居宅サービスとは-在宅利用可の介護保険と料金

「自宅で介護をすることになったが、どのくらい大変なんだろう?」

「介護に追われて、自分の時間が持てなくなるのでは?」

在宅介護を始める際は色々な不安があると思います。

自宅での介護を全て一人で行うことは、想像以上の負担がかかります。

もちろん、要介護者の程度によりその負担は軽くなったり、重くなったりしますが、身体的・金銭的な負担が無くなることはありません。

しかも介護は育児と違い、終着時期がわかりません。

そのような在宅介護を明るく、根気よく続けていくためには、日々の負担を軽くする「居宅サービス」を積極的に利用すると良いでしょう。

今回はその「居宅サービス」の種類や利用料金などについて説明します。

この記事は…

  • これからの介護に向けて知識を蓄えたい方
  • 在宅介護か施設介護かを迷っている方
  • 在宅で利用できる「居宅サービス」を詳しく知りたい方

に読んでいただきたい内容です。

居宅サービスとは

居宅サービスとは、在宅で介護を受けている方、介護をしている方が利用できる介護保険サービスの事を言います。

もちろん介護保険が適用されるため、利用できるのは要介護認定を受けている方に限られます。

種類としては以下の4つに分けられます。

居宅サービスの4つの分類
  1. 訪問サービス
  2. 通所サービス
  3. 短期入所サービス
  4. その他のサービス

ちなみに「居宅サービス」を「在宅サービス」または「在宅介護サービス」と言ったりもします。

しかし、「訪問サービス」は「居宅サービス」のひとつです。

同じ意味ではありません。

居宅サービスはその名前から、ホームヘルパーが行う訪問介護などの「自宅で受ける訪問サービスだけ」だと勘違いしやすいので、注意が必要です。

実際には、デイサービスやショートステイなどの施設を利用するサービスも、居宅サービスの一つになります。

なぜなら、自宅に住んでいる要介護者が利用するサービスだからです。

また、自宅で使う福祉用具のレンタルなども含まれます。

これらをわかりやすく示すと、下図のようになります。

居宅サービスの4分類

居宅サービスと他のサービスとの違い

また「居宅サービス」の他に、介護保険を適用できるサービスには「施設サービス」と「地域密着型サービス」があります。

居宅サービスのそれぞれの種類の説明の前に、簡単にこれらを説明しますので大枠の違いを確認しましょう。

施設介護サービス

「施設サービス」は、施設に入居し24時間体制で介護を受けられるもので、以下の3つがあります。

  • 介護老人福祉施設~特別養護老人ホームとも呼ばれ、常時介護を必要な方に対して生活全般の介護を提供する施設。通称「特養」。
  • 介護老人保健施設~介護だけでなく、医師や看護師による健康管理も行われる要介護者の生活施設。通称は「老健」。
  • 介護療養型医療施設~療養病床を持つ病院や診療所。急性疾患からの回復期にある要介護者を受け入れる施設であくまで医療機関の一つに位置づけられる。

地域密着型サービス

「地域密着型サービス」はそれぞれの市町村が提供する介護サービス。

高齢者が出来るだけ住み慣れた地域で生活を継続できるよう創設されたサービスのため、その市町村に住民票があり、要介護認定を受けている方がサービスの対象となります。

小規模多機能型居宅介護や地域密着型通所介護など、居宅サービスと重複する内容も多くありますが、施設規模を小さくし、利用者のニーズに合ったきめ細かい対応が期待されています。

居宅サービスの種類と費用

ここからは居宅サービスの種類と内容に踏み込んでいきましょう。

訪問サービス

訪問サービスは、介護士や看護師が自宅に訪問して要介護者に提供する介護サービスの事です。

有名なのは、自宅にホームヘルパーが訪問して、食事や排泄などの身体介助、洗濯や掃除などの生活援助などを行う「訪問介護」ですね。

また、看護師やリハビリスタッフが訪問して行う「訪問看護」、「訪問リハビリテーション」などがあります。

このような訪問看護は、入院してはいないが自宅での治療や看護・リハビリが必要な方が利用できます。

しかし、利用には医師の指示が必要となります。かかりつけ医やケアマネ、医療ソーシャルワーカーに相談してみましょう。

他にも、自宅の浴槽を使いづらい方に専用のバスタブを持ち込んで行う「訪問入浴介護」などもあります。

主な訪問サービス
  • 訪問介護(ホームヘルプサービス)
  • 訪問看護
  • 訪問入浴介護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 夜間対応型訪問介護

主な訪問サービスの自己負担金の目安(1割負担の場合)

身体介護の負担金
20分未満167円
20以上30分未満250円
30分以上1時間未満369円
1時間以上579円
(30分超過ごと+84円)
生活支援の負担金
20分以上45分未満183円
45分以上225円
訪問介護訪問介護ステーション病院・診療所
20分未満313円265円
30分未満470円398円
30分以上1時間未満821円573円
1時間以上1時間半未満1,125円842円
訪問入浴介護の負担金
前身入浴~1回につき1260円
訪問リハビリテーションの負担金
1回につき307円

また、医師や薬剤師、歯科衛生士等が行う「居宅療養管理指導」の自己負担は、細かい規定で違いはあるものの1回、259円~565円となっており、月2~4回までの利用となっています。

なお、それぞれの表の出典は厚生労働省の「介護報酬の算定構造」からになります。

さらに、地域や施設により料金は異なることがありますので、ご了承ください。

通所サービス

通所サービスとは、いわゆる「デイサービス」や「デイケア」のこと。

日ごとに施設へ通うスタイルで、日常生活の介護やレクリエーション・リハビリなどを受けることができます。

レクリエーションやリハビリを通して、日常生活の質の向上を目指したサービスと言えます。

また介護をする家族にとっては自由な時間が生まれ、負担軽減となるありがたいサービスです。

これらの利用を希望する場合、まずは担当のケアマネージャーに相談しましょう。

相談を受けたケアマネージャーは、事業者をいくつか紹介してくれます。

利用前に本人と家族が一緒に見学してみると安心ですね。

主な通所サービス
  • 通所介護
  • 通所リハビリテーション
デイサービスの送迎を行う介護士

主な通所サービスの自己負担金の目安(1割負担の場合)

通所施設の1回あたりの負担金額は施設の規模、利用時間、利用者の要介護度によって決まります。

ここでは通常規模で7~8時間の利用時間による負担金の違いを表にしました。

なお、施設の規模は大きくなるにしたがって負担金は安くなりますし、利用時間の多少により負担金も増減します。

デイサービスの1回の負担金
要介護1655円
要介護2787円
要介護3911円
要介護41036円
要介護51162円
通常規模、7~8時間の利用
デイケアの1回の負担金
要介護1757円
要介護2897円
要介護31039円
要介護41206円
要介護51369円
通常規模、7~8時間の利用

また、これらの負担金に食費などは含まれていませんので注意してください。

短期入所サービス

ショートステイと呼ばれる短期入所サービスには、「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の2種類があります。

各介護施設に、名前の通り短期(1日~2週間程度)入所し、介護や医療ケアを受けることができます。

介護をする家族の休息のためだったり、旅行の予定があったりする時に利用されるのが一般的です。

また、介護施設入居までの繋ぎとして利用されるケースもあります。

短期入居サービス一覧
  • 短期入所生活介護
  • 短期入所療養介護

主な短期入居サービスの自己負担金の目安(1割負担の場合)

短期入居サービスでは入居する部屋の種類によって、負担金が変わります。

いわゆる従来型の個室や多床室より、ユニット型の方が割高です。

ここでは単独型施設でユニット型個室の場合を紹介します。

短期入所生活介護の一日あたりの負担金
要介護1738円
要介護2806円
要介護3881円
要介護4949円
要介護51017円
短期入所療養介護の一日あたりの負担金
要介護1833円
要介護2879円
要介護3943円
要介護4997円
要介護51049円

その他のサービス

「訪問」「通所」「短期入所」の3つのサービスに当てはまらない居宅サービスが「その他のサービス」となります。

自宅での介護をハード面からサポートするためのサービスが多いのが特徴です。

例えば、福祉用具のレンタルや購入に関する「福祉用具貸与」や「特定福祉用具販売」。

また、住宅のバリアフリー化のリフォーム費を補助してくれる「住宅改修費支給」などがあります。

主なその他のサービス
  • 福祉用具貸与
  • 特定福祉用具販売
  • 住宅改修費支給
  • 特定施設入居者生活介護
福祉用具の代表的存在の車イス

主なその他のサービスの自己負担金の目安(1割負担の場合)

福祉用具のレンタルは商品別に負担額の増減があります。

また、要介護度によりレンタルできない福祉用具もあるので注意してください。

福祉用具貸与の月額負担金
車イス500円
介護ベット1300円
歩行補助杖100円

レンタルに不向きな福祉用具は販売されています。

年間の支給額が10万円までなので注意。

原則1割の自己負担ですが、超過分は全額自己負担になってしまいます。

特定福祉用具販売の自己負担金
腰掛便座5800円
入浴補助具(入浴用イス)2800円

居宅サービスを利用するには

在宅介護の心強い味方である居宅サービスは、介護保険サービスのひとつです。

そのため介護保険を利用するためには、自治体から「要介護度1~5」の認定を受けている必要があります。

認定を受ける流れは以下の通り。

  1. 要介護認定の申請
  2. 訪問調査
  3. 一次審査・二次審査
  4. 要介護認定
  5. ケアマネに相談(居宅サービスの選択)
  6. ケアプランの作成
  7. サービス利用開始

介護を行うには要介護認定は必須と言っても過言ではありません。

必要と感じたら、いつでも受けらるよう申請の準備を始めた方が良いでしょう。

要支援でも介護予防サービスが受けられる

要介護ではなく要支援」認定の方でも、保険適用となる介護予防サービスが受けられます。

内容は「居宅サービス」とほぼ一緒。

ただしサービス名に「予防」の文字が加わります。

これは介護予防サービスが、「早期のケアによって要介護状態になるのを予防すること」を目的としているからです。

サービスが「訪問」「通所」「短期入所」「その他」の4つに分類される点も同じで、リハビリや生活支援が中心となります。

要介護認定区分「要介護」

居宅サービス利用時の注意事項

居宅サービスは「自宅での生活を継続したい」と願う要介護者のためのサービスです。

要介護者の状態は一人ひとり違いますから、それらに合わせたサービスが求められています。

そのため、多くの種類の居宅サービスがありますが利用には注意も必要です。

その一つが「介護保険適用のサービスであるため、対象者が限られる」ことです。

例えば老夫婦2人世帯の場合でも、お爺さんしか要介護認定を受けていなければ、お爺さんしか生活援助を受けられません。

つまり、かかる手間はほぼ一緒でも、ヘルパーはお婆さんの分までは調理も洗濯も出来ないのです。

また「限度額」があることにも注意です。

介護保険全般に言えることですが、月額の限度額を超過してしまうと、その分は全額自己負担。

利用は優先順位の高いものから充てていきましょう。

いかがでしたか?

居宅サービスは在宅介護の強い味方です。

上手に利用して、日々の介護負担を減らしていきましょう。

この記事があなたの一助となれば幸いです。

また、弊社が行っている介護タクシー事業も、訪問介護の中の一つのサービスになります。

移動でお困りの際は、ぜひお声がけください。

そのお悩みビスタが解決します。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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