介護をはじめた頃は「ケアマネージャーって何だろう」と思っていたことありませんか?
また、介護に慣れてきた頃「ケアマネージャーと上手く話せない。こちらの要望が通らない。」などと悩んだことありませんか?
介護において、ケアマネージャーと上手く付き合うことは、特に大事です。
なぜなら、介護を受ける本人やその家族にどのような要望があっても、介護保険を利用するにはケアプランを作成する必要があります。
そして、そのケアプランはケアマネージャーが作成するモノだからです。
また介護に関する相談は、まずケアマネージャーだと思ってしまいがちです。
しかし、介護に関係していてもケアマネージャーは「なんでも」は解決できません。
この記事では、ケアマネージャーとはどのような仕事をするのかを知っていただき、ケアマネージャーとの上手な付き合い方を伝えていきたいと思います。
ケアマネージャーとの関係に悩んでいる方や、相談したのに要望が通らない方などにご一読いただければ幸いです。
ケアマネージャーの介護保険上の正式名称は「介護支援専門員」といいます。
介護が必要な方に対して、必要な介護保険サービスが受けられるよう、マネジメントや支援をするのがケアマネージャーの役割です。
その名の通りですね。
具体的には、要介護者の要望を聞いてケアプランと呼ばれるサービス計画書を作成し、介護サービス事業所との関係調整を行なったりします。直接、介護を行うわけではありません。
これらの行動により、介護が必要な方ができるだけ自立した生活を送れるようサポートします。
逆に言うとケアプランが作成されないと介護保険サービスは利用できないことになります。
そのためケアプランを作成するケアマネージャーは、介護保険の中核を担っているといっても過言ではありません。
主に居宅介護支援事業所に所属する居宅ケアマネージャーと介護施設に所属する施設ケアマネージャーに分かれます。
まれに自治体の地域包括支援センターなどに勤務するケアマネージャーもいます。
ケアマネージャーになるには介護・福祉・医療の何かしらの国家資格を有し、実務5年以上(かつ900日以上)の経験があり、介護支援専門員実務研修受講試験(合格率約10%)に合格しなければなりません。
その上で研修を修了し、ケアマネージャーとして登録し資格証が交付され、始めてケアマネージャーとして勤務できます。
このように長く厳しい過程を経て、ようやくケアマネージャーの業務が可能になります。それだけ、介護保険の仕組みは複雑で、事務処理や連絡調整は困難だといえます。
- ケアプランの作成
- 介護サービスの紹介・提案
- 利用者とサービス業者の連絡調整
- 要介護認定に係わる業務
- 給付管理業務
ケアプランの作成はケアマネージャーの主要業務です。
このケアプランとは、どういった介護サービスを提供するかの計画書。
ケアプラン無くして介護保険は利用できません。
そのため、利用者とその家族から「どのようなサービスが必要なのか、何を求めているか」を知るためにしっかりと聞き取りします。
利用者はここでしっかりと自分の要望を伝えましょう。
ケアマネージャーは利用者の抱える問題や要望を、分析・検討した結果、適切なケアプランを作成します。
ケアマネージャーは利用者の抱える問題や要望を、分析・検討した結果、適切なケアプランを作成します。
なぜなら、介護サービスを提供する事業所は数多くあり、利用者である高齢者が自ら希望に沿った事業所を探し出すことは困難です。
そのため、ケアマネージャーが適したサービスやその事業所を提案するというわけです。
ただし、居宅ケアマネージャーは基本的に「居宅サービスの提案を行う」ということを覚えておきましょう。
つまり、介護施設への入居を考えている場合は、その旨をしっかりと伝える必要があるのです。そういった相談の上でならば、施設入居のサポートをしてくれることもあります。
ケアマネージャーは利用者とサービス業者の間に入って連絡調整を行います。必要があれば、自治体などとも調整を行います。
また、利用者が事業所に対して、要望やクレームを直接言いづらい時にはケアマネージャーが間に入りますし、逆に事業所から利用者への考えを伝えたりもします。
このように介護サービスが円滑に利用できるよう調整してくれます。
要介護度認定のための調査を自治体から依頼されることもあります。
その場合は、申請者の家を訪問し、申請者の心身状況を聞き取り調査します。
また、要介護認定の申請や更新に係わる業務を代行することも出来ます。
介護保険を使用した際に発生する介護給付費の管理を行います。
所属事務所にきちんと支払われるよう、給付に必要な書類の作成・提出を行います。
ケアマネージャーは利用者本人が探さねばなりません。
探し方は以下の通り。
- 地域包括支援センターで居宅介護支援事業所のリストをもらう
- 訪問看護ステーションに併設する居宅介護支援事業所を選ぶ
- デイサービスに併設する居宅介護支援事業所を選ぶ
- かかりつけ医に相談する
- 知人のアドバイスや口コミなどから探す
ケアマネージャーを選ぶには、まず地域包括支援センターで居宅介護支援事業所のリストをもらってきます。
リストには、居宅介護支援事業所一覧と事業所名および住所や電話番号の他に、受付時間、所属ケアマネージャーの人数や併設されている施設の情報が載っています。
これらの情報を基に連絡を取り、ケアマネージャーを選ぶことになります。
また、事務所に併設されている施設を考慮して選ぶという考え方もあります。
訪問看護施設が併設していれば、医療ケア系に強いケアマネージャーが在籍しているでしょう。また近所のデイサービスに通いたい場合は、その施設のケアマネージャーを選べば良いわけです。
その他の方法として、かかりつけ医に相談したり、既に介護をしている知人にアドバイスをもらったり、ネットで居宅介護支援事業所の口コミをみたりして探すことも出来ます。
依頼する居宅介護支援事業所を選んだら、次は実際にケアマネージャー訪問してもらうことになります。
ここで介護保険について分からないことは、いろいろ質問しましょう。
この訪問を通して、ケアマネージャの人柄や能力を見極めることになります。
ずばり、ケアマネージャーを選ぶポイントは「専門性と能力と人柄」です。
「介護福祉士、社会福祉士、看護師」など色々な分野の資格者がケアマネージャーになることができ、当然前身の資格がそのケアマネージャーの専門分野という事になります。
例えば健康に不安があるなら、医療系のケアマネージャーを選べば良いことになります。
他にも重視する点は以下の通り。
- 経験豊富かどうか
- 保険サービスおよび保険外サービスについても知識が豊富か
- 親身になってくれるかどうか
- 利用者と家族の両方に対して公平か
- ケアプランに納得できるか
- 迅速な対応ができるか
- 理解しやすい説明をしてくれるか
なによりも信頼を置けるかどうかを観察しましょう。
良いケアマネージャーが見つかったと思ったら、ケアプランの原案作成を依頼しましょう。
その原案に納得出来たら、ケアマネージャーと「居宅介護支援」の契約を結ぶことになります。
ケアマネージャーとの付き合いは、「ケアプランを作ってもらって、はい終了」ではありません。
サービス利用に各方面へ連絡調整をいれてくれますし、月に一度の面談もあります。
介護相談もするため、親密にお付き合いすることになります。
そんなケアマネージャーも人の子です。
人と人との関係であると認識し、良識ある対応をしましょう。
関係の良し悪しが、今後の介護生活に関係してくると心得ておいてください。
- 不明な点は質問する
- 要望は具体的に伝える
- 連絡は定期的にいれる
- 感謝を伝える
特に不明な点は質問し説明してもらいましょう。
逆にわかっているフリをすると、ケアマネージャーはそのまま話を進めてしまいます。分からない事、不安なことはその都度質問し、解決しておくことが重要です。
同様に要望も具体的に伝えるようにしてください。
「任せてしまえば大丈夫」は最もやってはいけません。
要望がケアプランに反映されにくくなります。
要望だけでなく、生い立ち、特技、苦手なもの、家族構成から経済状況まで様々な情報を伝えましょう。それらの情報を加味し最適なケアプランを作成してくれます。
ちなみに守秘義務があるので心配いりません。
そして、感謝を伝えましょう。
定期の業務だけでなく、入院時や通所施設でのトラブルなど、様々な面でケアマネージャーにはお世話になりますからね。
慎重に選び、良好な関係を築こうとしたケアマネージャーでも「合わない」ことはあります。
「ケアプランやサービス事業所の手配に力量不足を感じる」「望んでいないサービスを押し付けられた」など、どうしても不満がある時はケアマネージャーの変更も可能です。
その場合は所属の事業所へお話しましょう。話しづらければ地域包括支援センターなどの相談窓口へいっても良いでしょう。
ただし、不満な点が「話を聞いてくれない」だとか「要望が通らない」とか言う場合は、少し待ってください。
利用者側にも改善点があります。
「話がしたいから時間を作ってくれ」とお願いしましたか?
本人が捕まらないなら事業所を通しても良いでしょう。
また、「要望が通らない」場合、その要望が「介護保険の制度上無理なもの」かもしれません。
まずは、ケアマネージャー本人とキチンと話しをすることが第一です。
こうしたトラブルを避けるためにも、利用者側も最低限の介護知識を持っておくことが重要です。
なぜなら、ケアマネージャーに知らず知らずのうちに無理難題を押し付けている可能性があります。
例えば、保険を利用して介護タクシーに同乗者は乗せられませんし、ヘルパーに利用者の配偶者の分まで食事を作らせるわけにもいけません。
介護保険の制度上無理なことはケアマネージャーに解決できないのです。
調べるのがどうしても無理なら、「ケアマネはこう言っているんだけど…」と地域包括支援センターに確認してみましょう。
介護に関する最低限の知識を勉強しておけば、自身のためになりますし、こうしたトラブルは激減します。
ケアマネージャーと上手く付き合う第一点目は「解らないことは質問して、要望は具体的に伝える」こと。
具体的に伝えることで、共通認識に齟齬がなくなり、要望が実現しやすくなります。
「思っていたサービスと違う…」などといったことが無くなり、ケアマネージャーと気まずくなったりはしないでしょう。
第二点目として、「自身が最低限の介護知識を身に着ける必要がある」ということ。
ケアマネージャーに相談したからと言って、何でも解決するわけではありません。ケアマネージャーは介護保険の制度に以上の事は出来ません。
さらに言えば、ケアマネージャーは所属している介護サービス事業所の職員です。
つまり居宅サービス事業所のケアマネージャーに、介護施設のことを相談するのは、実は畑違いなのです。
それでもケアマネージャーは、その使命感から相談にのることが多いのが現状です。
相談する側も最低限の知識があれば、自分の相談がケアマネージャーの業務から逸れていること、それでも相談に応じてくれていることがわかってくると思います。
そうすれば、自然と感謝の気持ちがわき、お礼の言葉も出やすくなるのではないでしょうか。
お礼の言葉は良好な人間関係の第一歩目です。
ケアマネージャーと良好な関係を築き、よりよいケアプランを協力して作り上げていきましょう。
この記事が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
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最後までお読みいただきありがとうございました。