STP分析とは-セグメンテーションで市場を細分化しよう

STP分析とセグメンテーション

STP分析とは、企業がどの市場でどのような価値を提供して事業を展開していくかを分析する手法です。

マーケティング戦略を考える上で、非常によく利用されています。

しかし…

「STP分析?マーケティングも良く分かっていないのに分析しろと言われても…」

「セグメンテーションって聞いたこともないのだけど、大丈夫かな?」

マーケティングに興味のなかった方や、ビジネスに関わってこなかった方には「STP分析」もSTP分析のファーストステップである「セグメンテーション」も、馴染みのない言葉ではないでしょうか。

ですが、起業の成功を目指している方にとって、マーケティングは避けては通れない道なのです。

そこで今回は「STP分析」とその第一歩目の「セグメンテーション」について解説します。

この記事は…

  • マーケティングに興味のある方
  • 起業や独立開業を志している方
  • 第二の人生の身の振り方を考えている方
  • 介護タクシー事業に興味のある方

…などにお読みいただけると幸いです。

STP分析とは

マーケティング手法の一つである「STP分析」とは、segmentation(セグメンテーション)、targeting(ターゲティング)、positioning(ポジショニング)の頭文字をとって名付けられた分析方法です。

STP分析の内訳
  • segmentation(セグメンテーション)…市場の細分化
  • targeting(ターゲティング)…標的市場の決定
  • positioning(ポジショニング)…他社との棲み分け

まずは、参入しようとする市場を「セグメンテーション」により、全体像を把握した上で、その特徴により市場を区分け・細分化していく。

さらに、細分化された市場(セグメント)から、自社の強みを活かして、利益が出そうな狙うべき市場を「ターゲティング」で決定。

そして、「ポジショニング」で、セグメント内で競合する他社を調査。取り扱う商品やサービスの価格や質を把握し、自社の立ち位置を把握する。

といった流れで行われます。

STP分析のイメージ

STP分析を行うメリット

では、STP分析を行うことで、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

STP分析のメリット
  1. 顧客層やニーズを整理できる
  2. 自社の強みを明確化できる
  3. 競合他社との差別化が図れる

1.顧客層やニーズを整理できる

市場の全体を把握し、さらに細分化していくということは、「市場にはどのような顧客がどのくらいいるのか。」ということを把握することに他なりません。

つまり市場にいる顧客の種類とボリューム、そのニーズを整理することが出来ます

これにより商品を求める顧客のペルソナ(ユーザー像)を具体的に想像しやすくなります。

2.自社の強みを明確化できる

顧客のペルソナを具体的にイメージすると、自社製品の特長や強み、顧客へのアピールポイントを明確に把握することが出来ます。

それにより、効率的なマーケティングが可能となります。

より高い勝機のある市場に参入することが出来るでしょう。

また、自社製品やサービスの強みを明確化することよって、会社組織全体で効果的な広告宣伝が可能になります。

自社の強みを明確化

3.競合他社との差別化が図れる

STP分析では、参入市場内の競合他社とのポジショニングも行います。

これにより、他社の商品やサービスを把握します。

そして自社と比較することで、機能や価格、質など差別化していく事が出来ます

差別化したポイントを活かして、自社の強みを前面に出し、顧客にアピールすることが可能です。

逆に言えば、差別化した商品やサービスの開発にも役立つでしょう。

また、市場内での他社との位置関係を把握することにも繋がります。

これにより他社との無用な争いを避け、お互いの利益を確保する「棲み分け」も可能になるでしょう。

無理して、業界大手と正面から争う必要はありませんからね。

セグメンテーションとは

では、STP分析の第一段階であるセグメンテーションとは、具体的にどのようなことをしていくのでしょうか。

そもそもsegmentation(セグメンテーション)は、「区分け」を意味する英単語。

つまり、マーケティングでは「市場や顧客を様々な切り口で区分け・細分化する」という意味になります。

マーケティングで特に重要な要素が商品を購入しやすい「ターゲット層」を特定する事ですが、セグメンテーションとはその「ターゲット層」を選びやすくするために、まずは市場を細分化しようという方法です。

セグメンテーションが必要な理由

もともとマーケティングの主流は「マスマーケティング」と呼ばれる手法でした。

これは特定のターゲットを選ばず、消費者全体に同じ手法でマーケティングを行う手法です。

しかし、インターネットの発展により消費者は、様々な情報へのアクセスが容易にできるようになりました。

これに伴い、消費者の価値観は変革し、ニーズも多様化したのです。

従来のマスマーケティングでは、時間と費用がかかる割に、消費者ニーズを拾い切れなくなりました。

つまり従来の全体への画一的な方法では非効率で不十分。

そこで登場するのがセグメンテーション。

これにより対象を「全体」から、区分けされた「グループ」…「セグメント」に絞り込むことが出来ます。

セグメント

セグメンテーションにより、効率の良いマーケティングが可能になるのです。

また、セグメントに適したアプローチ方法も選択できるという利点もあります。

つまり「セグメンテーション」は、「最小のマーケティングで最大限の効果を生み出すための手法」だということが出来ます。

セグメンテーションの4つの切り口

セグメンテーションは、消費者が「どんな属性なのか」「どのような価値観を持っているのか」を分類していきます。

分類の方法には以下の4つがあります。

セグメンテーションの分類
  1. 地理的変数
  2. 人口動態変数
  3. 心理的変数
  4. 行動変数

これらの変数を用いて、自社にとって意味のある数値を見つけることが重要になります。

1.地理的変数(ジオグラフィック変数)

都道府県や人口密度、交通機関の違いなど、地理的条件によって分類する方法です。

主な項目は以下の通り。

地理的変数
  • 国(都道府県・市町村)
  • 地方
  • 気候
  • 人口・人口密度
  • 文化・宗教
  • 都市化の進展度
  • 交通機関の違い

例えば「関東」や「関西」などで飲食チェーン店でも味付けが変わったり、「北海道」と「九州」ではホームセンターの品ぞろえを変えたりします。

当然ながら、これは地域でセグメントを分けた結果ですね。

他にも観光スポットの密度によって、移動手段が変化することなどもこちらに含まれるでしょう。

適した移動手段を提供するサービスにつなげることが出来ますね。

日本地図

2.人口動態変数(デモグラフィック変数)

年齢や性別などといった、最も一般的な切り口と言えるでしょう。

人口動態変数
  • 年齢
  • 性別
  • 家族構成
  • 所得
  • 職業
  • 学歴

例えば、年齢が違うと求める衣類も変わってきます。

学生都市に高級スーツの店をだしても売れませんし、高齢者が多い地域に子供服の店を出しても儲からないわけです。

また、所得も大きな切り口となります。

同じ飲食店でも「高級料理」と「ファミレス」では、客層が異なりますよね。

少なくとも筆者は、一皿1万円もかかるようなファミレスには、家族連れで食事をすることが出来ませんし、入りません。

それぞれに適した「品質」と「価格」で提供することが、ニーズを満たし顧客獲得に繋がります。

3.心理的変数(サイコグラフィック変数)

それぞれの価値観や嗜好性、感情といった、感性に関係する部分の要素で分類する方法になります。

心理的変数
  • ライフスタイル
  • パーソナリティ(性格・価値観)
  • 趣味や嗜好
  • 購買動機

あなたのまわりに「新商品をすぐに購入する人」はいないでしょうか。

反対に「保守的に同じものを買い続ける人」もいるのではないでしょうか。

このような性格の違いも、分類の切り口になります。

また、アウトドアが趣味でも「キャンプ」や「登山」、「釣り」では、揃える道具も大きく変化しますよね。

それぞれの趣味嗜好

嗜好によっても同様です。

例えば喫煙。

禁煙を売りにしている喫茶店が大きく売上を伸ばした時期もありました。

しかし、禁煙・分煙が進んだ昨今は禁煙で当たり前となり、あまり効果を発揮していないように見受けられます。

逆に喫煙可を売りにするシガーバーは健在。一定の需要があることが判ります。

この状況をどう活かすのかは別として、一つの切り口であることには変わりありません。

4.行動変数(ビヘイビアル)

行動変数とは、消費者の行動パターンに関した分類です。

曜日や時間や、購買環境やその頻度など、購入に関する要素で分類します。

行動変数
  • 曜日
  • 時間帯
  • 回数
  • 購買状況
  • 使用頻度

例を挙げると、曜日や時間帯、天気などによって混雑する交通機関は変わります。

混雑の中だからこそタクシーを使う方もいるでしょう。

セグメント対策していれば、それにあわせて駅前などにタクシーを配置することも可能となります。

また同じ商品でも、購入歴の有無やリンクからのクリックでは、Webでの訴求の仕方は変わってきます。

例えば同じ書籍でも、

初めての方には「スタッフのおススメ!」…

シリーズ購入歴のある方には「待望のシリーズ最新刊!」…

このような、それぞれに適したポップアップを用意することができるでしょう。

これが購入の決め手になるかもしれません。

行動パターン分析

セグメンテーションする際の4つの原則

漠然とセグメンテーションを行っても、結果にはなかなか結びつきません。

結果を出すには、細分化したセグメントがマーケティング施策におけるターゲットとして適切なものなのかを、評価する必要があります。

そこで、セグメンテーションをする際には「4R」と呼ばれる評価の指針があります。

4R
  1. Rank(優先順位)
  2. Realistic(市場規模の有用性)
  3. Reach(到達可能性)
  4. Response(反応の測定可能性)

1.優先順位

分類したセグメントに優先順位をつけます。

もちろん、自社のマーケティング戦略とマッチしたもの、影響力が強いセグメントの順位が高くなります。

競合他社とも比較してみましょう。

2.市場規模の有用性

どんなによい分類で区分けしても、市場規模が小さいと無意味です

売り上げが伸びないからです。

常に市場規模を意識してセグメンテーションを行いましょう。

またその意識は「現在」だけでなく「未来」へも向けることが大切です。

なぜなら「今は良くても、将来市場規模が衰退していく」という市場には、大きな有用性を見出せませんね。

反対に「今後成長していく可能性が高い」市場なら、見逃す手はありません。

そのため、市場の有用性は現在から未来において、ある程度の「期間」で評価する必要があります

将来性も見据える

3.到達可能性

到達の可能性とは「特定のセグメントに自社の製品やサービスを的確に届けられるかどうか?」ということです。

また、その難易度のことを指します。

いいセグメントであったとしても、届けられなければ売上にならないので、意味がありません。

また利益を確保できないコストがかかってもいけません。

4.反応の測定可能性

マーケティングを行う上で「効果が測定できるか」は重要です。

なぜなら結果を測定できないと、セグメンテーションを含めたマーケティング活動の成果が分からないからです。

例えるなら、答え合わせをしていないテストと同じ。

間違った答えをハッキリさせ、その分野を復習して、次に生かすことが大切なのです。

そのためにも「効果を測定できるセグメントなのか」を意識しましょう。

上手くいかなかった場合も、その理由を分析し、フィードバックすることが出来ます。

結果を分析するビジネスマン

介護タクシービスタのセグメンテーション

弊社ビスタサポートでも、当然ながらマーケティングを行っています。

ビスタサポートで、最もセグメンテーションに成功したのは「コロナ対応」送迎です。

起業当時はコロナウイルスが蔓延している真っ最中でした。

弊社も最初からコロナ搬送を行っていたわけではありません。

それこそ初期の頃は、保健所をはじめとした行政が行う範囲でしたから。

しかし、蔓延が広まるにしたがって、withコロナの考え方が浸透。

ですが、「コロナ患者」を送迎してくれる公共交通機関が、スッポリと抜けていることに気づきました

幸い弊社のスタッフは、救急隊あがりの救急救命士です。

感染予防対策にも心得があり、利用者様、弊社スタッフともに安心安全な送迎が出来ると確信しました。

「コロナ対応」の送迎は、社会の需要と弊社の事業にマッチした「セグメント」と言えるのではないでしょうか。

5類に下がった今でも「コロナ対応」は一定の需要があります。

さすがにピーク時よりは件数が減りましたが、多くの利用者様を送迎しています。

コロナが疑われる発熱等の体調不良時には、ビスタサポートにお声がけください。

~最後に~

いかがでしたか?

今回はSTP分析とその第一歩となるセグメンテーションについて説明しました。

最後になりますが、セグメンテーションをする際は、細かく区切りすぎないよう注意してください。

あまりに細かすぎる区分けは、合致する人数を極端に下げてしまいます。

それではターゲットにする顧客も極端に少なくなり、事業継続できる売り上げが確保できません。

あくまでセグメンテーションは、マーケティングを効率よく行うための手段であることを忘れないようにしましょう。

ビジネスマンたちの会議

また、経営資金も考慮に入れてください。

どんなに良いと思えても、自社の経営資金でアプローチ出来ないのなら、それはよいセグメントではありません

絵に描いた餅では、腹はふくれませんからね。

自社の資金でアプローチできる、実現可能なものが良いセグメントと言えるでしょう。

次回以降は「ターゲティング」と「ポジショニング」についても、記事にして皆さまにお届けしたいと思います。

この記事があなたの一助となれば幸いです。

なお、2024.7.15 STP分析第2弾「ターゲティング編」を掲載しました。

下記リンクから、あわせてお読みください。

また、ビスタサポートでは地域の介護・医療のサポート企業として日々活動を行っています。

移動でお困りの方。また日々の送迎に苦労されているご家族様。

是非、ビスタサポートにお声がけください。

安心安全な送迎をお約束いたします。

そのお悩みビスタが解決します。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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