介護タクシー開業前の市場調査は、インターネットの公開情報で簡単に行えます。
市場調査やマーケティングなどに馴染みのない方でも、これを手掛かりに慣れていけばよいでしょう。
今回はインターネットを使った簡単市場調査を実例を行いたいと思います。
前回の記事も参照にしながら市場調査を行ってみましょう。
介護タクシービスタが活動地域としている秋田県を例にします。
自身の県を調査する時の参考にしてください。
なお、年数に多少のずれがあっても気にしないでください。
あくまで目安なので、大まかな数字さえわかれば良いのです。
秋田県の人口および要介護者および要支援者数は以下の通り。
2022年 | 2012年 | |
---|---|---|
秋田県人口 | 92万9915人 | 106万3143人 |
要介護者・ 要支援者数 | 7万4079人 | 6万5891人 |
身体障がい者数 | 4万7150人 | ーーー |
2022年の人口は92万9915人。そのうち要介護者および要支援者が7万4079人。
これは2012年(人口106万3143人:要介護者および要支援者6万5891人)と比較すると、人口が14万人近く減っているにもかかわらず、要介護者が1万人近く増えている。
超高齢化社会であり、介護タクシー市場としては顧客数が増えていることがわかる。
さらに身体障がい者数を足すと、人口の約13%…7~8人に1人が利用者となり得る最大数である。
そのうち、介護タクシーを利用しやすい車イス使用者の割合から推定してみると、下記のようになる。
①人数 | ②車イス使用の割合 | ③介護タクシー推定利用者数 (③=①×②) | |
---|---|---|---|
要支援~要介護2 | 4万5418人 | 29% | 1万3171人 |
要介護3~5 | 2万8661人 | 71.2% | 2万407人 |
身体障がい者 | 4万7150人 | 50% | 2万3575人 |
よって、介護タクシーの推定利用者数は合計の5万7153人となる。
これらから人口の約6%…16人に1人が介護タクシーを利用すると考えられる。

なお、使用データーは以下のリンクから。
https://www2.wam.go.jp/wamappl/00youkaigo.nsf/aAuthorizedDetail?openagent&NM=05&DATE=2022%252F05
https://www.dlri.co.jp/pdf/ld/01-14/rp0307.pdf
秋田県の総合病院数(2020年)は66病院。
秋田県の面積11615.59㎞²。
つまり約176㎞²(面積÷病院数)に1病院あることになる。
これは円の面積に当てはめ、直径を走行距離とすると7.48㎞走行すれば、病院まで送迎することが出来る。
しかし現実は直線距離と道のりの違いがある。
下記リンクを参照に、街中の走行距離(道のり)を直線距離の1.3倍として計算すると9.73㎞となる。

また入居設備のある主な介護施設数は以下の通り。
特別養護老人ホーム | 123 |
介護老人保健施設 | 58 |
短所入居生活介護 | 318 |
短期入所療養介護 | 59 |
これら施設に地域密着型や民間施設が加わると、さらに多くの施設数となる。
使用データーは以下リンクから。
介護タクシー事業者の数と車両台数は全国タクシー・ハイヤー連合会のHPを閲覧するとわかる。
http://www.taxi-japan.or.jp/pdf/Taxi_Today_2022.pdf
秋田県の介護タクシー事業者は「47」、車両数は「58」となっている。
つまり、多くの事業所が1人1台体制で運営していることになる。
なお、この58台で介護タクシー推定利用者数を5万7153人を月1回(病院が開いている22日)送迎しようとすると…
一日2598人を送迎する必要があり、一日45往復する必要がある。
なお、介護タクシー1台につき1日3往復が平均と言われている。
つまり絶対的に介護タクシー数が足りていないことがわかる。

秋田県の認可運賃は2種類。
これも全国タクシー・ハイヤー連合会のHPから閲覧可能。
http://www.taxi-japan.or.jp/pdf/Taxi_Today_2022.pdf
県都秋田市を中心とした「秋田県A」とそれ以外の地域「秋田県B」に分かれている。
重要なのは、前述の通り他事業者と差のない価格設定にすること。
ほとんどの事業者が上限料金で送迎しているのが現状である。
なお、参考として弊社料金表を提示しておく。
普通車(4〜6人乗り) | |
---|---|
予約料 | 0円 |
迎車料 | 300円 |
基本料金 | 距離ごとのメーター料金 初乗1,000㎞まで580円 223m毎 or 1分20秒毎100円 |
介助料 | 1,000円 |
なお、介護タクシー事業者の中にはホームページ等を作成していないケースも多くある。
そのため利用者視点からは料金表を確認しづらいのが現状。
特にオプションサービスは差額が大きいところであるため、ホームページに掲載すると利用者ファーストで好印象を与えることが出来る。
また、料金表と前述した送迎の走行距離から1送迎の見込み収益が計算できる。
1送迎平均走行距離9.73㎞の走行運賃は580円(初乗り)+3915円(距離料金)=4495円
これに迎車料金300円と介助料1000円を足すと合計5795円となる。
あくまで目安だが1送迎5500~6000円。
往復で11000~12000円の収益が期待できる計算となる。
ただし、秋田県は山間部の多いため病院までの距離が伸びることを考慮すると、地域によっては1000~2000円程度の増加が期待できる。
月計算すると12000円(料金)×2.5回(送迎回数)×20日(日数)=60万円という月商も決して夢ではありません。

全国的に叫ばれている介護タクシー不足。
秋田県に至っては全国1位の超超高齢化県でもあり、さらに介護タクシー不足は深刻化しています。
前述の通り1日平均3往復の介護タクシー業界において、秋田県では45往復しないと全員を運べない計算となっている。
単純に現状の15倍の車両台数が無いと捌けないほどです。
そして、予測的には2045年には人口が60万人まで減少する中、高齢者割合は増え続け半数の30万人が高齢者になると言われています。
20~30年後といった長期的スパンでみても、需要は維持されていくでしょう。
そのため、介護タクシー開業希望者の方には、圧倒的に数が足りていない現状で参入し、地盤を気付いてしまうことをお勧めいたします。
いかがでしたか?
前回の市場調査の仕方を基に、今回は秋田県介護タクシーの市場調査をしてみました。
ネットに公開されている情報だけでも、需要の有無から現状の事業状況、見込み収益まで踏み込むことが出来ました。
ぜひ、自身の調査の参考にしてみてください。
数字上だけでも把握しておけば、開業や事業展開への足掛かりとなるでしょう。
この記事があなたの一助となれば幸いです。

またビスタサポートでは、介護タクシーの開業支援事業を行っています。
- 介護タクシーを開業したい方
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最後までお読みいただきありがとうございました。