夜間や休日にケガや病気をしてしまったら…
介護をしていると、そのような場面に出くわすことも多くなるでしょう。
なぜなら、体調不良は時と場所を選びませんからね。
当然、要介護者であればその確率は高くなります。
もちろん、自分がその立場になることもあるでしょう。
平日の日中ならば、自家用車やタクシーで病院に行くことが出来ます。
しかし、病院が閉まっている夜間休日には困ってしまいます。
さらに、症状が重く緊急性があるかどうか迷った場合はどうすればよいのでしょうか?
今回は深夜や休日に具合が悪くなり、判断に迷った時の対処法を記していきたいと思います。
この記事は、介護をされている方のみならず、このページを見てくれている全ての方にご覧いただきたい内容です。
病院の診療時間外に、怪我をしてしまったり病気を発症してしまった時、どのような対応パターンが考えられるでしょうか?
しかしそのことを考える前に、事前にやっておかねばならないことが一つあります。
それは「かかりつけ医に事前相談しておくこと」です。
前もって、急病やケガをした時の行動をかかりつけ医に相談して決めておきましょう。
特に普段から病気がちだったり、要介護認定を受けている人は具体的な症状や数値を示してもらいましょう。
例えば肺に疾患がある方は、血中酸素飽和度(SPO2)の値がどのくらいを示せば病院の自己受診が必要なのか、救急車を呼ばねばならない緊急性のある具体的な数値とはどのくらいなのかを聞いておくと良いでしょう。
他の疾患に関しても同様に聞いておくと安心ですね。
かかりつけ医によっては「○○病院の救急外来を受診してください」など、具体的な医療機関の名前をあげるかもしれません。
その場合、専門性の高い病院を紹介しているはずなので、医師の指示に従いましょう。
要介護認定を受けていれば、「かかりつけ医」はいるはずです。
では、かかりつけ医がいない普段は健康な方が急病の時はどうすればよいのでしょうか?
- 診療時間になるまで待つ
- 夜間休日でも診療可能な病院や救急外来を探す
- 救急車を呼ぶ
大きく分けて、上記のいずれかの対応になると思います。
症状が落ち着いていて、様子を見れるようなら診療時間まで待つことも可能でしょう。
しかし、症状が増悪することも考えられます。
ましてや、初めての症状が見られた時は、勝手がわからず不安もつきません。
そのような場合は、「医療相談サービス」を利用しましょう。
医療相談サービスとは、相談者からの病状を聞いて「自宅での様子見」か「緊急病院の自己受診」か「救急車を呼ぶべき」かをアドバイスしてくれる自治体や企業が行っているサービスになります。
それに伴って、お近くの医療機関の案内などもしてくれます。
意思疎通困難な要介護者や症状を明確に伝えることが出来ない幼児など、介護者や保護者が判断に迷うケースには迷わずに相談しましょう。
緊急性の有無を疑う症状が見られた場合…つまり「救急車を呼ぶかどうか迷った場合」にも活用してください。
言い換えれば「明らかに緊急性がある場合」は一刻も早く119番通報する必要があります。
さらに言うならば「迷うような場合はまず相談」です。
相談には以下の手段があります。
救急安心センターは、救急車を呼んだ方が良いか、病院を自己受診した方が良いのかなどの判断に迷った場合に用いる電話相談窓口です。
相談窓口には看護師などの医療従事者資格をもつ相談員が対応しています。
そのため、電話で聴取した病気やケガの情報から的確に症状を把握して、緊急性の判断や救急要請の要否などをアドバイスしてくれます。
また、緊急性が高い場合には119番に電話を転送し、救急車要請を支援してくれます。
緊急性が低い場合でも、受診可能な医療機関の紹介などの支援が受けられます。
症状によっては電話口で応急手当の指導をしてくれることもあります。
ただし、全国一律にこのサービスが受けられるわけではありません。
実施地域は全国で24箇所で、人口カバー率は約58%に留まっているのです。
設置地域については下記からご確認ください。
全国一律でこのサービスを受けられるように整備することが、求められています。
また、#7119の救急安心センターが設置されていない地域では、各自治体や最寄りの病院に相談窓口が設置されている場合が多いです。
まずは各自治体に問い合わせてみましょう。
こちらの厚生労働省のページから、各都道府県の受診可能な医療機関を検索することも出来ます。
こちらは「子供」が休日や夜間に急病になった時に、相談する窓口になります。
緊急安心センターと違い全国共通の電話番号で、全国どこからでも相談できます。
短縮ダイヤルでかけていただくと、お住いの都道府県の窓口に繋がります。
ただし、あくまで子供の怪我や病気に関する緊急相談のための事業です。
育児相談には応じられませんので、ご理解ください。
緊急時に慌てず電話で説明するのはなかなか難しいものです。
前もってよくある聴取事項を知っておくと、スムーズに進みますので参考にしましょう。
そのためにも、まずは落ち着いて症状を観察し答えられるようにしておきましょう。
どんな医療機関でも、現在の症状の前に聞いておきたいことがあります。
それが「年齢、性別、既往」になります。
どんな年代の男性もしくは女性が、過去にどのような病気を持っていたかを知ることは、現在の症状を推し量る大きな材料になります。
できれば、本人のお薬手帳などを用意しておくと良いでしょう。
特に普段かかっている病院や病歴などは、同居している家族でも知らないことも多いです。
機会を作り、家族の情報を共有しておくといざという時に役立ちます。
現在どのような症状があり、その症状はいつ始まったのか?どのくらいの時間継続しているのか?を伝えると良いでしょう。
その際、症状に気づいた状況やエピソードも伝えると相談員に伝わりやすくなります。
特に時間は曖昧なことが多いので、意識的に時計を見てメモしておいても良いでしょう。
救急車とは「緊急性がある病気やケガをしている人を医療機関へ搬送するための車」です。
重要なのは「緊急性がある」という部分。
なぜなら救急車は限られた医療資源の一つだからです。
そのため軽症な人が病院へ行くために救急車を使用していると、本当に救急車を必要としている人が後回しになってしまいます。
つまり不適切な救急車の利用のせいで、救えたはずの命が亡くなる可能性もあります。
逆に緊急性があるかどうかを判断できれば、あなたの身近な方が救われる可能性が上がるのです。
そのため「救急車を適切に利用するため」の判断基準を覚えましょう。
緊急性が高い場合の判断基準は「ABCD」で覚えてください。
- A:Air way(気道)
- B:Breathing(呼吸)
- C:Circulation(循環)
- D:Disability(意識)
気道(A)に問題がある人は、口から肺までの空気の通り道に物が詰まっているかもしれません。餅をのどに詰まらせるのはこの状態で、当然呼吸も出来ません。
また、呼吸(B)状態が悪い人は、呼吸がものすごく早くなっていたり、唇が紫色になっていたりします。
さらに循環(C)が悪い人は、激しい動悸がしたり、胸が締め付けられるように痛かったりします。心臓に問題が生じていると考えられます。
最後に意識(D)状態が悪い人です。呼びかけに答えられなかったり、意識が無かったりしたら、脳に異常が生じた可能性もあります。
これらのABCDいずれかに異常があれば、緊急性が高いと判断して救急車を呼びましょう。
これらの異常を体の各部位の症状に照らし合わせたのが、下記の一覧になります。
・顏面
- 顔の半分が動きずらい、しびれている
- 顔や口の片方が歪む
- ろれつが回っていない
- 視野がかけたり、二重に見える
- 顔色が明らかに悪い、大量の冷や汗
・頭
- 突然の激しい頭痛
- 突然の高熱
- 急に立っていられないほどふらつく
・胸
- 突然の激しい胸痛
- 急な息切れ、呼吸困難
- 急な締め付けや圧迫されるような痛み
- 痛みの場所が移動する
・お腹
- 突然の激しい腹痛
- 持続する激しい腹痛
- 吐血や下血
・手足
- 突然のしびれ
- 突然片方の手足に力が入らなくなる
・顏面
- くちびるの色が紫色
- 顔色が明らかに悪い、大量の冷や汗
・頭
- 頭を痛がって、けいれんがある
- 頭を強くぶつけて、出血が止まらない、意識がない、けいれんがある
・胸
- 激しい咳やゼーゼー音がして呼吸が苦しそう
- 呼吸が弱い
・お腹
- 激しい下痢や嘔吐で水分が取れない
- 激しい腹痛で苦しがる
- 嘔吐が止まらない
- 便に血が混じっている
・手足
- 手足が硬直している
この一覧の他にも「意識障害や意識消失」や「けいれんが止まらない、すぐにけいれんが始まる」「喉にものを詰まらせる」「広範囲の火傷」「大量の出血を伴うケガ」「事故(交通事故)(溺れる)(高所からの転落)」等の場合は救急車を呼びましょう。
詳しくは総務省消防庁の「救急車利用」のガイドラインをご覧ください。
夜間や休日に具合が悪くなったが、救急車を呼ぶような緊急性はない…
緊急性はないが出来るだけ早く診察を受けたい、という場合もあるはず。
そのような方は2つの方法があります。
「夜間・休日往診」と「介護タクシーの利用」です。
「往診」とは、在宅医療の一種で、緊急時に医師に自宅に来てもらい診察を受けることができるサービスです。
そのサービスを、夜間や休日などの医療機関が開いていない時間帯に行ってもらうのが「夜間・休日往診」になります。
ちなみによく「訪問診療」と混同されますが、こちらは事前のスケジュールに沿って定期的に訪問する診療です。
往診は、医療機関への移動が困難な場合や、まずは医師の診察を受けたい・相談したいといった場合に有効です。
また往診にかかる診察料は医療保険の適用されますが、限度額が設定されていることに注意しましょう。
介護タクシーは、移動困難な方の送迎を介助付きで行うのが仕事。
つまり救急車を呼ぶような緊急性はないけれど具合が悪い、といった方を救急外来へ送り迎えするのも仕事の一つなのです。
ただし、夜間休日となると営業時間外で受付しない事業所もあるでしょう。
しかし、「夜間休日の利用は要相談」となっている事業所も多いのは確かですので、まずは連絡してみましょう。
我々「救急救命士の介護タクシービスタ」でも、夜間休日の利用も受け付けております。
詳しくは下記のページをご覧の上、お問い合わせください。
特に我々ビスタは、スタッフが救急救命士の国家資格を有しており、前職は救急車に乗りこみ、救急現場の最前線で活躍していました。
そのため利用者様の容態が急変した時でも、いち早く状況を察知し対処可能です。
実際、送迎中に利用者様が急病になり、救命士のスタッフが適切に対応しながら救急車へリレーする、という事案もありました。
いち早く状態の悪化を察知したため、利用者様は大事にいたりませんでした。
このような実際の経験も経て、ビスタは利用者様に安心安全な送迎を提供できると自負しております。
「救急車を呼ばなかったけど医療機関までの移動に不安がある」などと言った場合は、是非ビスタをお呼びください。
夜間や休日に体調を崩し平日までは待てないという方は、基本的に救急外来を受診することになります。
その場合「自家用車やタクシーを使って自分で行く」か「救急車で搬送される」かの2択になります。
その際は、救急車の適性な利用を心がけてください。
救急車の台数は限られています。
一番近い救急車が出払っている場合、次に近い救急車が到着するまでには大きなタイムラグがあります。
緊急性がある方は、そのタイムラグのせいで亡くなってしまうことだってあるのです。
その方が、あなたの大切な誰かになる可能性だってあるのですから。
いかがでしたか?
この記事があなたの一助となれば幸いです。
また、我々「救急救命士の介護タクシービスタ」は地域の介護と医療を支援し、利用者様の助けとなるべく日々活動しています。
移動でお困りの方。
介護で通院や施設通いにご苦労されているご家族様。
是非、ビスタにお声がけください。
そのお悩みビスタが解決します!
最後までお読みいただきありがとうございました。