介護タクシーで独立・開業を考えると、多くの方がまず「どれくらい働けば、どれくらい稼げるのか」を知りたくなるでしょう。
なぜなら、固定給の会社員と違い、「働いた分だけ、実入りがある」というのは個人事業主の特権とも言えますからね。
一方で、このことは「働かないとお金が入ってこない」ことも意味しています。
そのため「いつまで働けばいいの?」「休みはいつとればいいんだろう?」といった、長時間労働や休みの取りづらさを不安に感じる声も少なくありません。
しかし実際の現場を見ると、介護タクシーの収益は「長く働くかどうか」だけで決まるものではありません。
なぜなら稼働時間の使い方と単価を意識することによって、変動するからです。
そこで今回は、介護タクシーの稼働時間と月収の関係をみながら、単価を上げる工夫や上手な休日の取り方を解説したいと思います。
この記事は…
- 介護タクシーの開業希望者
- 起業して間もない介護タクシー経営者
- なにかしらの事業を始めようと思っている方
…などにお読みいただけると幸いです。
介護タクシーの働き方は、一般的な会社員のように「拘束8時間=労働8時間」ではありません。
なぜなら、利用者からの予約もとに仕事をしているため、拘束=労働ではないからです。
実際には、運転・介助をしている「実質稼働時間」が収入を左右します。
多くの事業者が持つ介護タクシーの月商のイメージは…
- 1日4時間前後の稼働で月商25〜30万円前後
- 1日6時間前後になると月商45〜50万円前後
- 1日8時間前後で月商60万円台
…といったもので、上記が月商の目安となります。
ちなみに月商は月の売上の総額であり、月収は月商から経費を引いた「純粋な収入部分」になります。
さらに、一般的な介護タクシーの月の経費は10~25万円(経費率30~45%)と言われています。
つまり、介護タクシーの月収の目安は以下の通りです。
- 1日4時間程度の稼働で月収15〜20万円前後
- 1日6時間程度で月収25〜30万円前後
- 1日8時間程度で月収35万円台

では、月収を上げたいと考えたとき、介護タクシーは「毎日8時間稼働を続けなければならないのか?」と問われれば、答えは「NO」です。
収益を考えたとき、多くの人は「長時間働かなければ…」と考えがちです。
ですが、介護タクシーは稼働時間を増やすには限界があります。
そのため、稼働時間ばかり考えていると、収入は頭打ちになってしまうのです。
そこで重要なのが下記の2つになります。
- 稼働時間増加より「単価」を意識する
- 「動線」設計で単価を引き上げる
まずは1件当たりの単価を意識しましょう。
短距離の送迎を細切れに入れるより、「単価」の良い案件を選別した方が実入りは良くなります。
- 移動距離と時間のバランスが良い案件
- 介助料が適切に見込める案件
- 往復や施設送迎などで流れを作れる案件
これらは「単純に単価が良いもの」や「介助料のプラスがあるもの」、「複数依頼につながる」などの案件です。
このような案件を選べるようになると、同じ稼働時間でも売り上げは自然と向上するでしょう。
ですが、無理に単価の高い仕事に絞れという意味ではありません。
そんなことをすれば、通常の依頼もこなくなってしまいます。
重要なのは、自然と高単価の仕事依頼が舞い込むように営業したり、環境を整えたりすることです。
例えば、施設送迎が増えるよう顔出ししたり、介護料やオプション代を貰えるようストレッチャーを導入する…などといったことが考えられます。
自分の体力やスキル、車両の装備、地域の特性にあった「丁度良い単価帯」を見つけましょう。

また、単価を上げるうえで見落とされがちなのが、1日の動線設計です。
同じ6時間稼働でも、動線次第で売上と疲労度は大きく変わります。
たとえば…
「午前中は同一エリア内で通院対応をまとめる。」
「午後は施設や転院など、ある程度まとまった時間を要する仕事を入れる。」
といった組み立てができるようになると、移動ロスが減り、1件あたりの実働密度が高くなります。
結果として、稼働時間を増やさずに月収を底上げできるようになります。
予約は利用者側からの依頼ありきなので、1台体制の事業所はこちらからコントロールするのは難しいでしょう。
ですが、組み立てを意識している場合といない場合では、最終的に差が付きます。
さらに複数台で稼働している事業所は、車両への案件を振り分けるときにコントロールが可能です。
特に意識して、組み立てを行いましょう。
この項目では実際の現場で見られる月商別のモデルを紹介します。
あなたの働き方の参考にしてください。
- 稼働日数:月15日
- 1日の実質稼働時間:4〜5時間
- 1日の売上目安:8,000〜12,000円
- 月商:約12万〜18万円
このモデルは、開業直後や、他の仕事と並行して行うケースを想定しています。
午前中に通院送迎を1〜2件、午後は入れずに終了、という日も多く体力的・精神的な負担はかなり軽めです。
はっきり言って売上は控えめです。
が、その分経費を安く抑えられるほか、顧客や施設・病院といったこれからの関係づくりに時間を使えます。
土台作りと認識して、じっくり取り組みましょう。
- 稼働日数:月20日(平日中心)
- 1日の実質稼働時間:6〜7時間
- 1日の売上目安:18,000〜25,000円
- 月商:約36万〜50万円
最も多くの個人事業主が到達するのが、このゾーンです。
午前中に病院送迎2〜3件、午後に施設送迎や買い物同行を1件入れると、自然とこの売上帯になります。
このモデルは長時間労働になりにくいうえ、売り上げも安定しており、休日も確保しやすくなっています。
稼働時間をセーブしても、設計次第で月収40万円が見えてきます。

- 稼働日数:月18〜20日
- 1日の実質稼働時間:6時間前後
- 1日の売上目安:25,000〜35,000円
- 月商:約50万〜65万円
高単価の仕事を選別していった先にあるモデルです。
なお、ストレッチャー対応や転院搬送、長距離送迎、イベント対応依頼などが中心に設計されています。
結果として、稼働時間はそれほど長くないのに、売上は高め。
理想のモデルとする人も多いでしょう。
ただし、判断力や経験、スキルなどが求められ、依頼されるには利用者からの信頼されていることが必須条件です。
すなわち2~3年目以降の「目標モデル」といえるでしょう。
- 稼働日数:月24〜26日
- 1日の実質稼働時間:8時間前後
- 1日の売上目安:30,000円以上
- 月商:70万円前後
稼働時間および稼働日数ともに、限界近くまで伸ばしたモデルです。
ここまで稼働すると確かに売り上げは伸びますが、デメリットも大きくなります。
- 体力消耗が激しい
- 判断ミス・事故リスクが上がる
- 長期的な疲弊
したがって、多くの事業者はこのような稼働は「繁盛期のみ」としています。
多くの介護タクシー事業者は「1日6時間稼働が一番安定する」と評価しています。
それには以下のようなメリットがあるからです。
- 集中力を保ちやすい
- 翌日に疲れを残しにくい
- 急な依頼にも余裕を持って対応できる
介護タクシーは、単なる運転業務ではなく、利用者の状態確認や介助判断を常に求められます。
長時間稼働が続くと集中力が落ち、ヒヤリとする場面が増えてしまいます。
そのため、集中力を保ちやすく継続でき、仕事の質を担保できる「6時間稼働」に自然と落ち着くのです。

介護タクシーは予約制のため、気をつけないと仕事が入り続けてしまいます。
その結果、「気づけば休みがない」という状態に陥ることも珍しくありません。
しかし、介護タクシーを続けていくためには休日をしっかりと取ることも必要です。
そこで大切なのが、仕事だけでなく「休日」を設計することです。
- 休日を後から調整しない
- 半日稼働を取り入れる
予約制の介護タクシーは、どうしても予約の「多い日」「少ない日」が発生します。
特に開業当初は「予約のない日」もあることでしょう。
ここで陥りがちなのが「どうせ休むなら予約がない日しよう」という考えです。
つまり休日を「予定に合わせて後から調整しよう」という考えですね。
はっきり言って、これは悪手です。
はじめのうちはそれでも成り立ちますが、予約が埋まり始めるとそうはいきません。
というのも、「予約が少ないから」といって、突然休みにすることは出来るはずもありません。
そんなことをしたら即座に信頼を失い、利用者は離れていくでしょう。
となると、後に残るのは「休めない」という現実です。
そんな事態を招かないために大切なのが、休日を後から調整しないことです。
つまり先に「この日は休む」と決めておき、予約を入れないスケジュールを組むことです。
その際、意識するのは次の3つです。
- 週に1日は完全オフを設ける
- 月に1〜2回は連休を作る
- 繁忙期と閑散期でメリハリをつける
こうした休日設計をしても、月商全体が大きく崩れることはほぼありません。
そして無理なく介護タクシーを続けるためにも、繁忙期でも必ず週に一度は完全休養をとりましょう。

週に1度の完全オフを守っているならば、完全な休日をもう一日設けにくい場合「半日稼働」という選択肢があります。
午前中のみ数件対応し、午後は完全にオフにする。
あるいはその逆でも構いません。
介護タクシーは1件あたりの単価が比較的高いため、半日でも一定の売上を確保しやすいのが特徴です。
この柔軟さは、独立開業した者の特権と言えるでしょう。
いかかでしたか?
介護タクシーの月収は稼働時間と単価で決まってきますが、単価を意識することで収入アップへの道筋が見えてきます。
その結果、無理のない売上ラインが解ってくるでしょう。
その上で売上が安定すれば、休日をしっかり確保する心理的余裕も生まれることでしょう。
介護タクシーはこうした好循環を、自分で作れる仕事です。
介護タクシーは、この好循環を作れる仕事です。
「たくさん働くから稼げる」のではなく、「仕事も休日も設計するから、長く続けられる」といった発想にシフトしましょう。
無理な長時間労働に頼らず、自分のペースでしっかりと働いていきましょう。
この記事があなたの一助となれば幸いです。

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