以下です。

寒冷地でも、大目に1万円見積もっておけば間違いありません。

人件費(管理経費)

いわゆる役員報酬のこと。

基本的には人件費(運送費)と同じ計算でOKです。

前述したように、役員が運転者を兼ねる場合はコチラの欄に記載してください。

また、管理経費内にも「備品・消耗品や光熱費、広告費」などを含める「その他の経費」欄がありますが、ここも5万円程度を記載しておきましょう。

4.保険料等

保険料等には「自賠責保険料」「任意保険」のほか、「自動車重量税」「自動車税」「登録免許税」がかかります。

保険いろいろ

自賠責保険料

自賠責は特殊車両である「車いす移動車」…いわゆる8ナンバーであれば大幅に軽減できます。

ミニバンやハイエースの保険料は62500円ですが、8ナンバーであれば126700円となります。

この差は大きいですよね。

確実に8ナンバーを取得できるよう、自動車販売店に相談しましょう。

ちなみに8ナンバー軽バンは8280円です。

任意保険料

介護タクシー事業を行うにあたって、任意保険は加入義務が生じます。

対人8000万円以上、対物200万円以上の補償プランに加入する必要がありますが、大抵の事業者はどちらも無制限で加入しています。

初年度はだいたい20万円程度の保険料となるでしょう。

自動車重量税

重量税は以下の通り。

  • 軽バン…2600円
  • ミニバン…7800円
  • ハイエース…13000円

自動車税

自動車税は以下の通り。

  • 軽バン…7500円
  • ミニバン…13800円
  • ハイエース…15700円

なお、福祉車両であれば自治体により減額される可能性があります。

逆に、古い車両は増税されてしまいますので、購入時に注意しましょう。

自動車税・重量税

登録免許税

不動産や会社の登記、登録時に課せられる登録免許税ですが、介護タクシーも例外ではありません。

3万円が徴収されます。

営業許可がおりたら、振込用紙を貰いましょう。

そして、振込み後に控えを運輸局に送付すればOK。

忘れてると、事業をスタートできません。

5.その他

許可を取るだけなら、この欄に金額を記載する必要はありません。

既に持っているものとして申請できます。

ただし、事業を行う上で必要になるもの…「貸出用の車イス」や「パソコンなどの事務用品」、「休憩室用の物品」、「営業開始後数ヵ月の生活費」などは、確実に用意する必要があります。

特に生活費は3ヵ月分…60万円程度は確保したいところです。

自分の計画には、しっかりとこの部分の資金もおり込んでおきましょう。

大切なことなのでもう一度!

営業許可がおりる金額より、実際には多めの運営資金が必要になることに注意してください!

生活費の確保をしっかりと!

開業までの概算金額

これまでの金額をまとめてみましょう。

この表は車両をミニバン、土地・建物を賃貸として計算しています。

もちろん軽バンならその分安く、ハイエースなら高くなります。

概算合計では、事業開始当初に要する資金の方が高く「3,632,752円」となりました。

つまり、銀行口座の残高証明は「3,632,752円」以上である必要があります

ちなみに、残高証明は許可申請の当日と、法令試験合格直後の2回提出しなければなりません。

どちらかでも下回っていると、許可がおりませんので注意してください。

~最後に~開業支援はビスタにお任せください!

いかがでしたか?

介護タクシーはミニマム起業が可能な事業です。

それでも、300万円程度の資金は必要なることが、わかって頂けたかと思います。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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