介護タクシーを利用したい人と事業者の結びつけるのが介護タクシー版の配車アプリです。
この介護タクシー向けの配車アプリは、業界全体にとって大きな可能性を与える存在といえるでしょう。
同時にいくつかの現実的な問題点・課題も存在します。
というのも、現在のアプリは比較的新しいサービスです。
そのため、仕組みや普及が完全には進んでいないため、利用者・事業者双方の利便性向上の余地が残っているからです。
そこで今回は、配車アプリの現在の課題をしっかりと解説。その後、成功例も紹介したいと思います。
メリットのみならず、課題にも目を向けて、あなたの配車アプリ導入の検討材料にしてください。
この記事は…
- 配車アプリに興味のある介護タクシーの事業者
- 介護タクシーの開業を希望している方
- 第二の人生の仕事を探している方
…などにお読みいただけると幸いです。
まずは介護タクシーの配車アプリについて簡単に説明しましょう。
前述したとおり「介護タクシーの利用者」と「介護タクシーの事業者」を結びつける…マッチングさせるためのアプリです。
まずは、利用したい人が希望の日時と条件をアプリに打ち込み送信します。
すると、登録してある複数の事業者にその依頼がサーバーを経由して到達します。
事業者は条件を確認後、依頼の受諾の可否を(事業者によっては見積もりもプラスして)アプリに打ち込み返信します。
その後、利用者はアプリに届いた受諾可能の事業者一覧から依頼する事業者を決定し、マッチングが成立。
これが配車アプリの一連の流れになります。
従来の予約では1件1件電話で依頼するというのが、一般的で利用者にも事業者にも負担となっていました。
ですが、この配車アプリはその手間と負担を劇的に解消する力を持っています。
詳しくは前回の記事をご確認ください↓
多くのメリットを利用者にも事業者にも与えてくれる配車アプリではありますが、同時に課題も多く残されています。
歴史の浅い配車アプリには下記のような課題が残されています。
- 地域による対応範囲の偏り
- 高齢者・利用者側のデジタルリテラシーの壁
- 配車マッチングの限界と待ち時間
- システム側の機能やUIの未成熟さ
- 人的業務との調整・サービス品質のばらつき
- 事業者側のシステム導入コスト・負担
- 配車アプリでは補えない「人的コミュニケーション」の重要性

そもそも、介護タクシー配車アプリは首都圏など都市部中心に展開しているものがほとんどです。
つまり、地方や過疎地では利用できない地域が多いのが現状。
また、配車アプリを導入している対応事業者も少ないという課題があります。
アプリに登録されている事業者数が少ないと、当然ながらマッチング率が下がります。
そうすると利用したくても、必要な日時・場所で使えないケースが増えてしまいます。
これは、一般的な配車アプリでも見られる「都市部とのサービス格差」に類似した問題といえるでしょう。
介護タクシーの主要な利用者は、高齢者です。
つまり、スマホ操作が苦手な方も多く、中には認知機能が低下している方もいます。
そのため、アプリをインストールし、操作すること自体が高いハードルになる可能性があるのです。
- そもそもスマホを持っていない
- アプリのインストールや初期設定が難しい
- 複雑な条件入力が分かりにくい
上記の例などは、特に高齢者や身体機能が低い利用者にとって大きな負担となります。
これは一般の配送アプリの普及課題とも共通する「難題」です。
また、介護タクシー配車アプリは複数の事業者から見積もりを受け、利用者が選べる仕組みが多いです。
この仕組みそのものが、リアルタイム即時配車には向かない場合があります。
というのも、通常の一般タクシーの配車アプリでは「近くの車がすぐ来る」仕組みになっています。
しかし、事業者から見積りを受けてから選択する介護タクシー方式の場合、どうしても配車までに時間がかかる可能性があります。
これは利用者の利便性の点で大きな課題といえるでしょう。
また配車の依頼が特定の時間帯に偏ると、空車の事業者が見つからず待ち時間が長くなることもありえます。
特に通院が集中する午前中の時間帯は、前々からの予約で埋まりがちです。

介護タクシー配車アプリは、一般の配車アプリと比べると、利用者の絶対数の違いから市場規模が小さくなります。
これはそのまま、「システム面の成熟度の低さ」に直結します。
というのも、このようなアプリは利用者からのフィードバックを得ながら、アップデートを繰り返すのが普通です。
ですが、利用者が少ないとフィードバックが不十分。
その結果、システム上に不具合はないが、「使いにくい」「判りづらい」アプリになってしまうのです。
現状の具体的な指摘点は以下の通り。
- 利用者が痛み・介助レベル・機材(車いす・ストレッチャー)などの条件を正確に指定しづらい
- アプリ内の入力項目が多く、説明が不十分
- アプリの操作が高齢者にとって分かりづらい
- 予約変更・キャンセルが容易でない場合がある
つまり、アプリのユーザビリティ(使いやすさ)に向上の余地が残っているといえるでしょう。
一般的な配車サービスでも、UI(ユーザーインターフェイス)の改善が重要だとされています。
介護タクシーの利用者の多くが高齢です。
そこを考えるとなおのこと、介護タクシー配車アプリは特に「使いやすい」かつ「見やすい」UIにしておく必要があるでしょう。
配車アプリでは条件を指定して、依頼を出すことになります。
ですが、介護タクシー事業者側で必ず対応できる保証があるわけではありません。
介護タクシーは単純な乗車だけでなく、利用者の身体状況によって介助・安全確認・患者の身体的ケアなどが必要です。
しかし、事業所の運営体制やドライバーの資格や技術によって、介護分野に対してサービスの品質が大きく異なることもあります。
これは単純に、アプリだけでは解決しきれない難しい課題です。
問題の根底には現場の人員不足がつながっています。

介護タクシーは多くが個人事業主や小規模事業者です。
そのため、どんなに良さそう・便利そうだと思っていても、導入には二の足を踏みがちです。
というのも、システムの恩恵は実際に受けてみないとわかりませんが、システムに適応するための労力と月々のコストが増すことは解っているからです。
例えば、配車アプリへの対応・端末管理・操作教育・月額利用料など、経済的・人的負担は避けられないでしょう。
大規模配車システム(Uberや大手タクシー会社向けアプリ)と比べると、介護タクシー向けアプリの導入支援が十分でない場合も多いのが現状です。
介護タクシーは一般タクシーと異なり、利用者の体調・過去の病歴・介助ニーズ・家族との打ち合わせなど、人と人のコミュニケーションが重要な領域です。
これらはアプリである程度は指定できます。
しかし電話や対面での細かなやりとりを完全に置き換えることは難しいでしょう。
特にアプリだけに頼ると意思疎通不足のリスクが残るケースがあり、十分なサービスを提供できないこともありえます。
これは介護業界特有の人間中心のサービス特性に起因する課題です。
アプリの文面のみに頼る危険性を、双方が認識しておく必要があるでしょう。
これまでの問題点をまとめると下記ようになります。
| 問題点 | 内容 |
|---|---|
| 地域カバレッジの偏り | 都市部中心で地方は未対応・登録事業者が少ない |
| デジタル操作へのハードル | 高齢者・障害者にはスマホ操作が負担 |
| 待ち時間・マッチング精度 | 即時配車が難しく待ちが出る可能性 |
| UI(ユーザーインターフェイス)の未成熟 | 操作性・入力負担が残る |
| 人的対応の必要性 | 細かな介助ニーズにアプリだけでは対応しきれない |
| 導入コスト負担 | 小規模事業者への負担が重い |
| コミュニケーション不足 | 利用者との細かなやり取りが不足しがち |
前項までの問題点は、技術の進化とともに解決できる部分もあります。
改善できるポイントを挙げてみましょう。
- UIを高齢者向けに最適化(大きな文字・音声入力など)
- 予約・条件入力の自動化・テンプレ化
- 地方自治体と連携した対応エリア拡大支援
- 事業者支援(導入補助・教育支援)
- 電話やチャット等のハイブリッド運用
これらを実現することで、介護タクシーの配車アプリはより使いやすくなっていくでしょう。
決して、アプリ内の機能の充実にとどまらないのがポイントです。
特に自治体との連携や事業者支援などは、特定の事業者のみでできることではありません。
ですが、改善できたその先には「地域の移動インフラ」として定着していく可能性が大いに高まるでしょう。
そのためにも業界全体で、地方自治体に働き掛ける必要があります。
次項では、成功しているといってよい、配車アプリを紹介します。

『よぶぞー』は介護タクシー専用の配車予約アプリです。
2023年3月のリリースして以降、利用者数の伸びがすさまじいです。
累計アプリ会員数は2025年9月時点で 、なんと約10,000人を突破 しています。
これは狭い介護タクシー業界の中では目を見張る数字といえるでしょう。
条件入力後に最適な介護タクシー事業者とのマッチングをしてくれるアプリですが、特徴は以下の通り。
- お気に入りドライバーの指名予約機能
- 複数予約の一括管理(ケアマネージャー向け)
- 自治体や業界団体との協業による信頼性向上
利用者にも事業者にも使いやすいように設計されていることが一番の評価ポイントといえます。
他にも自治体や業界団体が協力している背景があり、アプリ利用者に支持される一因となっています。
神奈川・東京・埼玉・千葉を中心に対応する配車アプリ『i-CareGO』。
こちらは、利用日時や介助ニーズを入力すると、条件に合うタクシーに配信し、事業者は見積もりをアプリ上で返信できる仕組みです。
見積もりが表示されるのは利用者にとってありがたいこと。
料金への不安も解消され、選択の大きな要因となります。
また、送迎明細やスケジュール管理機能も備わっており、単なる配車アプリ以上の実力を持っています。
横浜市の支援を受けた介護タクシー専用配車アプリ『ムーブ』。
このアプリは、利用者・事業者双方の利便性向上を目的として実証実験が進行中です。
また、予約転送や情報の事前共有機能も特徴的。
この実証実験が成功に終われば、地域交通の課題解消につながります。
自治体からのバックアップも受けており、介護タクシー業界の未来の可能性を探っているといっても過言ではありません。

最大の課題は、全国をカバーする配車アプリがないということです。
現時点では一部地域のみ対応するアプリが多く、全国的なカバーには至っていません。
これはそのまま、福祉と社会インフラの地域格差を意味しているといえるでしょう。
今後は、対応エリアの拡大させるとともに、より柔軟な条件指定や介護情報の事前共有、AIによる最適マッチングといった機能の充実が鍵となってくるでしょう。
また、単なるアプリの使い勝手だけでなく、高齢者目線での使い勝手も重要です。
大きな文字や簡単入力、音声案内など、高齢者ファーストの改善を目指さねばならないでしょう。
我々介護タクシーは常に寄り添いが重要です。
さらに配送アプリは単なる便利ツールではなく、介護タクシーサービス全体の底上げにつながる社会インフラになり得ます。
なぜなら予約の簡略化、事業者の効率化のほか、外出機会の増加による生活の質向上、健康寿命の延長など、様々な効果が期待できますからね。
自治体の移動支援施策や、介護保険との連携によって、利用費用の補助や予約支援の公的支援が進めば、より広い層の利用者に恩恵が広がります。
また、ケアマネジャーや病院とのシステム連携も進むことで、介護・移動の連続性が高まるでしょう。
実際に横浜市のように実証実験段階まで進んでいる事例もあります。
介護タクシーの配車アプリは高齢化が進む日本にとって、社会全体で取り組む価値が十分にあるといえるでしょう。
いかがでしたか?
介護タクシー配車アプリは、課題も多く現状では発展段階と言わざるを得ません。
しかし、それでもメリットは多く、今後の発展が色濃く予想されます。
というのも、配車アプリは利用者・事業者双方に有益であることに留まらないからです。
問題となっている高齢者の交通インフラの格差を解消する可能性を持っており、そのことに自治体が気付き始めているためです。
本来インフラを整備するはずの自治体が、配車アプリのメリットに目を付け支援してくれるのであれば、これほど心強いことはありません。
仮に公認を得られただけでも、利用者からの信頼は厚いものとなり、登録や利用の後押しとなるでしょう。
事業者としてこの好機を見逃すのは、実に惜しいと言わざるを得ません。
先行者として利用者との信頼を構築しておくためにも、今のうちに配車アプリの導入を検討してみましょう。
この記事があなたの一助となれば幸いです。

またビスタサポートでは、介護タクシーの開業支援事業を行っています。
- 介護タクシーを開業したい方
- 介護・医療スキルを活かして起業を目指したい方
- 既に介護・看護の事業を行っているが、サイドビジネスも考えている方
- 第二の人生のため、何かしらのビジネスを検討している方
…などなど、介護タクシーに狙いを定めている方でも、はっきりとしたビジョンが無い方でもOKです。
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最後までお読みいただきありがとうございました。



