介護タクシー事業では、売り上げを伸ばすために車両や介助技術で、差別化(ブランティング)を行います。
ですが、差別化を行えるポイントはそれだけではありません。
「予約を取りやすい」というのも立派なブランディングです。
実際に、介護タクシーにとって「予約管理」は、送迎の「配車スケジュール」に直接影響を及ぼします。
ひいては、売り上げをはじめとした業績やリピート率を、大きく左右させるでしょう。
しかしこの「予約」に関して、介護タクシー業界は未だに電話予約中心の運用が多いのが現状です。
そのため利用者視点で見ると、予約や時間調整に負担が大きいという課題が残っています。
さらに事業者視点では、電話中心の予約体制のせいで依頼を逃してしまう機会損失が問題となっています。
また、予約管理がうまくいかない場合、送迎ミスやダブルブッキングなどのトラブルに発展します。
そこで今回は、売り上げ効率を向上させ、クレームを防止する「予約管理」について解説します。
この記事は…
- これから介護タクシーを開業する方
- 介護タクシーを開業して1~2年の事業者
- 事業を拡大させたい介護タクシー経営者
…などにお読みいただけると幸いです。
売り上げが「予約管理」に左右されるのには、介護タクシーに次のような特徴があるからです。
- 通院など時間指定が多い
- 朝夕に予約が集中しやすい
- 車椅子や医療機器など条件が複雑
- 介助内容の事前共有が必須
これらのように利用時間帯が集中しやすいほか、利用に関する条件が複雑です。
その結果、手作業管理では色々な問題が発生しやすくなります。
たとえば「ダブルブッキング」や「配車遅延」、「空車時間の増加」など、単なる電話対応の負担では収まりません。
逆に言えば、これらの問題が起こらないような完璧な「予約管理」が出来ればどうなるでしょうか。
車両ごとに的確なスケジュール管理が行われ、送迎に最適なルートが示され、配車の遅延や空車時間も少なくなります。
結果的に売り上げは確実に伸びることでしょう。

現在、電話予約が主の介護タクシー業界にもデジタル化が波及しつつあります。
そのひとつが予約アプリの普及です。
介護タクシーの予約アプリには以下のような特徴があります。
- 条件入力だけで、複数の予約候補となる事業者が展示される。
- 事業者から、利用条件に応じた見積もりが届く
- 配車調整の手間が削減
従来は見積もりもハッキリしない上、決まるまで複数の業者に電話する必要がありました。
下手をすれば30分以上かかっていた利用者の予約作業も、予約アプリの活用で大幅に負担が軽減されています。
また、事業者側からみても、機会損失の削減につながることや、運転中のハンズフリーマイクによる予約受付なども減るため大いに利用価値があります。
このように予約アプリは、双方にとって利便性が高く、今後さらに普及していくことが予想されます。
では、介護タクシー事業者にとって予約を最適化させることにより、どのようなメリットがあるのか見てみましょう。
主なメリットは次のとおりです。
- 売上アップ
- クレームの減少
- 事務作業の削減

予約管理が最適化するということは、配車のスケジュールも最適化されているのと同義です。
つまり、送迎ルートも的確なものが選定されており、空車時間の減少期待できるでしょう。
さらに結果として、対応件数が増加し、売り上げのアップへと繋がります。
もちろん上記のように一台体制でも売り上げアップの効果はあります。
ですが、複数台稼働している事業所では、地区や条件による割り当てを工夫できるため、さらに予約管理の恩恵を受けることが出来るでしょう。
管理を徹底すると、ダブルブッキングや送迎漏れが無くなります。
そのためクレームも挙がりにくくなるでしょう。
また、配車システムを利用している事業所は、さらにクレームがあがりにくくなります。
というのも、高度な配車システムはリアルタイムな交通情報を共有していたり、GPS連携をしていたりします。
その結果、遅延への対応ができたり、正確な到着時刻の予想も立てれるようになります。
遅延もクレームの主な原因の一つとなっているので、その効果は大きいでしょう。
さらに、配車システムを活用し、自動割り当てやスケージュール連動させることにより、事務作業を削減することが出来ます。
例えば、電話対応の時間や予約入力の作業を減らすことが可能です。
また自動で配車やスケジュールを組んでくれるので、管理者は頭を悩ませる必要が無くなります。
最終的なチェックだけで済むので、他の仕事に集中できます。
これはドライバーを兼ねている経営者にとって、大きな負担軽減となるので喜ばしいことでしょう。

さて予約管理といっても、A社もB社も同じ予約管理方法が最適かと言われるとそうではありません。
なぜなら車両の保有台数や固定の利用者数も全く異なるからです。
一人一台体制の介護タクシーと、10台以上保有する企業では管理方法が違って当然です。
たとえ一台の稼働車両を管理するのに最適な方法でも、そのまま複数台の管理に当てはめるわけにはいきません。
個別指導が得意な家庭教師が、必ずしも優秀な学校教員にはなれないのと同じです。
そのため、この項目では段階別に最適な予約管理方法を紹介します。
- 電話+LINEでの予約受付
- 顧客台帳の作成
- 共有カレンダーの活用
開業直後で1~2台の稼働台数では、配車システムのような大仰な管理方法はいりません。
というのも1~2台であれば、管理はそう難しいものではないからです。
予約の受付も「電話」と「LINE」で、とりあえず問題ありません。
というより、まずはその二つに絞り事務の簡素化図りましょう。
ダブルブッキングなどに気を付けて、空き時間に予約を入れていけば良いのです。
ですが、「情報の一元化」は必ず行う必要があります。
「情報の一元化」とは、「予約日時、利用者情報、介助内容、使用車両などの情報を1か所見れば全員が同じ情報を確認できる状態」にすることです。
開業一年目でありがちな状態が、予約日時はホワイトボード、利用者情報はエクセル、介助内容を口頭で聞いて、住所・電話番号はスマホ…このように情報をばらばらにしている状態です。
これでは「いつ誰がどこへ行くのか」が一目でわかりません。
情報の言い間違いや聞き間違いも起こりますし、急な時間変更に対応できません。
仮に対応できても、確認に時間がかかります。
これらは全て配車ミスやクレームに繋がります。
それに対し、共有カレンダーに予約とその内容をすべて登録するとどうでしょう。
共有カレンダーを見れば全てがわかる状態にすれば、配車ミスが極力なくなり、クレームもおこりづらくなります。
つまり「分散している情報を集約すること」が大事なのです。

- 予約管理アプリ
- 共有配車表
- 定期送迎の入力テンプレ
事業を拡大し3~4台体制になってくると、当然従業員も増えているでしょう。
依頼の案件も相当数になっていることでしょう。
この段階で「電話対応の限界」を迎えます。
そこで必要になってくるのが「予約管理アプリ」です。
予約管理アプリは共有カレンダー同様、複数人で同じアカウント・情報にアクセスできます。
では「共有カレンダーでも良いのでは?」と思われた方もいるかもしれません。
ですが、台数が増えるにしたがって、入力のミスや漏れなど人的ミスが必ず増えていきます。
その点「予約管理アプリ」では、予約を受け付けるだけでなく、カレンダーに自動登録されるものや案件の自動割り当て、アプリ通知・過去の予約履歴管理が可能なものもあります。
つまり予約の半自動化が可能になります。
「共有カレンダー」だけでは情報の一元化は出来ても、その一元化は人の手で行うアナログでした。
ですが予約管理アプリでは、入力や配車までデジタルで自動化されます。
もしアプリ導入までのあいだ、共有カレンダーの使用を続ける場合は、少なくとも「定期送迎の入力テンプレ」を作っておきましょう。
これにより、予約ごとに1から入力するよりも、ミスはずっと減らすことが出来るはずです。

ここまでくると、DIYでの予約管理は不可能といってよいでしょう。
そこで検討しなければならないのが、タクシー会社や配送会社で使われている「配車システム」の導入です。
介護向けではありませんが、予約管理の仕組みを流用することが可能です。
また、国内の介護向けの配車システムもあります。
が、予約管理だけでなく、配車自動化機能やドライバー連携など、必要な機能を見極めてから選びましょう。
いずれにせよ、導入にはそれなりのコスト(車両端末代や月額利用料など)もかかりますので、慎重に検討してください。
もちろん「ウチは出来ている。言われるまでもない。」という事業者もいらっしゃるでしょう。
参考までに覗いて、漏れがあったら改善してください。
- 情報の一元化
- その他
真っ先に行うべきは前述した「情報の一元化」です。
これはITが得意である必要はありません。
なぜなら、必要なのは「共有カレンダー」と「エクセル(もしくはスプレッドシート)」入力くらいです。
そのため、大きく身構える必要はないでしょう。
具体的に行う項目は以下の4つです。
- 予約情報を一つのカレンダーに集約
- 利用者情報を一つの台帳にまとめる
- 介助対応の内容を「文字」で残す
- 予約受付の入口を決める

まずは全ての予約を「共有カレンダー」に登録しましょう。
グーグルカレンダーでもicloudカレンダーでも構いません。
そして、車両ごと・日付ごとに一覧で見える状態にしておきましょう。
そのためにも次の最低限の項目だけは入力しましょう。
- 日時
- 利用者名
- 送迎元~送迎先
- 車いす・ストレッチャーの有無
最低限これだけ入力しておけばOK。
「今日・明日の動き」が一目でわかることが重要です。
また「共有」ですので、スタッフ全員がスマホでもPCでも確認できるようになります。
一度でも使ってくれた利用者の情報はまとめておき、一つの台帳で管理しましょう。
なぜなら、介護タクシーにとって利用者は一期一会の存在ではありません。
事業の成功にはリピーターの存在が不可欠です。
利用者の情報をまとめ覚えておくことは、利用者から信頼してもらえるかどうかの決めの一手です。
特に介助レベルや段差や階段などの注意事項を覚えておくと、利用者からの評判は良くなります。
「前回はどう対応したのか?」をすぐに確認できると、現場で頼られる介護タクシーとして認知されます。
その際の管理ツールはエクセルやスプレッドシートで十分です。
ちなみに台帳に記載する内容は以下の通り。
- 氏名
- 電話番号
- 住所
- 介助レベル
- 注意事項(階段や段差、家族対応、前回の対応など)
前項に繋がりますが、介助や個別対応の内容は必ず「文字」に残しましょう。
口頭や記憶だよりは止めてください。
例えば「玄関に段差あり。」「病院での待ち時間が短め。次事案を入れる余裕なし。」などを台帳に残しておきましょう。
将来、従業員を雇ったときに、スムーズに引き継げます。
また予約の入口を絞ることで、チェック漏れやダブルブッキングが減少します。
なぜならSNSのダイレクトメールなどにも広げてしまうと、チェック範囲が広がり収拾がつかなくなる可能性がでてくるからです。
そこで開業直後にお勧めなのは「電話」と「LINE」です。
この二つに絞り、「入った予約は必ずカレンダーと台帳に記入」というルールを徹底しましょう。

以下が出来ていれば合格です。
- 今日明日の予約が一画面でわかる
- 利用者ごとの注意点がすぐ分かる
- 電話が来ても即答できる
- 急なキャンセルや変更に対応できる
その他の改善点は以下の通り。
- 定期送迎は固定枠にする
- バッファ(余裕)時間を必ず設定
- 地域ブロック制
- 受付担当を固定
定期送迎で利用してくれる顧客は最優先させましょう。
なぜなら定期送迎は決まった売り上げが入ってくると約束されている案件です。
これは事業に安定をもたらします。
「〇曜日の10:00~11:00は△さん」というように固定して、他の依頼を入れないようにしましょう。
また予約は一つ一つに余裕時間…バッファ時間を設定しましょう。
そうすることで、オーバーしても次の予約に間に合うようになります。
時間に遅れることは信用問題…つまりクレームに直結します。
また、可能な範囲で送迎エリアを集めるようにします。
空き時間が減少し稼働率を高めることが出来ます。
さらにはスタッフが複数いる事業所の場合は、予約を受け付ける担当を固定してください。
こうすることで情報の共有ミスが大幅に減少します。
いかがでしたか?
今後は「電話対応が早い会社」ではなく「予約が取りやすい会社」が選ばれる時代です。
実際、介護タクシーは条件説明が複雑で予約しづらいという課題があり、デジタル予約の需要は拡大しています。
そのような情勢の中、成功する事業者は共通して、
・予約を一元管理
・配車を仕組み化
・定期客の固定化
を早期に導入しています。
最初から高額の予約システムは不要です。
重要なのは「段階的に進化させること」。
今こそ、予約管理を仕組化させて売上アップを狙いましょう。
この記事があなたの一助となれば幸いです。

またビスタサポートでは、介護タクシーの開業支援事業を行っています。
- 介護タクシーを開業したい方
- 介護・医療スキルを活かして起業を目指したい方
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…などなど、介護タクシーに狙いを定めている方でも、はっきりとしたビジョンが無い方でもOKです。
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最後までお読みいただきありがとうございました。


