【救命講習とは】 種類や内容の違いと受講の方法

「救命講習っていうのを授業で受けることになったんだけど、どんな内容なの?」と素朴な疑問を持った学生さんいませんか?

「上級とか普通とかって種類があるんだけど、どの講習を受ければいいの?」と職場から受けるように言われて、困っている会社員さんいませんか?

最近は消防本部などに救命講習を依頼する学校や職場も多く、救急救命士として嬉しい限りです。

しかし、受講する学生や職員には「そもそも救命講習って何?」状態の人も多いかと思います。

特に受講してくるよう職場から義務付けられた警備員さんとか介護士さんとかは…「種類もたくさんあるし、どれを受ければいいの?」となってしまいますよね。

今回は救命講習の種類や内容の違いと、受講の方法について説明していきます。

ちなみに救命講習は一度に記事にすると文量が多くなってしまいますので、テーマ分けして記事にしていきたいと思います。

救命講習を受ける必要性

そもそも救命講習とは、字のごとく「命」を「救う」ための手技を身に着ける講習です。

ざっくりいってしまうと、心肺停止状態の人を助けるための「心肺蘇生法」「AEDの使用法」の二つを習得するのが、救命講習の主な内容となります。

救命講習:乳幼児に対する心肺蘇生法

「でも、ちょっと待って!命を救うって医者の仕事じゃないの?」

と思われた人いるかもしれません。

その通りではあります…

が、それでは病院以外で命の危機…心肺停止状態におちいった人は助からないことになります。

医者がその場にいるわけではありませんからね。

一般的に、人間の脳は3~4分でも酸欠状態が続くと回復が難しくなります。

たとえ異変後、すぐに119番して救急車を呼んでも、現場に着くまでには全国平均で約9分かかります。

これでは人は助かりません。

ただし、その場に居合わせた人間が心肺蘇生法を行ない脳に酸素を送ることで、救命のタイムリミットを引き延ばすことができるのです。

これこそ救命講習を行う意味です。

逆に言えば「その場に居合わせた自分がどう行動すればよいのか」を学ぶのが、救命講習なのです。

この講習は大切な人が目の前で倒れた時、あなたが行動する指針となるはずです。

救命講習の種類と内容

救命講習にはいくつかの種類があります。

この項目ではそれぞれの違いについて見ていきましょう。

主な救命講習の種類
  • 普通救命講習Ⅰ~Ⅲ
  • 上級救命講習
  • その他の救命講習
  • e-ラーニング講習(応急手当web講習)

普通救命講習Ⅰ~Ⅲ

前述したとおり、救命講習の主な講習内容とは「心肺蘇生法」+「AEDの使用法」です。

普通救命講習では、この基本的なの二つの手技のほか、大出血した時の「止血法」と喉にものを詰まらせて窒息した時の「異物除去法」を学びます。

ではなぜⅠ~Ⅲの、3つの種類に分かれているのか?

それはテストの有無と心肺蘇生法の対象者に違いがあるからです。

普通救命講習Ⅰ
  • 講習時間:3時間
  • 内容:成人に対する心肺蘇生法・AED使用方法、大出血時の止血法、異物除去法
  • 試験:なし
  • 修了証:あり
普通救命講習Ⅱ
  • 講習時間:4時間
  • 内容:成人に対する心肺蘇生法・AED使用方法、大出血時の止血法、異物除去法
  • 試験:実技試験あり、筆記試験あり
  • 修了証:あり

講習ⅠとⅡの違いはテストがあるか、テストがないかです。

講習Ⅱはテストがあるため、1時間ほど講習時間が長くなります。

ちなみにテスト内容は、講習を真面目に受けていれば難しくないので、心配ありません。

救命講習会で心肺蘇生法
普通救命講習Ⅲ
  • 講習時間:3時間
  • 内容:小児~乳幼児に対する心肺蘇生法・AED使用方法、大出血時の止血法、異物除去法
  • 試験:なし
  • 修了証:あり

講習Ⅰや講習Ⅱは成人に対する心肺蘇生法ですが、講習Ⅲは小児・乳幼児・新生児に対する心肺蘇生法です。

ちなみに講習ⅠもⅢもテストはありませんが、修了証は発行されますので安心してください。

上級救命講習

こちらでは普通救命講習で習得する内容に加えて、更なる応急手当の習得を目指します。

上級救命講習
  • 講習時間:8時間
  • 内容:心肺蘇生法(成人・小児・乳幼児・新生児)・AEDの使用法、大出血時の止血法、異物異物除去法
  • 追加内容:外傷の手当て、保温、体位管理、搬送法
  • 試験:実技試験あり、筆記試験あり
  • 修了証:あり

追加の応急処置は多岐にわたります。

一例をあげていくと、外傷の手当てとして骨折の固定方法や三角巾を使った被覆。

また低体温時の保温方法やショック状態や意識のない時はどのように寝かせておけばいいのかといった体位管理

さらには傷病者の搬送法まで習います。

ひとつひとつは決して難しくありませんが、数が多いといった印象ですね。

上級ともなると、講習時間が8時間となり1日がかりになります。

そのため、職業的に必要な方が受講する場合が多いのが特徴です。

上級救命講習会で外傷の手当て

その他の救命講習

また各消防本部では、上級や普通以外の講習も行っています。

それらの講習はその他の救命講習といい、「応急手当講習」や「救命入門コース」などがあります。

ただ、内容としては上級や普通救命講習の切り抜きと考えていただいて問題ありません。

大半は町内会の開催時間だったり、学校の授業時間に合わせたりして、3時間も時間がとれない場合に行います

修了証発行には3時間以上の受講が必要なため、必然的に修了証は発行されません。

e-ラーニング講習(応急手当web講習)

さらには「e-ラーニング講習」という、ネット上で学ぶ救命講習もあります。

これは救命講習の座学部分を事前にインターネットで自習することができるサービスです。

応急手当web講習」という名前で総務省消防庁が提供しています。

こちらを受講すると、実際の講習は実技のみにすることも可能です。

事前に消防署へ相談しておきましょう。

その場合は座学と実技を別々に受けるだけなので、修了証の発行も可能となります。

救命講習を受講するには

講習を受講する方法は大きく分けて二つ。

ひとつは、消防本部や赤十字などが主催する定期講習に申し込む方法です。

定期講習は消防本部などのホームページや、市町村の広報などに予定が掲載されますのでチェックしてください。

特に上級救命講習は回数も少ないので、逃さないようにしましょう。

もうひとつは、最寄り消防署などに電話をかけて、救命講習の依頼をする方法です。

修了証にこだわらなければ、受けたい内容や時間数など融通が利く場合が多いので、依頼する時に相談してみてください。

また、まれに救命講習を開催できる応急手当指導員の資格を持つ事業所などもあります。

私たちビスタは無料で救命講習会を開催いたしますので、是非お声がけください。

もちろん国の規定に沿う正式なものなので、修了証の発行も可能です。

最後に

講習的には普通Ⅰがスタンダートです。

職場から特に指定のなかった方、とりあえず興味がわいた方などは普通救命講習Ⅰを受けるようにしましょう。

警備員、介護職、スポーツ指導者、学校関係などの職種の方は上級の受講をおすすめします。

救命講習は、いざという時にあなたの行動の指針となります。

きっかけは何であれ、受講しておいて損はありません。

次回の救命講習シリーズでは、心肺蘇生法の一連の流れを説明します。あわせてお読みいただければ嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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